刑事訴訟法については細かい表現などを正確に再現することが困難であると判断したため、構成用紙に基づき答案構成だけを記したいと思います。
設問1 小問1
1 逮捕の適法性
別件基準説
↓
①X社社長の供述・Aの供述・捜査報告書等で甲の嫌疑濃厚→逮捕の「理由」あり
②甲は無職・単身生活・預貯金ほとんどなし→逃亡のおそれ→逮捕の必要性あり
→逮捕は適法
2 勾留の適法性
勾留の「理由」、60条各号該当性、勾留の必要性検討
→勾留は適法
3 もっとも、身柄拘束が別件のためでなく専ら本件のために利用されているような場合、その時点以降
の身柄拘束は違法(実体喪失説)
①7日まで→別件(業務上横領)の取調べ時間が11時間に対して本件(強盗致死)の取調べ時間が10
時間でありほぼ半々
しかし、本件の取調べについては任意である旨の説明あり
また、スマホのデータ精査や周辺への聞き込みは別件の捜査と本件の捜査を兼ねて行
われていたものであるから、ここから捜査機関が専ら本件のために甲の身柄拘束をして
いたという意図を推認することはできない
→適法
②8日以降→別件の取調べ時間9時間に対し本件は30時間と約3倍もの長さ
8日以降本件の取調べについては任意で行う旨説明したという事情がない
別件は3万円の横領、本件は強盗致死→事件の重大性の違い
以上から、たしかに8日以降も別件におけるその他の捜査が行われているが、身柄拘束
については専ら本件のためになされた
→違法
4 よって、下線部の逮捕勾留及びこれに引き続く身体拘束は平成31年3月8日以降は違法
設問1 小問2
1 逮捕の適法性
本件基準説
↓
Vの供述に合致する原付は甲名義のもの以外に2台あったこと、甲方に甲名義の原付がなかったこ
とから、本件については未だ証拠不十分であり、嫌疑が濃厚であったとはいえない
→本件につき逮捕の「理由」がない
→逮捕は違法、それに引き続く勾留も違法
2 これを採用しない理由
逮捕は逮捕事実によりなされるものであるから、逮捕事実につき逮捕の要件を満たしていればよい
このように考えても、専ら取調べが本件のために行われているなど事情があれば、人権保障の観点
から以後の身柄拘束を違法とすれば足りる
設問2
1 訴因変更の要否
→変更前の訴因は業務上横領罪(刑法253条)変更後は詐欺罪(同法246条1項)
適用条文が変わるため、審判対象画定の見地から訴因変更が必要
2 訴因変更の可否
公訴事実の同一性が認められるか、基本的事実の同一性の有無により判断する
犯行の日時場所が同一、Aが甲に3万円を受け取ったという行為態様も同一
→基本的事実の同一性あり、公訴事実の同一性が認められるから訴因変更可能
3 公判前整理手続が行われた場合も訴因変更可能か
公判前整理手続の趣旨から、この趣旨を没却するような訴因変更は認められない
→甲は自己に集金権限がなかったことを認めている点、訴因変更の請求後検察官及び弁護人から
の追加の証拠調べ請求はなかった点から、訴訟が遅延するとは考えにくく審理の迅速化という公
判前整理手続の趣旨を没却しない
よって訴因変更可能
※特に問題提起や規範部分については本番ではもっとちゃんと書いていますが、あてはめで拾っている事実についてはこの程度だと思います(構成用紙にそれしか書いてないので)。今思えばもっと拾えた事実はたくさんありますね…実際書いた答案は5ページと半分くらいです。
ちなみに去年は実質的途中答案になってしまいC評価でした。