作者:埴輪星人 ファーレーン編
「船も似たようなやり方でカンスト?」
「こっちはNPCから受けた船団製造クエストで上げた他、城作らせてもろた知り合いのギルドが冗談で軍艦作る、言いだしたからそれに便乗して作ったりとか」
「で、エクストラスキルは、鍛冶をカンストした時に、いろいろやってて仲良くなったNPCから変なクエスト引き受けて、そのまま指示に従ってうろうろしとったら神殿の前で見たことない材料で武器作れ、言われて、製造に成功したら『神の武器』って言うスキルが追加されて、もしかしてと思っていろんなところに顔出したら、同じ流れであれこれ覚えてん」
「全部が全部、そうでもないやろうけど、少なくとも二次生産は大体が『神のなんとか』やと思うわ」
生活スキルに関しては、他にも演劇、演芸、楽器演奏、洗濯、調教、交渉、商売など幅広く存在するが、その効能はピンキリである。中には全員大工と演劇、演芸スキルを持つ劇団ギルドなど
生活スキルのほとんどはランク分けが無く、その分最大熟練度が高い仕様になっている。とはいえ、戦闘スキルと違って最大まで育てる人は少なく、またエクストラスキルが存在しないであろうものも多い。
「耐久と精神とスタミナはすごいで。他はまあ、レベル相応やと思うけど。因みに、グランドクエスト第一章クリア済みで、レベルは百二十四や」
キャラクターレベルには上限が設定されていないが、グランドクエスト第一章をクリアするまでは百が上限である。
「材料集めでそれなりにダンジョンに潜ってるから、自然と上がってくるねん。因みに、基本的に前衛、っちゅうか壁役がメインやから、挑発と基本攻撃が上がってるねん」
「後衛って言うか、遊撃かな。補助魔法とか状態異常、いわゆるバフスキルとデバフがメインのバランスタイプ。各種バフは、エクストラ以外では最高性能のやつまで覚えてるよ。レベルは百五十三」
「女神の加護だけ最大。他は七割ぐらいかな? 状態異常は全部折り返したところ」
一般に知られている補助魔法のうち、最も強力なものをマスターしていると聞いて、ひどく感心してしまう。補助魔法は熟練度が伸びる条件が特殊で案外育てにくく、しかもパーティでの寄与度が低くカウントされるため、熟練度はともかく、キャラクター経験値に反映されにくい。その上けっこうMP消費も大きく、複数使う必要が出てくる事もあって、途中で切るプレイヤーも多い。生産ほど不遇ではないが、システム的には性能以外の面で結構扱いが悪いスキル系統なのだ。当然、キャラクター経験値は入らない。
格上を殴ると熟練度上昇が早くなる攻撃系スキルや、大ダメージを回復すると成長が早い回復スキルと違い、補助魔法は上りが一律だ。そんなところも、パーティでの重要度の割に育っているプレイヤーが少ない原因である。すべてのスキルにおいて、熟練度が上がって効果が強くなっても、基礎消費が小さくなる事はあっても増える事はないのは、補助魔法を育てる上での数少ない救いであろう。そのため、普通に戦闘が出来てかつ熟練度の高い補助魔法を使える人物は回復役以上に需要が多く、ドロップ品なども優先的に回してもらえる事が多い。
「後は回復が女神の癒しを折り返したぐらいまで、攻撃は中級攻撃魔法各種と中級魔法剣をいくつかMAXにしてる。得意な武器系統は細剣系かな?」
フェアリーテイル・クロニクルの戦闘系スキルと魔法系スキルは、ゲーム中最も多くの種類を持っている。そのうち、スキルが初級、中級、上級と分かれているのは基本攻撃と基本射撃、各種武器スキルと魔法修練だけである。それ以外の、いわゆる技に分類されるものは、取得条件を満たすと上位の強力な技を覚えられる仕組みになっていて、それがランク分けの代わりになっているのだ。その取得条件はランク分けされているものと違い、必ずしも下級スキルをマスターする必要がある訳ではない。
技や魔法の覚え方は、条件を満たした上でNPCから教えてもらうのが基本だが、自分で編み出す、文献などから復刻する、プレイヤーから教えてもらう、などの方法でも可能である。ただし、自分で編み出すのは恐ろしく難しく、知られている限りではレベルが上位三人のプレイヤーが一つ二つ編み出した程度である。そのうち一つがエクストラスキルだったという噂だが、真偽の程は定かではない。
因みに補足しておくと、ランク分けのない生産・生活スキルは熟練度五百で、それ以外のスキルは熟練度百でマスターとなる。