昨今、オーナー企業の事業承継の問題がよく巷で取り上げられています。M&Aは、この対策としてよく利用されていますが、このような小規模会社の企業買収(=株式取得)の場面で、しばしば遭遇するのが、次のような場合です。
①株券発行会社で過去に株主の異動があるのに、株券を発行した形跡がない。
②平成2年改正商法施行前に設立された会社なのに、現所有者以外の発起人(当時は7名必要)が不明。
小規模会社ではよくある話ですが、事業承継などで株式を譲渡しようとするとき、上記のようなことが障害になります。極端な例ですが、過去に筆者がある企業でかかわった案件では、弁護士が書いたデュー・ディリジェンスのレポートに、上記②の「発起人不明」の事実が記されたうえ、何らのリスクヘッジ対策も示されていなかったため、経営者がこのリスクを受容しようとせず、不幸にも破談になったことがあります。名義貸しであることが多かった発起人から設立無効や譲渡無効の訴えが起こされる可能性など皆無でしょうから、たいしたリスクではないのですが、リスクを針小棒大に指摘するだけの質の低いレポートが原因で、契約をすることができなかったわけです。大変残念なことです。
企業法務に携わる者は、リスク管理の手法をしっかり学び、持てる法律知識から知恵を絞って、ビジネスを成功に導かねばならない、と強く思います。
話が少しそれましたが、このようなケースで、何ら対策はないのでしょうか。
いいえ。ごく簡単な法律知識さえあれば、簡単にクリアできる話なのです。
①では、直ちに株券を発行し、譲渡の手続きを取れば、瑕疵は治癒されます。
②も同様なのですが、発起人を確定することが困難な場合が少なくありません。何せ、27年前の法改正のさらに前の発起人のことですから、まずもって7名の発起人の行方を探すことが難しく、探し当てたとしても相続が発生していれば、さらにえらいことになります。①も、可能性としては②より低いものの、同様の問題は起こり得ます。
この場合は、株主権=財産権であることに着目し、民法163条の財産権の取得時効の成立を考えてよい、とする判例があります。(東京地裁平成15年12月1日判決)時効を援用すれば、厄介な②の問題もクリアできるでしょう。10年以上、株主として議決権を行使し、配当を受領していたのであれば、この事実状態を尊重してよい、とするものです。きわめてまっとうな社会感覚に沿った判断ではないでしょうか。
今日のラーメン。花月嵐の味噌ラーメン、ホウレンソウトッピングです。チェーン店ですが、なかなかパンチのあるおいしいラーメンでございました。
