異世界召喚って拉致ですよね。 作者:しっぽ 4/47
逃げるためには準備が大切。主にご飯。
「よろしくお願いします。それから魔法で体力を強化したりするものってありますか?」
「それは重いものを持つという意味でしょうか?」
「それだけでなく、長時間走ったり、素早く動けたり、とかですね」
「生活魔法に軽量化の魔法と身体能力を上げる魔法があります」
詳しく聞くと、どちらも役に立ちそうだった。ただし、覚えるのにはかなり苦労しそうだ。
それでもやるしかない。
これが本当に夢ではなく現実ならば成人までの2年間は有意義に使うしかない。
出来る限りの知識の吸収。それと生きていく手段の確立。
逃げる手段も合わせて考えなくちゃならない。
夢だったらいいのに…。
さて、最後の確認ね。
収納魔法の中身を確かめる。【通常∞大?ないし魔力比例定量】時間停止保存能力
その物に触れて念じればどこだかわからない空間へと物は収納される。
同じ念じれば出てくる。
収納したものはリストにもでき、検索も出来る。
ただし、生きているものはいれられない。
でも、時間は止まるので腐ったり冷めたりすることもない。
収納できる量は魔力に比例するらしく、この2年で魔力が沢山から凄く沢山に増えた私は体育館くらいの量は軽く収納出来ている。
さて、これで最後だし、もう一度リストを確認しておこう。
食べ物や商売や飯の種になりそうな物達。
ここを出ると決めて以来、少しずつ集めていたもの。
全部かなりの量になっている。
その気になれば、一生、なにも買わなくても生活できるんじゃないかな?という量だが、個人的にはこれからするのは国への戦争なのでこれでいいと思っていたりする。
水とワインとミルクは樽で用意してあるし、勿論、革袋に入ったものも数は揃えた。
人間、食べなくてもそれなりの日数生きていけるけど水はないと死ぬからね。
いくら初級生活魔法で死なない程度の水は生み出せるとはいえ、用心は必要だ。
保存食だけでなく、毎食毎に少しずつ収納魔法に移した食事の数々。
時間が止まるって本当に便利。
温かいものは温かく。冷たいものは冷たくなんて幸せです。
なので、氷も数十樽用意した。
これは一緒に召喚された聖女が作ってくれたもの。
治療にも料理にも使うから疑われてはいないみたい。
まぁ、その気になれば生活魔法でも作れるんだけど、
量を作るのは大変なのでプロに頼りましたよ、ハイ。
あとは街で買った下着や洋服。
色々なランクのものを用意しました。
サイズも沢山。男物と女物も集めた。
城からもコッソリ服や布を収納してあります。
薬を作るための調合用具。これも、どこかで買えるかわからないから、
予備も含めて複数しまった。
自分で採取した薬草類に各種ハーブ。
同じく自分で作った化粧品にバスグッズ。
化粧水やクリームに入浴剤にバスボム。向こうでも作っていたシャンプーにリンス。
リンスは普通ならばお酢だが、ライムやレモンの酸の強い果物をハーブの煮汁混ぜてリンスを作ったら、これが聖女達に大好評だった。
薬や化粧品の原料になる重曹とクエン酸にコーンスターチに片栗粉、グリセリンに近い液体。
柑橘類の種を沢山。 蜜蝋とシアバターも似たもの。
オリーブオイルとグレープシードオイル。
沢山の精油は調合だけでなく香水としても使える。
果実酒と酒精の強いアルコールに塩と香辛料。
それから、見つけた時に狂喜乱舞した米と魚醤、昆布と鰹節。
ちゃんとおむすびも山のように作って入れてある。
土鍋っぽいもので炊くと美味しいこともわかってるのでその鍋も確保した。
勿論、小麦、大麦、ライ麦などの主食類。
これは粉と粉になってないものをわけてある。
ちなみに強力粉と薄力粉は、召喚者の中にパティシエ希望の人がいたのですぐにわかった。
天然酵母もあるのでパンも焼ける。
その彼女に教わる形で様々な菓子や料理も頑張った。
ジャムやパウンドケーキにスポンジケーキ、シフォンケーキやパイにクッキー。
それに必要なバターやミルク、ヨーグルトに蜂蜜にドライフルーツにチーズに卵。
惜しむらくはチョコレートがないこと。 珈琲はあるのにちょっと寂しい。
勿論、珈琲とお茶も沢山確保してある。 1人で飲むとしたら多分一生分
パティシエさんが作った料理やお菓子は異世界のお菓子と料理ということである程度この国の中でも広がりつつあるらしい。
パンとケーキをいつでも焼けるようにダッチオーブンも準備済みだ。
ダッチオーブンはアウトドア好きの聖女がこっちの野営道具に改良を加えたもので大変使いやすい。なので、これも数を揃えてある。
お菓子もだけど、問題はご飯なんだよね。
魚醤で誤魔化してるけど東南アジアというかタイ風にしかならない。
せめて味噌が欲しい。 醤油が恋しい…。
やっぱりその辺りを考えると海越えた方がいい気がする。
肉は生肉とベーコンやらソーセージやらの加工肉。
やりたくはなかったけど、鳥だけでなく、豚や牛。魔物の解体もおぼえた。
結界のおかげでほぼ襲われはしないけれど、何があるかわからないし、
山や森で生きていかなくちゃならないなら、魔法で狩りをすることもあるかもしれない。
魚は生のものから干物まで。焼き魚や煮魚も作ってしまってある。
野菜と果物は戦争にでも行くの?というくらいの量を集めた。
基本は樽単位にしてある。
ジャガイモやキャベツ、ねぎや玉ねぎ、トマトは多めに確保していた。
勿論トマトソースやミルポアなどもかなりの量のストックはある。
ホワイトソースやデミグラスソースも大量に作ってこちらも樽保存だ。
他にも煮物やスープ、シチュー、炒め物にサラダなども調理済みのものを入れてある。
肉や魚や野菜もかなりの量を色々なところから集めまくったかいがあったなぁ…。
まぁ、1年以上時間があったことが大きいんだけどさ。
塩に胡椒に香辛料とハーブ。
これはお金が使えない時に物々交換出来る品でもあるので全部樽で用意した。
マヨネーズやソース類は作れるだけ作って保存した。
あとは野営用の鍋や食器。テントに毛布、焚き火台にランタン。
焚き火台は食べ物の屋台をやることも考えて鍋を吊るす三脚なども用意した。
薪や炭も入れてある。
召喚された人の中にアウトドア好きな人がいてよかったよ。
焚き火台とかテントとか全く未知の領域だったもん。
アウトドア好きの聖女のおかげで迷宮でも使えるアウトドア商品はさっそく実用化されて冒険者や行商人などにも評判になっている。
テントなんて自力ではろうと思ったら多分死ぬ。
このワンタッチタイプがあって本当に幸せだ。…まぁまだめっちゃお高いけど。
しかも、これ、木が2本あれば吊せるので地面が平らでなくても使える優れものである。
そして何より凄いと思うのが足つきなので椅子としても使えること。
これが本当にありがたい。
狭いベッドの上に蚊帳のようにテントがついているというのが正確な形なのだが、私の場合は組み立てたままアイテムボックに収納してある。これなら組み立てる手間がいらないからだ。
雨に濡れたらしまう前に初級生活魔法のドライで乾かして、クリーンでキレイにしておけばそれで済む。
お値段はそれなりにしたけど背に腹は変えられない。