HOWLING NUTS!! =叫ぶ馬鹿野郎節= -101ページ目

ずぶ濡れになった

夕方、第一京浜を歩いていた。
車やバイクなら、ほんの数秒で過ぎる道を初めて歩いた。

今の今まで満ちていた湿気がすっと引く。
普段見慣れなれない、広い道路、ろくに高い建築物が無いので、
空と道の先がやけに見通しが良い。

遠くにあった粒子の壁が、こちらに向かってくる。

持っていた傘に一瞥をくれて、立ち止まる。

間もなくずぶ濡れになった。

反対側の歩道でも慌てた女性が走る。

再び歩き始めて、しばらくすると陸橋の下に3台のバイクが止まっている。
どうやら連れではなく、ばらばらに雨をしのいでいる男女だ。

一人の男は、荷物の中からレインウェアを取り出しせっせと着込む。

もう一人の男は、怪訝そうな顔でイライラと空を覗く。

三人目の女姓は、ポーズかあるいはタバコの2本も吸えば、過ぎていく通り雨だと知っているのか、座り込んでフカしている。

とにかく三者三様、その内、雨をパスして走り出すんだろう。


俺はバイクで降られて、雨宿りをしたことが無い。
今日は歩いていたが、しなかった。
傘を持っているのに雨宿りもクソも無い。

走り続けると、雨雲が追って来て、いつまでたってもずぶ濡れの時がある。
走り続けると、雨雲と行き先が違ったのか、何かの拍子に追い抜いたのか、

いきなり、眼の前が明るくなる時がある。

雨が嫌いな日もあれば、好きな日もある。
いろんなコトに左右されて、雨が好きだったり、嫌いだったりする。

今日は場所と時間で、濡れてもいいやと、思ったのかもしれない。

ずぶ濡れになる瞬間、世の中と切り離されて、寂しい気持ちの塊なる。
すぐさまそれは洗われて、湿度を足元に流す。

バイクに乗る時も、個、になる。ちょっとした速度で、個、の周りに付着したものを大気に散らす。

雨の中のバイクは最高だ。

俺が寂しい、個、であるときに、救うものだ。


雨が降った時、どうやり過ごしてる。
どうか、寂しさを募らせないように。

ああ、

俺のもっていた傘を、あげれば良かった。