NY唯一のLouis Sullivanの建物:Bayard-Condict Building
意外に知られていませんがNY市に一つだけ、シカゴを代表する建築家であるLouis Sullivanの建築があります。名前はBayard-Condict Buildingといい、エリア的にはNoHo(North of Houston)にあります。とてもファサードの装飾が華やかなので気になった人もいるかもしれません。

Bayard-Condict Buildingは1897年から99年にかけられて建てられました。構造は12階建ての鉄骨構造です。ファサードのデザインにもサリバンの主張であるForm follows functionがよく現れています。2階部分から最上階近くまでにまっすぐに伸びるpilasterが建物の垂直性を強調し、勢いよく注がれた人々の視線はアーチとコーニスできっちりととまるようになっています。

この壁面の装飾はterra cottaという粘土でかたどりをしたものでできており、小さいピースを壁面に貼り付けています。NYにはファサードにterra cottaが使われている建物がよくあります。terra cottaの見分け方は、ピースの大きさが比較的小さいこと(継ぎ目が決めてです)と欠けている部分を見ると粘土っぽいざらっとした触感が見て取れます。terra cottaは型を作ってしまえば同じものを繰り返し生産することが可能なので、経済的な装飾方法として一時期はやりました。Bayard-Condict Buildingのterra cottaのデザインも当時の新しい装飾形態を目指したサリバンらしく、植物をモチーフとした有機的なデザインになっています。

とにかく細かいところまで装飾がほどこされています。
この建物はもちろんNY市のlandmarkにも指定されています(1976年)が、国の指定であるNational Historic Landmarkにも指定されています。また2000年に大々的なファサードの修復作業が行われ、NY市のWASAという建築事務所(preservationプロジェクトに強い事務所)がterra cottaの前面修復・一部復元作業を行ったため、現在では非常にきれいな状態のファサードを楽しむことができます。夜になるとライトアップもされていて、細かい装飾までもがきれいに見ることができます。
65-69 Bleeker Street
(BroadwayとLafayette Streetの間)
最寄り駅:
B,D,F,VのBroadway-Lafayetteか6のBleeker Street
参考
New York City Landmarks Preservation Commission, Guide to New York City Landmarks 3rd Edition (New York:John Wiley & Sons, 2003)
http://en.wikipedia.org/wiki/Bayard-Condict_Building

Bayard-Condict Buildingは1897年から99年にかけられて建てられました。構造は12階建ての鉄骨構造です。ファサードのデザインにもサリバンの主張であるForm follows functionがよく現れています。2階部分から最上階近くまでにまっすぐに伸びるpilasterが建物の垂直性を強調し、勢いよく注がれた人々の視線はアーチとコーニスできっちりととまるようになっています。

この壁面の装飾はterra cottaという粘土でかたどりをしたものでできており、小さいピースを壁面に貼り付けています。NYにはファサードにterra cottaが使われている建物がよくあります。terra cottaの見分け方は、ピースの大きさが比較的小さいこと(継ぎ目が決めてです)と欠けている部分を見ると粘土っぽいざらっとした触感が見て取れます。terra cottaは型を作ってしまえば同じものを繰り返し生産することが可能なので、経済的な装飾方法として一時期はやりました。Bayard-Condict Buildingのterra cottaのデザインも当時の新しい装飾形態を目指したサリバンらしく、植物をモチーフとした有機的なデザインになっています。

とにかく細かいところまで装飾がほどこされています。
この建物はもちろんNY市のlandmarkにも指定されています(1976年)が、国の指定であるNational Historic Landmarkにも指定されています。また2000年に大々的なファサードの修復作業が行われ、NY市のWASAという建築事務所(preservationプロジェクトに強い事務所)がterra cottaの前面修復・一部復元作業を行ったため、現在では非常にきれいな状態のファサードを楽しむことができます。夜になるとライトアップもされていて、細かい装飾までもがきれいに見ることができます。
65-69 Bleeker Street
(BroadwayとLafayette Streetの間)
最寄り駅:
B,D,F,VのBroadway-Lafayetteか6のBleeker Street
参考
New York City Landmarks Preservation Commission, Guide to New York City Landmarks 3rd Edition (New York:John Wiley & Sons, 2003)
http://en.wikipedia.org/wiki/Bayard-Condict_Building
モダン建築のランドマーク: William Lescaze House
NY市のLandmarks Preservation Commissionが定めるlandmarkには、いわゆるレンガや石作りのタウンハウスやMcKim, Mead & Whiteに代表されるようなボーザール様式の、装飾が重要な意味をなす公共建築だけでなく、モダン建築も含まれています。全体数における、その比率は決して高いとはいえませんが、数えてみたらindividual landmark(単体のランドマーク、Historic District内に含まれているものを除く)は約30ぐらいありました。
その中の一つに、モダン建築のパイオニア的な存在のWilliam Lescazeの住居兼オフィスだった建物も含まれます。Midtown Eastにあるこの建物は、もともと石造りのタウンハウスだったものを改造してできたもので、1934年に完成しました。1930年代のNYというとまだまだアールデコ様式等が主流で、ここまで装飾を排したシンプルなモダン建築はとても珍しかったのではないかと思います。LPCが発行しているGuide to New York City Landmarks (Third Edition)によると、このWilliam Lescase House and OfficeはNYで真に初めてのモダン様式で作られた家なのだそうです。

1階部分がオフィスとして作られたようで、住居への入り口とは別になっています。青い扉が白い壁にはえています。

非常にシンプルですが、色や素材、形によって小さいながらもファサードには動きがあるような気がします。ちなみにファサードの窓部分のガラスブロックの利用はNYではその当時初めて利用されたとのことです。

この建物のlandmark指定はわりと早く、建設されてから約40年目にあたる1976年に指定がなされました。landmarkの指定基準のひとつが、30年以上経っていること、ということなのでこれからlandmarkになりうるモダン建築が続々増えていくことと思われます。
William Lescase House and Office
211 East 48th Street
(3rd Avenueと2nd Avenueの間の北側)
その中の一つに、モダン建築のパイオニア的な存在のWilliam Lescazeの住居兼オフィスだった建物も含まれます。Midtown Eastにあるこの建物は、もともと石造りのタウンハウスだったものを改造してできたもので、1934年に完成しました。1930年代のNYというとまだまだアールデコ様式等が主流で、ここまで装飾を排したシンプルなモダン建築はとても珍しかったのではないかと思います。LPCが発行しているGuide to New York City Landmarks (Third Edition)によると、このWilliam Lescase House and OfficeはNYで真に初めてのモダン様式で作られた家なのだそうです。

1階部分がオフィスとして作られたようで、住居への入り口とは別になっています。青い扉が白い壁にはえています。

非常にシンプルですが、色や素材、形によって小さいながらもファサードには動きがあるような気がします。ちなみにファサードの窓部分のガラスブロックの利用はNYではその当時初めて利用されたとのことです。

この建物のlandmark指定はわりと早く、建設されてから約40年目にあたる1976年に指定がなされました。landmarkの指定基準のひとつが、30年以上経っていること、ということなのでこれからlandmarkになりうるモダン建築が続々増えていくことと思われます。
William Lescase House and Office
211 East 48th Street
(3rd Avenueと2nd Avenueの間の北側)
Jean Nouvelのスカイスクレーパー

Museum of Modern Art (MOMA)がディベロッパーと組んで建設を予定している53 West 53rd Streetという建物が、先週NYのちょっとした話題でした。この建物は現在のMOMAの横の駐車場スペースに建つ予定で、敷地自体はそれほど大きくありません。

建設予定地をWest 54th Street側よりのぞむ。
MOMAのスペース不足を解消し、かつホテルと住宅を作ることを目的としたこの建物は75階という超高層のビルになる予定で、実現すればクライスラービルを抜いてNYで3番目に高いビルとなるそうです。建築家には2008年のプリツカー賞を受賞したフランス人のJean Nouvelが起用されました。
この建物が実現するかどうかという第一関門が、2008年4月8日にNY市のLandmarks Preservation Commission (LPC)の公聴会にかけられました。なぜこの建物がLPCの審査を受けないといけないかというと、MOMAが隣接するLandmark指定のビル2件(University ClubとSt.Thomas Church)からair right(空中権、利用されていない開発権)を買い取って53 W53rd Streetのビルの建設に利用するためです。これはNY市のゾーニングの74-79(「セブンティーフォーセブンティーナイン」とそのまま読みます)という項目で指定されているLandmarkからのTransfer of Development Right(TDR)という許可にあたります。landmarkに指定されている建物は概して、ゾーニングで許可されているFloor areaよりも小さい場合が多いため、ランドマーク指定された建物のオーナーへの救済措置としてこのような開発権の売買が許されています。
University Club (5th AvenueとW54th Street)
St.Thomas Church (5th AvenueとW53rd Street)また、既存のゾーニングの要件を満たせない場合(bulkやsetback、或いは建物の用途など)に74-711という規定を利用して、要件を緩和することも可能で、今回MOMAはこの建物を建てるにあたって74-711の活用の許可も求めています。74-711はその見返りとしてlandmarkのメンテナンスプランを要求するので、そのためにここにもLPCの審査がかかわってきます。
74-79による開発権の移転と74-711によるbulk規定の緩和と歩道の要件の緩和が、このJean Nouvelのデザインするスカイスクレーパーを実現する、というのがMOMAの主張です。ちなみにJean Nouvelによると、この不規則なファサードのラインは典型的な四角い高層ビルとは一味違い、よりスリムで、光と空気が下の路面部分にまで届きやすいようにという理念があるそうです。また面白いのが、このデザインの構想がHugh Ferrisの実験的なドローイング(1916年にNYCに初めてゾーニングが導入されたときに、高層建築はどうあるべきかを模索した人)にインスパイアされたとのこと。彼なりのNYの建築の歴史へのオマージュなのでしょうか。
プロジェクトの規模の大きさから、公聴会には約100人に及ぶ人が集まり、実に50人近くが証言をするために登録をしました。しかし、その大半はプロジェクトに反対というものでした。まずManhattan Borough PresidentのScott StringerやSenatorのLiz Krugerがプロジェクトの地域環境へのインパクトに懸念を表明し、地域の代表であるCommunity Board 5も強い反対を表明し、Municipal Art SocietyやHistoric District CouncilなどもMidblock(ブロックの真ん中あたりの位置)に抜きん出て高い建物を建てることへの景観上の懸念や、周辺のlandmarkを含む低層の歴史的建造物に投影される影の問題、またメンテナンスプランの不明確さへの懸念を表明しました。一方でMomaのTrusteeの一人である建築家のDavid Childsはプロジェクトをサポートしたり、Prattの建築学科の学生はNYに新しいスカイスクレーパーを建てることの重要さを訴えて、プロジェクトを支持していたりする人も存在しました。
証言者が多かったため、肝心のLPCのCommissionersによる質疑応答や討論にはいたりませんでした。
肝心のタワー自体のデザインは思っていたよりは悪くないのですが、midblockという場所柄を考えるとその圧倒的な高さにはやはり疑問がよぎります。建物がたつ、5th Avenueと6th Avenueの間のWest 53丁目と54丁目というのはMomaを含め、低層な建物が建つ地域で、これだけの高い建物を建てるとかなりの圧迫感が生じるのではないかと思います。これがEmpire State Building やChrysler Buildingのように通りの角にあれば、この圧迫感は解消されるし、ランドマークとしても効果的に目立つのではないかと思います。
また追って経過を報告したいと思います。
関連記事
公聴会のレポート
Planned Tower Near MoMA Widely Criticized at Hearing
(NY Times)
http://www.nytimes.com/2008/04/09/nyregion/09moma.html?ex=1365480000&en=2e5420843d916798&ei=5124&partner=permalink&exprod=permalink
Towerについて
Next to MoMA, Reaching for the Stars
(NY Times)
http://www.nytimes.com/2007/11/15/arts/15arch.html?ex=1352782800&en=c3d9e88ab9f4300c&ei=5124&partner=permalink&exprod=permalink
