昔小学校の頃にK君という、失敗をしても、少し焦った様子をみせつつ「へへへ」とニコニコとよく笑う男の子がいました。

小学校1年とか2年とか、それくらいの年齢の時だったような気がします。

 

彼の家はいつも給食費が払われておらず、サインの必要な書類は「忘れました」と持っておらず、薄汚れたTシャツをよく着ていました。

 

今思うと彼の家は裕福ではなかったのか、はたまた家庭がそれ以上に複雑だったのかわかりません。

 

子どもだった私はなぜかいつも席替えするたびに隣になっていて、

「また忘れたのー!」

「仕方ないなぁ、一緒に家に帰って手伝ってあげようか??」

と男子特有のおっちょこちょいだと思っていたので、

子供ながらそんな優しい言葉を何度かかけていたことを覚えています。

 

 

当時の私の家庭も色々と複雑でしたが、

幼かった為にそれが「普通」と思い込んでいたので、

K君やその他の友だち、他人の複雑なこともまったく深い考慮ができず、

大人になった今でも彼の瞳の奥の悲しい気持ちにちゃんと気づいてあげられなかった事を悔やんでいます。

 

 

彼は頑なに家庭には触れてほしくない、

家にも来てほしくない、

と、よく拒んでいました。

 

それもあってか、仲良くしている友達のだれも、彼の本当の苦しみに気づいてあげることができませんでした。

 

彼の家庭をネグレクト、虐待、はたまた彼自身がヤングケアラーなのか、

今になっては謎に包まれていますが、

 

当時子ども同士では誰も全く気付かなかったですが、

大人は異変に確実に気づいていたのは間違いないです。

 

しかし結局彼が救われている姿は見た事が無く、おそらくなかったのだと思います。

 

 

こうした苦しんでいる子どもたちを助けられるのは

あまりにも幼い場合には

自分のおかれている立場に気づいた本人か、

周りにいる大人たちしかいないということなのです。

 

 

ヤングケアラーという言葉はまだそこまで知られているものではないですが、

私は一人でも多く知ってほしいという思いと、

K君のような、だれにでも優しくて、いつでもニコニコしていた子の幸せを奪うような環境をできるだけ減らしたい、

そういった思いで今この記事を書いています。

 

この記事にたどり着いてくださったみなさまが

ヤングケアラーという存在に気づいてくださいますように。

 

 

願いをこめて。

 

何故?子どもが親や祖父母の世話をする?ヤングケアラーという存在