外宇宙視点逆算宇宙客観計算500定数人工調整確認

 

宇宙定数(うちゅうていすう、cosmological constant)は、アインシュタイン

重力場方程式の中に現れる宇宙項(うちゅうこう)の係数。宇宙定数はスカラー量で、

通常Λ(ラムダ)と書き表される。

目次

 

概説

重力場方程式を最小限の仮定で導出すると、

{\displaystyle R_{\mu \nu }-{1 \over 2}Rg_{\mu \nu }+\Lambda g_{\mu \nu }={8\pi G \over c^{4}}T_{\mu \nu }}

という式が得られる。宇宙定数 {\displaystyle \Lambda }計量テンソル {\displaystyle g_{\mu \nu }}の積である左辺第3項が宇宙項 {\displaystyle \Lambda g_{\mu \nu }}であり、時空が持つ斥力({\displaystyle \Lambda >0})または引力({\displaystyle \Lambda <0})を表すが、通常はわずかに正(わずかな斥力)とされる。

アインシュタインが1916年に発表した最初の重力場方程式は、

{\displaystyle R_{\mu \nu }-{1 \over 2}Rg_{\mu \nu }={8\pi G \over c^{4}}T_{\mu \nu }}

であった。最初の式で{\displaystyle \Lambda =0}とした場合に相当する。しかし、1917年の論文ではアインシュタインは、宇宙項を含む式を発表した。その理由は明確には語られていないが、宇宙定数をわずかに正とし「万有斥力」を導入することで質量が持つ万有引力に拮抗させ、定常な宇宙を導くためと言われる。

否定

しかしエドウィン・ハッブルらの観測によって、宇宙が膨張していることが明らかになり、アインシュタインはこの宇宙定数の導入を生涯で「最大の過ち」(biggest blunder)として後悔したというエピソードは有名である。ただしこの言葉は、本人から聞いて紹介したというジョージ・ガモフの報告以外に出典がなく、ガモフの創作であるという説もある[1][2]

再評価

標準ビッグバン宇宙モデルの初期条件を説明する宇宙のインフレーションモデルは、宇宙の初期に時空が指数関数的な膨張を遂げた、とするモデルであるが、その原理は、宇宙項の存在に相当する真空のエネルギーの存在である。

近年、遠方の超新星の観測結果および宇宙マイクロ波背景放射(宇宙背景放射)の観測結果などから、我々の宇宙は現在、加速的に膨張していることが明らかになってきており、加速膨張を説明するメカニズムとして、宇宙項の存在が支持されている。 宇宙定数の源の有力な候補としては真空のエネルギーなどが挙げられ、これを仮定すると宇宙定数の大きさは、自然単位系で評価してナイーブには1の程度になる。しかし、観測的には{\displaystyle 10^{-120}}以下であることが分かっており、このギャップを埋めるメカニズムは現代宇宙論の未解決問題のひとつになっている。最近では、宇宙の加速膨張を担うものとして、宇宙項の可能性を含め、ダークエネルギーと総称することが普通になっている。

脚注

  1. ^ 『偉大なる失敗:天才科学者たちはどう間違えたか 科学者の試行錯誤の歴史 追体験』マリオ・リヴィオ著、千葉敏生訳 早川書房 2015年 原著 Brilliant Blunders
  2. ^ 『朝日新聞』2015年11月15日、朝刊、35面。

関連項目

外部リンク

参考文献

  • 佐藤勝彦 アインシュタインの宇宙 最新宇宙学と謎の「宇宙項」(角川学芸出版 2009年)

アルベルト・アインシュタイン
キャリア
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家族英語版
アインシュタイン賞
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