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この項目では、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の宇宙戦艦、宇宙空母または宇宙航空戦艦について説明しています。その他の用法については「ホワイトベース (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
ホワイトベース (WHITE BASE) は、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の宇宙戦艦[1]、宇宙空母[2]。地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦[3]2番艦である。最終的に地球連邦宇宙軍第2連合艦隊第13独立部隊に所属する。『機動戦士ガンダム』の主人公たちが搭乗する艦であり、物語の舞台でもある。艦籍番号はSCV-70またはLMSD-71。
目次
機体解説
ホワイトベース(WHITE BASE) | |
---|---|
艦籍番号 | SCV-70またはLMSD-71 |
分類 | 強襲揚陸艦 (または宇宙戦艦、全領域型戦艦、 宇宙空母、宇宙攻撃空母 他) |
艦級 | ペガサス級 (またはホワイトベース級) |
所属 | 地球連邦軍 |
建造 | ジャブローAブロック1号ドック |
全高 | 93m[4]/97m[5](艦橋まで83m[6]) |
全長 | 262m[4]/250m[5] |
全幅 | 202.5m[4]/110m[6] |
全備重量 | 32,000t[4]/65,000t[要出典]/68,000t[5] |
装甲材質 | ルナチタニウム合金 |
推進機関 | 熱核ジェット/ロケット・エンジン×4×2[4] ミノフスキー・クラフト・システム |
出力 | 550,000馬力[7] |
推力 | 16,000t×4×2または32,000t×2/550,000t[6] |
最高速度 | マッハ12[7] |
武装 | 880mm連装砲×2[4]/58cm連装主砲×1[6] 連装メガ粒子砲×2[6] 連装機関砲×18(計36門) ミサイルランチャー×40(前部24門、後部16門[8]) |
有効射程 | 72km(主砲・地上) |
乗員人数 | 最高収容数:500名 正規乗員数:128名または225名 |
艦長 | パオロ・カシアス中佐→ブライト・ノア少尉(当時) |
搭載数 | モビルスーツ×6または9, 12, 15他 航空航宙機×10 宇宙艇×不明 |
主な搭載機 | RX-78 ガンダム×1 RX-77 ガンキャノン×1→2(劇場版) RX-75 ガンタンク×1→0(劇場版) 航空航宙機×7→8→9 ガンペリー×1 FF-X7 コア・ファイター×6 Gファイター×0→1→2(TV版) FF-X7-Bst コア・ブースター×0→1→2(劇場版) 宇宙艇×2 ランチ×2 |
地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦2番艦である(一部資料にはホワイトベース級1番艦で宇宙戦艦(SBB)、宇宙空母(SCV)、宇宙攻撃空母(SCVA)[9] 、モビルスーツ搭載強襲揚陸艦(LMSD)[10] 、RXモビルスーツ用強襲揚陸艦[11] などに分類されることもある)。小説版機動戦士Ζガンダムでは、本艦の艦種を強襲用重巡洋艦と表記しており、これが後述する「ホワイトベースという存在は」云々を一番表している艦種類別ではないかとされる。艦体寸法・重量に関しては旧来より諸説が混在している(諸元参照)。
地球連邦軍の宇宙艦としては初めてモビルスーツ(MS)の搭載運用能力を持ち、V作戦のRX計画によって建造されたRX-78 ガンダム、RX-77 ガンキャノン、RX-75 ガンタンクなどコア・ブロック・システム採用機の搭載を前提としている。そのためコアブロック換装システムなど、専用の設備が存在する。
実体弾を射出する連装主砲の他に連装メガ粒子砲2基(計4門)などを装備している。主砲、メガ粒子砲のいずれも従前の威力を凌駕している。52(58[6])センチ(異説880mm[12])という史上最大の口径を持つ主砲の火力は従来の宇宙戦艦などと比べ強力で、弾頭重量2トン、最大射程70km(地上)にも及んだ。ただし威力が強すぎ反動が大きいため、使用時には他の火砲の使用を制限する必要があった。また、メガ粒子砲はジャブローでウッディ大尉らによって、特に宇宙で威力を発揮する新型に換装された[13]。一方で複雑な船体構造のため、武装の取り付けが制約され、それ以外は射程の短い近接戦闘兵器のみであり、副砲[14]はなく、戦闘艦としての火力は前述のように重巡程度にとどまり、あとは連装機関砲18基とミサイルランチャー40門となっているため、防衛はモビルスーツ頼りであった。[15]
総監督の富野由悠季によれば、ホワイトベースという存在は、戦争初期の敗退で生産力の激減した状態の連邦軍が単艦多用途を追求するあまり、“火力は戦艦以下、速力は高速艇以下、物資輸送能力は輸送機以下”という中途半端な艦を造ってしまった結果なのだという[16]。
とはいえ、搭載するMSの性能は高く、このMSも搭載火器の役割を果たしていた。この方式は軍部にとって結果的に満足できるものであったため、後にアーガマ級やラー・カイラム級など、類似した方式をとる艦が建造されている。
また、非常に特徴的な機能として、ミノフスキー・クラフト・システムにより大気圏内を浮上航行可能であるほか、オプション装備なしで大気圏突入・離脱が可能であるが、この機能は後の地球連邦軍の艦にはほとんど引き継がれていない。
そのほかの機能としては、艦全体が主船体、エンジン、艦載機運用区画等にブロック化されており、部分部分を切り離す事が可能である(短期間での搭載機の宇宙戦闘機からMSへの大幅な設計変更や、ア・バオア・クーにおいてメインエンジンが破損した際にエンジンを切り離し、その結果、座礁し航行不能に陥ったものの、致命的な損傷を免れたのはこの機能があったからである)。両舷にカタパルトを有し、その外観が馬が手足を前後に伸ばした形に似ていたため、ジオン公国軍からは「木馬」(一説によれば「トロイの木馬」)のコードネームで呼ばれていた。
また、本艦は艦橋の広さや(擬似)重力ブロックの充実から、元々艦隊旗艦として設計されたのではないかと指摘されている。ホワイトベースの第1艦橋は後に建造されたアルビオンの3倍の広さがあることが根拠としてあげられている[要出典]。
艦籍番号(ハルナンバー)は、『モビルスーツバリエーション』によればSCV-70であり、一般的にはこちらが使われているが、これは宇宙空母あるいは宇宙攻撃空母としての番号である。講談社発行の書籍『機動戦士ガンダムMSVコレクションファイル 宇宙編』(1999年)によればLMSD-71とされるが、これはモビルスーツ搭載強襲揚陸艦としての番号である。
開発経緯
V作戦により建造されたとされているが、『モビルスーツバリエーション』[17]などによると少し違うようである。
一年戦争開始以前、地球連邦軍初の宇宙空母(SCV)開発計画である「SCV-X計画」という計画からの始まりであり、当初、搭載される予定であった機種はFF-S3 セイバーフィッシュ航宙戦闘機12機であったという。「SCV-X計画」では、複数の開発計画を進行させるものであったらしく、その中の「SCV-27計画」あるいは「SCV-27A計画」が採用される。その計画の1番艦として建造されたのが、ホワイトベースであるという。また一時期、議会通過のための偽装として宇宙戦艦(SBB)に分類されていたが、起工時にRXモビルスーツ用強襲揚陸艦もしくはモビルスーツ搭載強襲揚陸艦(LMSD)に種別が変更されたとされる。さらに竣工時に宇宙攻撃空母(SCVA)に変更されたという記述もある。
「SCV-27計画」あるいは「SCV-27A計画」の艦船の建造は、0077年度戦力整備計画で承認。宇宙世紀0078年2月に、ジャブローAブロック1号ドックで起工される(0079年起工説あり、また、建造されたドックは不明であるとする説もある)。翌0079年1月に始まった一年戦争の初期の大敗を受けてV作戦が発動され、本艦は宇宙戦闘機ではなく、MSの運用を前提とした艦に計画を変更され、同年4月に改修。進宙は7月。竣工は9月1日である。
本艦の艦級は『モビルスーツバリエーション』ではホワイトベース級であるが、公式設定ではペガサス級とされている。ペガサス(艦籍番号:SCV-69)の起工はほぼ同時期であり、本来、ペガサスのほうが先に就役する予定であった。しかし、エンジン部分の設計に問題が見つかり、ペガサスはその改修によって建造が大幅に遅れてしまった。ホワイトベースは若干後から起工した事により、建造がそこまで進んでいなかったために事前に回避することができ、結果としてペガサスより1週間早く竣工することができた。つまり、起工順に従えばペガサスが1番艦、ホワイトベースは2番艦となり、竣工順に従えばホワイトベースが1番艦、ペガサスは2番艦となる。この複雑な設定の経緯は、アニメ描写上は一番艦であるホワイトベースを後にペガサス級と設定してしまったため、ネームシップと一番艦の艦名が異なるという矛盾を回避するため、後付で設定を追加したためである[18]。
なお、このエンジン部分の問題は完全には解決せず、ホワイトベースはこの不調に大きく悩まされた。そのため、ペガサス級(SCV系統)は3番艦でいったん打ち切り、4番艦以降は大幅に設計を変更した準ホワイトベース級(改ペガサス級、SCVA系統)として建造を続けたとされる。富士急ハイランドの劇場アトラクション『GUNDAM THE RIDE』(2000年)によると、ペガサス級5番艦とされるSCV-73 ブランリヴァルが設定され、SCV系統も建造が続けられている。
考案の経緯
本船のデザインは元々『無敵鋼人ダイターン3』のゲストメカ「フリーダムフォートレス」としてデザインされた物の流用である[19]。総監督の富野由悠季は、当初はもっと現実性を前面に出して黒を基調にした地味な配色にしようと考えていたのだが、スポンサーの命令で、派手な色にするよう言われやむを得ず、トリコロールカラーにしたという。木馬の通称があるが、大河原邦男はスフィンクスをモチーフにデザインしたといわれる[20]。
従来のロボットアニメと一線を画したリアルな科学考証が評判だった『ガンダム』において、本船が十分な揚力や垂直噴射も無しに空中を飛行している事の矛盾が指摘されており、後に書籍『ガンダムセンチュリー』においてこれを解決する設定としてミノフスキークラフトが考案され[21]、ひいてはミノフスキー粒子の諸設定に発展することとなった。
富野は「あんな戦艦、現実にはあるはずがないんです」とコメントしている。また、同様の経緯でトリコロールになったガンダムのカラーリングに対しても不快感を示している。さらに富野は物語の中で動かしていくうちに「この形状の戦艦を飛行させたら、どう考えても戦闘機に簡単に撃墜されてしまう」ということに気付き、現実感のなさを痛感していたとされる。
テレビオンエア終了間際、『月刊アニメージュ』1979年12月号誌上で、「宇宙戦艦ヤマトとどっちが強いんですか?」という読者からの質問を受けた富野は、「波動砲さえかわせれば、ホワイトベースが強いにきまっています」と答えた。また、木馬型の奇妙なデザインに着目した「最終回で巨大ロボットに変形するのでは?」という質問には、「それはテレビマンガの見過ぎです。ガンダム以外は観ないでください(笑)」と答えた。
ホワイトベース隊
ホワイトベースは元々、艦自体の所属が未決定であった。そのため所属部隊は、艦名からホワイトベース隊と便宜上呼ばれるようになった。この名称は第13独立部隊への所属が決定した後も使われた。
彼らは正規の軍人ではなく、ほとんどが民間人の少年少女であった。また、サイド7へ入港した時の正規兵の殆どが、シャア率いる部隊による攻撃とその後の追撃により負傷もしくは死亡したため、出港後に艦の中心となったブライト・ノアやリュウ・ホセイ他の軍人だった面々も士官候補生や訓練中の見習い兵である。その構成と彼らがあげた戦果から連邦・ジオンの双方から「ニュータイプ部隊」との噂が立てられた。
隊員
- 艦長
- パイロット
- アムロ・レイ曹長(劇場版は少尉) :ガンダム、コア・ファイター、ガンキャノン、ガンタンク
- カイ・シデン伍長(劇場版は少尉) :ガンキャノン、ガンタンク、ガンペリー
- ジョブ・ジョン (パイロット候補生):ガンキャノン、ガンタンク
- スレッガー・ロウ中尉 (正規パイロット):コア・ブースター(Gファイター) ※ジャブローにおいて補充兵として着任。
- セイラ・マス軍曹→准尉(劇場版は少尉) (通信士から配置転換):コア・ブースター(Gファイター)、ガンダム
- ハヤト・コバヤシ伍長(劇場版は曹長) :ガンタンク、ガンキャノン、コア・ファイター、ガンペリー、Gファイター、Gスカイ・イージー
- リュウ・ホセイ曹長(戦死後、アニメ版は二階級特進で中尉、劇場版は三階級特進で大尉) (パイロット候補生):ガンタンク、ガンキャノン、コア・ファイター
- ブリッジ
- サブブリッジ
- バンマス (副操縦士)
- メカニック
- その他
- 機関
- ラム・ドワイ少尉 ※小説のみ
- ミサイル管制
- トルカム上等兵 ※小説のみ