ふなっきの時空は歪んでいる。
「チョトマテクダサイ!」で、
スマイレージに憧れ、
ハロプロを知った少女時代。
あの時、映像越しに見た
タケちゃん(竹内朱莉)が、
今は隣にいることに
驚くときがある。
また、朝起きて天井を見上げ、
ふと「私にも、応援してくれる人がいるんだ」と思うと、
不思議な気持ちになるという。
卒業を前にした今、
向こう側の世界に憧れてた自分、
今はその向こう側の世界にいる自分が
交互に入れ替わる感覚を
覚えているのだろうか。
<セトリ> ※2部
01.GIRL ZONE(雨ノ森川海)
02.あったかい腕で包んで(℃-ute)
03.素直に甘えて(Juice=Juice)
04.コンプレックスにサヨウナラ!(ミニーズ。)
05.高輪ゲートウェイ駅ができる頃には(CHICA#TETSU)
06.恋はマグネット(カントリー・ガールズ)
07.引越せない気持ち(松浦亜弥)
08.無幻クライマックス(℃-ute)
09.時空を超え 宇宙を超え(モーニング娘。'14)
10.女のプライド(Berryz工房)
11.そのすべての愛に(Berryz工房)
12.自転車チリリン(スマイレージ)
着物姿で『GIRL ZONE』なぞを興じ、
いきなり「ちひろモード」全開のふなっき。
説明しよう。
「ちひろモード」とは、鬼束ちひろのような
おどろおどろしい世界観に
ふなっきがどっぷり浸かっているときの状態を指す。
鬼束ちひろもそうだが、
もともと椎名林檎が好きなふなっきである、
『あったかい腕で包んで』、
『素直に甘えて』と
続けてJAZZYでムーディーな曲を選んできた。
ハローのみんなは比較的仲良いほうだと思うけど
現役でいる間は、
それぞれがライバルで競争の世界である。
だが卒業が決まると、
その競争からは解放され、
自分のやりたいことがクリアになる、
あるいは、自分の感情に素直になれるという部分が
あるのかもしれない。
とくにこのご時世で、
グループでの活動が少なくなり、
アンジュルムのメンバーと一緒にいる時間が、
以前よりも大好きになった。
ひとりっ子だから、
ひとりでいる時の寂しさにはより敏感だ。
自分からメンバーを食事に誘うのは恥ずかしいから、
「お腹すいたな~」とか、
わざとみんなに聞こえるようにカマをかけ、
できるだけ一緒にいる時間を伸ばそうとするのだが、
りかこ(佐々木莉佳子)やれいら(伊勢鈴蘭)が、
そんな気持ちを見透かしたように
「ダイエット中でしょ?」と優しくなだめるのだという。
カントリーの曲はもう封印するだろうと思っていたのに、
『恋はマグネット』をやってくれたのには驚いた。
ふなっきといえば『恋はマグネット』、
一番の思い出の曲。
セピア色の、懐かしくも切ない、美しい曲。
自分の中で封印していた想いが、
ついつい溢れ出す。
「こういう言い方をすると冷たく聞こえるかもしれないけど、
卒業したら、もう会えなくなるわけじゃないですか」とふなっき。
たぶん、その事実に誰よりも戸惑い、
消化し切れてないのかもしれない。
アイドルとファンの関係とは、不思議なものである。
そして、メンバーとの関係も。
#09~#11の3曲は、
ふなっきの今の心境や想いが
ギュッと凝縮された選曲になった。
私はまだね未完成 遠い過去から君を待つ
この世で出会えると信じ 君を待つ(時空を超え~)
君はどんな顔で歌う 君はどんな声で笑う
また次の世でも会えるかな 切ないよ(時空を超え~)
寂しくないわ 私はまだまだ生きてやることあるから
悔しくないわ 私の大きな夢を実現するから(女のプライド)
優しさに見守られ 歩いて来たんだね
ひとりぼっちなんかじゃない 大切な人がたくさんいるよほらね
そのすべての愛にサンキュー(そのすべての愛に)
とりわけ『そのすべての愛に』は、
やなみん(梁川奈々美)が
最後のバースデーイベントで
「私の全ての感謝の気持ちを込めて歌います」と歌った曲だ。
あの時、やなみんが抱いた気持ちを、
今はふなっきが同じように共感してるのだろうか。
時空を超えるやなふなフォーエバー。
そして、ふなっきが最後に選んだのは
『自転車チリリン』だった。
大好きなスマイレージの曲。
そして、アンジュルムとして初めて武道館に立って歌った曲。
憧れていた頃の自分。
そして、夢が叶った時の自分。
過去と現在をタイムトラベルしながら、
ふなっきは、卒業の時を迎えようとしている。