幸福学概論p135より


マックス・ウェーバーの思想のなかで、印象に残り、私も繰り返し述べていることは、
彼の『古代ユダヤ教』という分厚い本のなかに書かれている言葉です。

 そこでは、「一般的には、一神教の影響が非常に強く、一神教的なものが流行ると、
民主主義的なものが否定されるように考えがちであるが、
実は、民主主義の時代には、宗教は繁栄している」ということを、
彼は明確に述べています。

 これは、ギリシャやユダヤでもそうであったわけですが、
民主主義的な精神が生きているときには、農民や一般市民から出てくる
預言者までいて、神の声を聞ける人は、祭司階級からのみ出てくるのではなく、
いろいろな階級を超えて出てきます。
それを、人々が認めて受け入れて、それに基づいて政治もなされ、国の判断もなされ、
その国民の運命も委ねられるようなことは、
何度も起きているのです。

 ですから、民主主義的な価値観のなかでこそ、宗教も、また繁栄するわけで、
「両立する」ということです。
そういうことを、彼は言っています。