つんくが書いた卒業ソングの中で最高傑作といえば、
鞘師里保のために書いた「Endless Sky」。

卒業してハロプロを辞めていく時に、悔し涙が滲んでいたのは唯一、鞘師だけ。

彼女の本質をよく知っているつんくだからこそ書けた曲だと思う。

 


今回のやなみん(梁川奈々美)の卒業に際して、彼女自身はどう思っているのか。

後悔する気持ちはあるのだろうか。

少なくとも昨日見たバースデーイベントの中では、

後悔に似た感情は一切無いように見えた。

正確に言えば、あとで悔いが残らないように全力でイベントをやり切ることに集中しているようだった。


やなみんは、ハロプロの門を叩いたときから、早熟の優等生だった。
実力診断テストでは、涼しい顔して「ロマンスの途中」を一人でやり切り周囲をアッと驚かせ、

研修生時代は誰よりも意識が高く、万全の準備をしてからレッスンに臨むような、

とことん真面目な子だった。

一見、順風満帆に見えたアイドル人生。
でも優等生であるがゆえ陥りやすいパラドックスに、彼女がハマってしまったのかもしれない。

 

ある部分では大人びているけど、その一方である部分では子供の部分も残っている年頃、
それでも周りの期待に応えようとして本来の自分より背伸びをして、

知らないうちに無理をしていたり、
自分の事よりも、他人の考えを優先しずぎてしまったり、
いつの間にか、バランスを崩してしまう、そんな状態。

(そもそも思春期とは、そういうアンバランスな時期を指すもので、遅かれ早かれ誰にでも訪れるものだ)


やなみんの最後の写真集のタイトルが『アンバランス』なのも、

なんだか象徴的じゃないか?!

そんな中、今回の卒業は、周りの意見に流されずに自分で悩み考え抜いた末に決めたこと。
これでまた新しい自分と向き合える。


ただ唯一、心残りがあるとしたら…?


バースデーイベントで歌った「消失点-Vanishing point-」、
俺もそうだし、多くのヲタがこの曲に心打たれた。

昨日のやなみんのブログを覗いてみた。
そしたら、練習のときから、この曲を歌うたびになぜか船木結の顔が
浮かんできたのだという。

「消失」とは、それまで当たり前のようにあったものが、
いきなり何の前触れもなく、あとかたもなく消えてしまうことを意味する。

言葉にしたらこわれそうで怖くて、
いつもふざけあうことしかできなかった。
あの時、「僕」に少しだけ勇気があれば、
運命は変わっていたのかな。

 


「僕ら」はただ、来るはずのないもうひとつの運命に思いを馳せている。