ネクストライフ   作者:相野仁  七章「黄昏ゆく世界」  112/182

十二話「飛び交うは破壊」

 

アウラニースは頷くとスキル「グレイプニル」を使う 『結界』

 

【エクスハラティオ】

 

「<……討ち滅ぼせ>【スターレイン】

 

展開された「ディメンションシールド」は全ての攻撃を防ぎきった。

「<邪悪を滅する雷神の槍よ、彼の地に顕現し、我が力となれ>【ヴァジュラ】

 

「何も起こらず、何も動かず、何者も生きえず、何者も存在しえず【アブソリュートゼロ】

 

【リフレクション】
 マリウスが張った二重の障壁は間に合ったが、次の瞬間、魔力弾に耐え切れずに破壊される。 しかし、障壁は続いて何重にも展開され、魔力弾は貫通出来ずに跳ね返った。

 

「<……力となれ>【ヴァジュラ】」 マリウスは再び雷系特級魔法を放つ。
 先程破ったばかりだというのに、とアウラニースは眉を寄せながら迎撃する。
 数千の魔力弾を生み出して打ち消したのだ。
【リフレイン】<……存在しえず>【アブソリュートゼロ】
 リフレインの効力により、数十の雷神の槍はまたもや出現し、

 アウラニースの体には全てを凍らせる冷気が吹きつける。
 「おお、特級の波状攻撃か!」
 「<天に在りて世を照らす神の星、地に降りて断罪の一撃となれ>【アグニ】
 炎系統の特級魔法

 

 「ジャガーノート!」 アウラニースの必殺技の一つ。
 この技の恐ろしい点はその威力ではなく、装備破壊効果と

 全ての特殊効果及びスキルを打ち消す効果を伴う事だ。
 アウラニース専用スキル「レッキング」は、彼女が技を使った時のみ発動する。

 

 「<……無に帰せ>【アニヒレーション】
 マリウスの魔力の全てをつぎ込まれた最強の黒風が、アウラニースを飲み込んだ。
 
 アウラニースの体の輪郭がぼやけ、次に巨大化する。
 肩高が五メートル、体長と尻尾が十メートルはありそうな巨体、

 そしてそこから更にそびえるように伸びている首、それらを覆うのが青い鱗だ。
 黄金の瞳と白い牙、赤く細い舌。 大昔に絶滅した、地上の暴君タイラント。

 アウラニースのスキル「覇者の猛威

 

 「GUOOOOOOO!」 音の暴風が轟き、雷が発生する。

 アウラニースの咆哮、「テンペストロア」だ。
 音の物理攻撃、そして雷と二種類の攻撃で、それぞれ異なる防御法が必要である。
 しかも早い上に破壊力も凄まじく、「ジャガーノート」と併せて

 「最悪の近接キラー」と呼ばれた理由になった。
 「【サイレント】【ディメンションシールド】
 

 頭の周りに五つの光の球体が現れる。 光をレーザー状に放つ「ブリューナク」だ。
 一つ一つがアウラニースの頭部並みの巨大さで、

 圧縮され放出されるその貫通力は「ジャガーノート」を凌ぐ。
 

 「<……一撃となれ>【アグニ】
 炎の禁呪で迎撃するが、相殺出来たのは二つだけで、

 残り三つは貫通してマリウスに襲いかかった。
 マリウスはワープで距離を取るが、残った三つはいずれも曲がって追いかけてくる。
 そう、「ブリューナク」の一番厄介な点は追尾効果を持っている事で、
 連続攻撃が可能だと言う点だ。
 五発が追加され、マリウスを狙う光線が八つに増える。
 「ブリューナク」の欠点は細かな操作が出来ない点だ。
 だから被弾する直前でワープでかわす。
 するとお互いがぶつかり、打ち消しあってしまう。
 

 アウラニースの最強の必殺技「フィンブルヴェトル」が来る。
 アウラニースは大きく口を開けてブレスを吐く。
 「フィンブルヴェトル」は氷のブレスであるが、装備破壊効果、

 氷漬けにする効果、そうでなくても強制昏睡効果を備えている。

 

 こっそり無詠唱で幻覚魔法「ミラージュ」を行使し、

 更に「ステルス」と「インビジブル」を使って魔王の目を欺いたのだ。

 

 勘の的中率をほぼ百パーセントにまで引き上げる「シックスセンス」は、

 もしかしたらアウラニースが保有するスキルの中で、一番恐ろしいかもしれない。

 

 「<……一撃となれ>【アグニ】
 まず、アグニを使い、右肩の上空に白い神炎をとどめ、
 「<……力となれ>【ヴァジュラ】

 次にヴァジュラを唱え、左肩の上空に雷神の槍を作り出す。
 これがマリウスの奥の手、禁呪と禁呪の合成だ。

 

 対するアウラニースも、全ての力を変換しブレスを放つ。
 アウラニース最大の技「ラグナロク」。
 かつて大陸一つを焼き尽くした、悪夢の一撃。

 

 (もうアニヒレーションアニヒレーションを合成するくらいしかないんじゃ……?)