去る12月1日、名古屋スパイダーズ1年の集大成となる単独公演が大盛況のうちに幕を閉じた。この公演を最後に引退となる第5期メンバーに焦点を当て、男子チアというまだ知名度の低いコンテンツに、模索の末に最高のパフォーマンスを見せた名古屋スパイダーズの魅力を振り返りたい。
私が名古屋スパイダーズに出会ったのは、2年前の単独公演だった。生で見る迫力、力強さに魅了されたことを思い出す。男子だけでのチアは、チアに不可欠な美しさ、繊細さ、同期性に加えて、トップの到達点の高さや、ベースの力強さをも必要とされることがわかった。
名古屋スパイダーズは、過去2回全国大会に出場しているが、順位は奮わないものであった。しかし、競技会だけでは伝えられない彼らの魅力とは、「笑える」「泣ける」ポイントを随所に盛り込んでくるという演出にある。その集大成が単独公演なのである。
第5期メンバーは、その演出が巧みであった。昨年の単独公演で見せた、弁慶による「ブサイク構成」は、その最たるものであった。構成の後に、弁慶は母との2ショットを映し出す。会場には、涙しながら笑う観客が目立った。
ここが正に名古屋スパイダーズの真骨頂である。ジャンルは全く異なるが、大衆演劇を彷彿とさせる。スリル溢れる真剣な演技のあとに、笑いや涙を誘う演出が盛り込まれている。
単独公演は、10もの構成と、それらを繋ぐ仕掛けで成り立っている。時には大学生らしい悪フザケで笑わせ、時には趣向を凝らした動画作成で楽しませ、また女子チアやよさこいとのコラボ、最終的には貴重な大学生の時間を注いで得られた絆を感じ取った観客の涙を誘う。チアという競技をエンターテイメントにまで昇華させたのは、彼らのセンス、努力、アイデア、絆を惜しむことなく出し切った第5期を中心とした全メンバーのなせる技だったのであろう。
今後、第1期から脈々と受け継がれてきたスパイディズムは、年々新たなメンバーを加えながら進化していくと信じたい。いつの日か、様々なメディアで目にすることになるかもしれない。それは私達ファンにとってはたまらなく嬉しいこと。でも忘れないでほしい。名古屋スパイダーズの魅力を余すことなく存分に堪能できるのは、めざましテレビでも名古屋ドームでもなく、単独公演に込められた多数の構成とあらゆる仕掛けからなる、ショーマンシップを持つメンバーが魅せるエンターテイメントなのだということを。
私は今後も、きっと名古屋スパイダーズの単独公演を応援し続ける。何度も見た映画、少林サッカーのチャウ・シンチーをまた見たくなるように。名も知らぬ一座が健康ランドで、真剣な剣劇で客を魅了し、笑わせ、ホロリとさせるのを楽しみにするように。


