頂いた本だったのですが、自分の全く知らない世界の本だったため、一気に読んでしまいました。

まず、著者の目の付け所に感心しました。
よくここまで犯罪集団の中に入り込んで、生々しい取材ができたものだ、と。
彼自身、自らの活動のフィールドを「貧困や虐待・育児放棄などの劣悪な家庭環境に育ち、社会の裏側で生きるようになった若者たち」と定め、これまでの実績があるからこそ、できたことなのでしょう。

著書には、オレオレ詐欺の組織化された裏側が、見事なまでに書き記されています。

オレオレの電話は決してランダムに電話をかけているわけではなく、「名簿」で狙いをつけて電話をしています。
そしてこの「名簿」の情報を強化するために「騙り調査」というものが行われているのです。

具体的にどういうことなのでしょうか?

例えば、国勢調査、地元警察の調査、
これらを装ってこんな電話がかかってきたらどうでしょうか?
「こちら○○警察署の生活安全課ですが、ただいま高齢者の防犯のためにいくつかのご質問と安全確認をさせて頂いております。以下略」

この電話を受けて、淋しい老人の中には、引っかかって自分の家族情報をしゃべってしまう人もいることでしょう。
これが、その後のオレオレ詐欺のリアルな会話に使われるのです。


著者は、こう後書きに記します。
高齢化社会とは、「生産力を失った多くの高齢者を、少数の若者が支える社会」。そして、かつてないほどに拡大した若者と高齢者の経済格差と、努力しても報われることがあまりに少ない現代の若者の世代観から、必然的に「支えることより奪うこと」を選ぶものは生まれた。

他にも、ここには書けないような、集団のもっと驚くべき「大義名分」も書かれています。

理想を語ったり、昔を懐かしがったりすることは簡単です。
ただ、悲しいことですが、これが今の日本の現実です。

老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)/筑摩書房

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会社員生活において、人事の話は常について回るものです。
片方から見た正義は、その反対側の立場から見れば悪になりえます。

在任中に名経営者と言われていた中村邦夫社長。その人がこの本では酷評されています。
社長とは結果を出すために時に強権を振るわなくてはいけない存在です。
特に会社が苦しい時にこそ、社員の多くから嫌われる決断をしなくてはいけません。

「V字で男をあげて以降の中村というのは、人が変わってしまったわね。異常なほど部下を選り好みして、自分の好きなタイプしか選ばないというところへいっちゃった。しかも嫌いとなると、人格を全否定する。それだけに、骨のある奴から抜けていきましたなあ」
「中村さんに嫌われたら会社人生は終わり」
「要するに、時代に対応できるトップを選べなかった時期があったということでしょう。社長になる人ですからね、それなりの見識が備わっているというのが前提の話。だけど、それがなかったらどうしようもない。彼らを選んだ時はベストだと思っていたんですから、松下電器には、そんな力しかなかったんでしょうな」

辛辣な言葉が次々に並んでいます。
ある一面では、その通りなのでしょう。

ただ、後から振り返って、片側から批判するのではなく、
別の視点での批評も加えてほしかったと思います。
(読み物としては、この構成の方が面白いのは間違いないのですが…)

社長は結果が全て、と言えばそれまでですが、
彼だからこそなしえたこともあったのではないでしょうか。

ただ、長らく居座ってしまった創業家、それにへつらう経営者の態度は、
自己保身の塊・顧客不在で確かに大きな責任があったように読めました。

大きな組織になればなるほど、完璧な人事など不可能に近いですが、
社会・社員に影響の大きいトップの人事は、最も重要、かつ最も難しい経営判断の一つなのでしょう。


ドキュメント パナソニック人事抗争史/講談社

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広州四季酒店(Four Seasons Hotel Guangzhou)の70階にて、アフタヌーンティ。
あいにくの霞がかった天候だったのですが、天気が良かったら最高の場所です。




香港のペニンシュラと比べれば、それは格式・伝統も及びませんが、
雰囲気や肝心の味、値段(一人233元)を考えれば、十分にお得感があると思います。


Four Seasons Hotel Guangzhou
5 Zhujiang West Road
510623 Pearl River New City, Tianhe District, Guangzhou
Tel: +86-20-8883-3888