先日、あるお客様から相談がありました。
売主が2,000万円値引きするから買わないか、といわれたいうのです。
物件は、築40年のマンション。都心の駅近マンションで地元では有名なマンションです。専有面積も100㎡以上あり、室内はピカピカではありませんが、今どきのマンションにはない高級感溢れるマンションです。
たまたまオープンルームをやっていて見つけたそうですが、その時の価格は約7,000万円。それを、5,000万円に値引きするから買ってもらえないか?と提案されたというのです。
理由は、今回の地震。築年数を考えると大幅値引きしても売却した方がいいのではないか、と売主が考えたというのです。
すぐに検討してみたのですが、今回は相談者(買主)のニーズと少し違う物件でしたので購入には至りませんでした。それにしてもスゴイのは売主です。値下げの仕方が「男前」です。
「値引きしますから希望価格を言ってください」というのはよくあることですが、いきなり2,000万円値引きしますから買ってくださいというのは滅多にありません。
これくらいの価格(7,000万円)なら、500万円きざみで徐々に値下げしていくのが精一杯。いきなり2,000万円の値引きというのは、プロ?の手口です。自分でビジネスをしているか、投資家でないとそこまでの決断はできないでしょう。
震災の発生から1週間経つか経たないかの時期でしたから、売主の決断力の強さが伺えます。こういう売主の物件は、遅かれ早かれ売れます。
多くの人がなぜ2,000万円なのか?ということに疑問を抱くことでしょう。2,000万円値引きしないと売れないのかというとそうでもありません。1,000万円でも1,500万円でも売れるかもしれませんし、2,000万円でも今回のように売れないかもしれません。
正直、2,000万円値引きすることにした明確な理由はないと思います。きっと営業マンに、今値下げできるギリギリの価格はいくらですか?と聞かれたのでしょう。そこで出てきた価格が、たまたま2,000万円だったのだと思います。
売主の意識のなかに、いくらでもいいから、少しでも早い時期に、売れる価格で処分することが得策だという意識があるのでしょう。まさに「相場師の勘」です。
はっきりいって、この「相場師の勘」は当たっています。今、売主が考えなければいけないことは、とにかく早く売ることです。早く処分することが、最も高値で売り切ることになるからです。
これから不動産を売却する人にとって重要なのは、価格です。最初の売出価格を間違えると、日々資産価値を落とすことになります。くれぐれもご注意ください。