秋のイケメン屋台まつり限定コラボストーリー
春×ウィル「まさかの王室オファー」
バーン!っと花火があがった。
夜空に散る花火を見上げながら、私は感慨深く息をはく。
(終わった……)
盛り上がった屋台バトルも終了し、お祭り会場では引き続き後夜祭が行われている。
(ライブに屋台、本当に楽しかったなぁ……)
やりきった達成感が心地よく、思わず笑顔になる
??「ここにいたのか?」
(え……)
その声に振り向くと、神堂さんが立っていた。
春「どこを見てもいないから……少し心配になった」
○○「神堂さん、お疲れさまです!」
春「あぁ……」
○○「ステージ、本当に楽しかったですね」
言いながら、さっきの言葉にドキドキする、
(どこを見てもって……私を探してくれてたってこと?)
春「今日のキミの声も……会場に美しく響いていた。きっと、たくさんの人の心に届いただろう」
そう言ってフッと笑う。
(あ……)
至近距離で微笑まれて、私の胸は一層ドキドキと高鳴った。
すると、すぐ後ろから……。
??「ハル・シンドウ……」
(え……)
誰かが神堂さんの名前を呼び、スっとこちらに近づいてきた。
(この外国の人、どこかで見たことがあるような……)
春「ウィル王子……」
(えっ……!)
私はびっくりして目を見開く。
(フィリップ王国の……!?お祭りに来てるのは知ってたけど……)
ウィル「今日はなかなか……楽しい時間を過ごせましたね」
ウィル王子は憂いのある微笑みで、神堂さんと言葉を交わす。
(神堂さんって、ウィル王子と知り合いなの……!?)
呆気にとられて2人を交互に見つめていると、ウィル王子がこちらを向いた。
ウィル「そちらの方は……確かさっきのステージにいたね」
○○「あっ、えーっと……○○と申します!ス、ステージで見て下さったということで、ま、誠に光栄です!」
ガチガチに緊張してしまったせいで、変なしゃべりになってしまった。
春「ふっ……」
隣にいた神堂さんが笑いを漏らす。
(あっ、神堂さんに笑われちゃった……)
するとウィル王子もつられてフッと笑う。
ウィル「本当に素晴らしいステージだった……先程ハルに声をかけて、この国の音楽について教えてもらっていたんだ」
(そっか……それで神堂さんと)
合点がいって頷く。
ウィル「もし、よかったら……」
するとそこに、また誰かの落ち着いた声が……。
??「ウィル王子、どなたと話しているのですか?」
その人はウィル王子のそばまで近づき、私と神堂さんに気づく。
(えっ、シャルル王国のエドワード王子まで……!?)
エドワード「おや?あなた方は……」
エドワード王子は優雅な微笑みを称えて、話しかけてきた。
エドワード「先ほどは、素晴らしいステージをありがとうございました。特にあなたの歌声には……」
(え……私?)
エドワード「人々の心に届く力がありますね……」
そう言ってジッと見つめてくる。
○○「きょ、恐縮です……」
エドワード「もしよろしければ……ぜひシャルル王国にいらして歌って頂きたいのですが……」
(え……)
ウィル「ちょっと待って……今、俺も彼女にオフアーしようと言いかけてたところだ」
ウィル王子がエドワード王子に向き合う。
ウィル「この国の歌……彼女もきっと喜ぶだろうしね」
エドワード「考えることは同じですか……」
何やら歌を聞かせたい人がいるようで、2人はどんどん話を進めている。
(ど、どうしたら……)
そう思っていると、一瞬だけ私の手に誰かの手が触れた。
(え……)
顔を上げると、神堂さんの真っ直ぐな視線とぶつかる。
(神堂……さん?)
何か言いたげな視線にドキンとなると、また誰かの声が聞こえてくる。
ロベルト「おーい!ウィルりん、エドちん、こっちこっち!」
(え……あれって今度はロベルト王子じゃ……)
エド「おや……行かなくてはならないようです」
ウィル「オファーの件、考えておいて」
そういい残すと、2人は行ってしまった。
(2人の王子……なんだかすごい体験をしたな)
呆然としていると、神堂さんが口を開いた。
春「……キミの歌は、国境を超えて、人の心に届くんだな」
○○「え……そんな」
振り向くと、見守るような神堂さんの笑顔があった。
春「ただ……」
(ただ……?)
眉間にしわを寄せた表情が気になって見つめる。
春「キミの1番は……俺だ」
最後の部分が、遠くの喧騒でかき消されてしまった。
○○「今、なんて……」
そう聞き返そうとしたら、そっと手を繋がれる。
(え……)
心臓が跳ね返りそうになった。
春「……キミの歌の、キミの声の本当の価値を1番に知っているのは俺だ……それに関しては、自信がある……」
そう言いながら、さっき王子がいた時よりも今度は強く手を握る。
それなのに顔だけは、恥ずかしそうにそっぽを向いたままだった。
(もしかして、少しだけヤキモチを妬いてくれてる……?)
今までにない神堂さんの態度に、胸がきゅんとなる。
と、そこに再び、終わりを告げる花火が鳴った。
夜空に散っていく美しい光景を眺めならシミジミ思う。
(お祭りに参加して……本当に良かった)
ラストの花火が大きくはじけ、瞬く星と一緒になって、夜空の中に消えたのだった―。