うちは最近七年間ずっと猫を飼っていますが、犬を飼っていたこともありました。
今より十三年前で、まだ幼稚園に通っていた頃の話でした。
両親はいつもとは打って変わって、朝早く起こしてきました。
「何よ」
と、私は重たい目蓋を擦りながら文句を言いました。
しかし、両親は気にせずににこにこしてこう言いました。
「ベランダにいってみなさい。いいことがあるよ」
私は好奇心に煽られ、いそいそとベランダへの扉を開けました。
すると扉の後ろにいたのは、黄色と黒色の二匹の子犬でした。
盛んに尻尾を振りながら、じっと私を見つめていた子犬たちでした。
私は黄色の子犬の頭に手を伸ばして、なでなでしようとすると、向こうは自ら寄りかかってきて、小さい頭で私の手を擦っていました。
ずっと黄色の後ろに隠れていた、黒色の子犬もつられて私の手を頭で擦ってきました。
周りにいた両親から見れば、きっと微笑ましい光景だったでしょう。
人も犬も、同じ幼くて物心すらついていなくて、全てに好奇心が溢れる年頃でした。
お互いに何の警戒心も持たず、ただ相手のことを知りたくて感じたいからこそ、触れ合おうとしました。
段々懐いてきた子犬たちは、私の大切な仲間になってくれました。
両親が仕事で出かけた時も、祖父が家事で忙しい時も、一緒に遊んでくれたのは子犬たちでした。
子犬たちがいてくれたおかげで、いつもより楽しい一年を送りました。
そしてある日、私は寝坊していつもより遅く起きました。
いつものように、ベランダへのドアを開けましたが、黒色の犬がいませんでした。
私を見た黄色の犬は、飛びついてきてズボンの裾を噛んで引っ張りました。
私は腰を屈めました。
「どうしたの。黒色はどこにいった?」
しかし、返してきたのは、黄色の犬がおろおろした弱い鳴き声だけでした。
「こんなんじゃ、かわんないよ」
膝をついた私は、不安で悲しそうな黄色の犬をそっと抱きしめて、慰めました。
........