1989年の話です
夕暮れせまるなか、私は1人で走り出した。
街の灯りが綺麗なシアトルを抜けると、だんだん寂しくなってくる。
郊外のフリーウェイは70〜80マイルで流れているから、Z1のタコメータは常時5,000回転以上を示している。
903cc4気筒エンジンの振動とKERKER集合菅から吐き出される排気音は、生き物が唸り声をあげているようだ。
Z1と一緒なら1人でも淋しくない。
シアトルがあるワシントン州からオレゴン州までは森の中を走る。
街灯は殆ど無い。
暗闇のなか、H4ハロゲンの明かりを頼りに走る。
ガソリンが無くなる前に、モーテルに滑り込んだ。晩ご飯はアービーズのローストビーフサンドイッチにホースラーディッシュソースをたっぷりかけてかぶりつく。
朝起きて外に出ると、シアトルとは違う乾いた空気が漂っていた。

