いっちゃんファクトリーのコンセプトとして語られた、
多種にわたる「身体表現」へのアプローチ。
日本人は、この「身体表現」があんまり得意ではないですね。
どうしても「言葉」に頼りがち。
(その分、日本語は多様な進化を遂げていますが)
しかし「言葉」では伝わりにくいニュアンスや感情表現というのも確かにあるんです。
ラジオやテレビであれだけ饒舌に語りまくって芸能界でのし上がった道重さゆみが
「SAYUMINGLANDOLL」でその「言葉」を封印したのは、
「言葉」では伝わらないディテールを表現したかったからなのかもしれません。
プロジェクションマッピングを駆使したこの新種のパントマイム芸は
「言葉」に頼らない分、世界に通用するエンターテイメントとして可能性を秘めています。
事務所はそこに目をつけた?!
…でも、これはさゆの専売特許なのでは?!
ところで、さゆの歌はオートチューンエフェクトが当たり前になってきてますが、
オートチューンはもともと、手軽にリアルタイムなピッチ補正ができる
ソフトウェアとして注目され、Daft Punk『One More Time』により
世界に広く知られるようになったものです。
『恋愛ハンター』でさゆパートだけエフェクトがかかっているのが
「音痴なのを隠すため」だなんだとか揶揄されたりもしましたが、
今や、エレクトロサウンド、テクノポップとの相性の良さ等、
オケとセットで使って相乗効果があるものとして、ボカロ音楽の発展や、
中田ヤスタカ(Capsule~Perfume~きゃりーぱみゅぱみゅ)の台頭を経て
市民権を得るようになりました。
補正ツールとしての働きではなく、新しい音楽の世界観を表現するためのツールへ。
モーニング娘。のEDMへの傾倒と共に、自然とさゆの武器に代わっていきました。
そんな、さゆのエフェクトと相性抜群なのが、
娘。のEDM路線に多大な貢献をした大久保薫。
大久保ちゃんはアニソンの帝王(「魔法先生ネギま!」の主題歌『ハッピー☆マテリアル』など)
と言われるくらい、数多くのアニメソングの編曲を手掛けたことで有名ですが、
彼の音楽は、アニソンという枠だけに捉われません。
ハロプロ含め、鬼のような仕事量をこなしているうちに、
もともとクラシック(ピアノ)の素養があったところに、ストリングスアレンジを取り入れ、
ピアノ(シンセサイザー)とストリングスをミックスさせた
独自のスタイルを編み出すに至ったのです。
大久保薫ワールドは、「SAYUMINGLANDOLL」の世界観を形造る重要なパーツです。