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こんにちは、HSMC東札幌メンタルクリニック https://www.h-s-mental.com/ のブログです。
皆さん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?
コロナ禍もだいぶ落ち着いてきて、ニュース番組などをみていても全国各地の観光地は賑わいを取り戻しつつあるようで、それはそれで私自身も喜ばしいことと感じます。
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世界を見渡すと5月5日にWHOのテドロス事務局長が新型コロナウィルスによる国際的な公衆衛生上の緊急事態の宣言を終了すると表明したのに続き、皆さんご存知のように日本においても5月8日をもって新型コロナウィルスは感染症法上の分類がインフルエンザウィルスと同等の5類に変更となり、世の中的にだいぶ楽観的な雰囲気が出てきました。
とは言え、医療の現場ではそこまで楽観的になれないのが実情で、HSMCでもホームページでお知らせしているように、無期限で従前通りの感染予防対策を継続していきます(院内マスク着用、入室時体温チェック・手指消毒等)。
HSMCにはご年配の方、持病のある方、抗がん剤治療中の方、そして感染症に対する不安症状が強い方など、各種感染症に対する耐性が低い方が大勢いらっしゃいますので、そのような方に対する安全配慮はあってしかるべきだと思います。
ほとんどの方がこの文章を読んで「わざわざ言わなくても当たり前のことじゃん」と思うことでしょう。
実際、某日にHSMC通院中の方、先着50人の方に聴き取り調査を行いましたが、50人中50人がHSMCの感染予防対策継続に賛成でした。
でも中には「同調圧力には屈しない」という決まり文句を掲げ、当たり前を当たり前と思えない、共感性の乏しい偏った考えを持つ人間もいることでしょう。
たとえばそういう人間は「マスクなんか意味がない、マスクが感染予防に有効だという証拠なんてない、だから自分はマスクを着用しないし、感染予防対策にも協力なんかしない」と屁理屈を並べることでしょう。
HSMCの外で自分のエゴを主張するのは勝手にやればいいですが、HSMC内では勝手なエゴは許容されません。
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先ほど「マスクなんか意味がない」等の屁理屈と言いましたが、実は屁理屈ではなく検討の余地がある部分もあります。「マスクが感染予防に有効だという証拠なんてない」という部分です。
実際にマスク使用による感染予防効果は認められなかったとする研究論文もあるのです。しかし、まったく反対に「マスク使用が感染予防に有効だ」と結論づける研究論文も当然あります。
真逆の結論、どっちが事実に近いのでしょうか?
1つ、方法があります。一般の方には聞き慣れない専門用語ですが、それらの研究のエビデンス・レベルを比べてみればいいのです。エビデンスとは証拠という意味です。
文末に示した図を見ると分かるようにエビデンス・レベルはピラミッドで表すことができ、ピラミッドの頂点(メタ解析)が一番エビデンス・レベルが高い、つまり証拠として強いということです。
ここで1つ、興味深い研究論文を簡単に紹介します。エビデンス・レベルは最高位にあるメタ解析研究です。
"Efficacy and practice of facemask use in general population: systematic review and metaanalysis" (Li et al., Translational Psychiatry, 2022, 12: 49; https://doi.org/10.1038/341398-022-01814-3)
研究の主目的の1つは、呼吸器感染症予防に対するマスク使用の有効性の検証です。
8つのRCT研究をメタ解析した結果として、マスクを使用することで統計学的に有意な呼吸器感染症からの保護効果が認められています。
その結果を受けて、マスク使用は呼吸器感染症を減少させうると結論するとともに、健康保護のためにマスク使用が推奨されるべきだと提言しています。
長々と書いてしまいましたが、最高のエビデンス・レベルでマスクの有効性が実証されたということです。
まぁ、経験的・感覚的に当たり前の話なんだけどね😅
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ちなみにWHOのテドロス事務局長は先述の会見で「新型コロナウイルスがもう世界的な脅威ではないという意味ではない。ウイルスは命を奪い続けている」とも述べていますので勘違いしないように気をつけたいですね😉
ということで、マスクの脱着はTPOをわきまえて判断しましょう(^_^)/
最後に改めて、科学的にもHSMC院内世論的にも支持されていることもあり、HSMCでは従前通りの感染予防対策を継続していきます。
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エビデンス・レベルのピラミッド