安倍氏の最重要課題「教育再生」に携わるメンバーを紹介しています。
今日は3回目。
今回も3人の方を紹介します。
ゆとり教育・学力低下といわれてずいぶん時間がたちますが,
まずは,その元凶ともいえる学習指導要領を作成する文科省で,かつて事務次官だった方からです。

【小野元之】 独立行政法人日本学術振興会理事長

 「日本の学校教育の将来」― 小野氏基調講演 ― New Education Expo 2003
 5月29日から31日にかけて開催された今年のNew Education Expoは主に、
 本格的な「新学習指導要領」移行に伴う諸問題について
 教育関係の識者による講演、学校現場の実践事例が発表された。
 今回の基調講演は前文部科学省事務次官 小野元之氏と文化庁文化部長 寺脇研氏の両氏が行った。
 小野氏による基調講演「日本の学校教育の将来」では、
 戦後の経済復興のための教育「つめこみ教育」 について概観した上で、
 現状の「我が国の教育の問題点」を5項目提示した。
  1. 悪平等の教育
   教育現場には形式的平等が根強く残っており、
   今後は実質的平等、つまり出来る子にはさらに出来るように、出来ない子には丁寧に
   それぞれに適した教育が必要だ。
  2. 受験中心の教育-大学での勉強不足
   大学に入ること自体が目標になっている。
   特に文系にその傾向がある。
   一番学ぶべき時期に学んでいないことは大きな問題だ。
  3. 自ら考え判断する能力
   つめこみ型教育や、知識偏重型教育が、創造力を欠如している日本人を作ってしまった。
   ゆとり教育の意義を訴えていた。
  4. リーダーたるべき人材養成の不足
   企業家、官僚、政治家、これらの人材に対して、リーダー性を感じられない。
   これらの要因は前記の1~3の教育制度に原因がある。
  5. 公の気持ち・倫理観の不足
   (具体的な説明はなし)
  また、「新しい学習指導要領のねらい」は、基礎・基本の学習に重点を置くことで、
  自ら学び、自ら創出していく学習能力の定着を目指すもので、
  「ゆとり教育」については、本来の意義と違った受け取られ方をしていると懸念を表明した。
  最後に教育基本法について、教育基本法改正には賛成で、21世紀にあったものにするべきで、
  生涯学習の必要性や大学改革、家庭や地域での学習なども取り込む事が必要であるとした。
  その他、男女共同参画、伝統文化の継承、郷土や国を愛する教育についても
  今後論議が必要だと述べた。
  ただ、特定の思想やイデオロギーを盛り込んだものは今の時代にふさわしくなく、
  特定の国家思想は必要ないとした。
  そして、最後の締めの言葉として
  「教育に対して何らかの形で関係する人なら、
  責任をもった取り組みを行ってもらいたい」と語った。(2003.06.03. 現代教育新聞)
   引用 http://www.gks.co.jp/y_2001/gov/data/03060301.html

出来る子にはさらに出来るように、出来ない子には丁寧に
その通りだと思います。
最近,特別支援教育という話が出てきておりますが,
文科省によると,全児童生徒の6.3%が該当するとのこと。
現在,1学級あたり40名の子どもたちがいるわけですから,
1学級に平均2人以上は特別に支援を必要とする子どもが在籍するわけです。
普通,教師は1学級に1人ですので,
特別に支援が必要な子どもにすら,手を差し伸べるには不十分な教員数ですなぁ。
所詮は,絵に描いたもち。言うは易しということでしょうか?
まずは,環境を整えることがお役人の仕事かと思います。

つめこみ型教育や、知識偏重型教育が、創造力を欠如している日本人を作ってしまった。
まずは,自己表現しにくい環境,
つまり,出るくいは打たれる的な社会環境も背景にあるのではないかと思います。
せっかく知識を詰め込んでも,自分の外へ表現できないと想像力は育たないでしょう。
それから,教育がビジネスとなっていること。
別に社会では求めていませんよねぇ,知識ばかりが豊富な人材を。
それよりも,自分の専門がなんだかよくわかっていないような大学生,
特に,そういう大学生を育てるようななんちゃって大学は廃校にした方がいいと思います。
私立によくありますが…。
国としては,いわゆる受験戦争をなくす努力をすべきかと思います。

公の気持ち・倫理観の不足
ひとまず次の記事をご覧ください。

学生時代に暴力革命運動/「権力倒す」と文部省入省 小野文科省事務次官 新聞インタビューで発言
 文部行政の実質的なトップである小野元之・文部科学事務次官が、新聞インタビューで、
 高校で校則違反してきたことを誇らし気に語り、
 「学生時代に権力打倒のデモをしたが、
 世の中を変えるには内部に入らねばと思い公務員になった」と公言していながら、
 自民文教族らの間で同記事が見過ごされ、
 何ら問題にならないままでいることが本紙の調べで明らかになった。
 同次官の良識を欠いた発言には保守派有識者から憤りの声が上がっている。
  (山本 彰)世界日報 - 2002年7月16日 
   引用 http://www.worldtimes.co.jp/wtop/education/020716/main.html

公の気持ち・倫理観って…。
安倍氏の美しい国はこういう方によって創造されるのですね。

【陰山英男】 立命館大学大学教育開発・支援センター教授、立命館小学校副校長

 ●兵庫県内の小学校で教員を勤める。
  教員時代は典型的な「でもしか先生」であったが、
  同僚教師の死を切っ掛けに、
  「命を大切にするなら、まず教師から。自分を犠牲にする教育実践など意味はない」と、
  授業改革に目覚める。
 ●岸本裕史が提唱した百ます計算やインターネットの活用、科学実験、
  そして日常の生活を見直すチェックシートの活用など、さまざまな工夫を重ねて、成果を上げる。
   引用 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B0%E5%B1%B1%E8%8B%B1%E7%94%B7

10×10のますを利用した「百ます計算」で特に有名な方です。
これを行うことで,集中力が鍛えられるなどの効果言われており,
子どもたちは学ぶことに一生懸命になり,教師は学ばせることに一生懸命になり,
一定の成果は上がっています。
しかし中には,
 『学級がまとまらず、授業中に教室をうろつく子がいたり、
  学習にならないというような学級崩壊が起きていることを考えると、
  子どもたちが意欲的に基礎を学んでいること自体「すばらしい」ことなのかもしれません。
  しかし、僕から見ると、教師にこれだけ多くの権限と権威が与えられていながら、
  学級崩壊が起きてしまうという現実を単純に基準点にして、
  その「低すぎる基準」と比べてすばらしいからと言って、
  陰山方式が本当にこれからの時代にふさわしい教育なのか?と考えると、疑問を感じます。』
   (渡辺パコ 2004.05.04.) 
   引用 http://www.nifty.com/chieichiba/f_weekly/156kisoigainogakuryoku.html
 『教室にドリルとストップウォッチを持って行く先生がいるが、これは犬の調教師のようなものだ』
   2004年10月23日 01:42
   引用 http://edhs.ri.aoyama.ac.jp/~susan/archives/2004/10/post_23.html
といった,酷評も見受けられます。
影山氏が実際に成果を上げたことは事実です。
それを真似た先生方や親が,成果を上げることができたのも事実です。
そうしたことを踏まえると,
さまざまな恩恵を影山氏の実践から受け取っているにもかかわらず,
ろくに検証もせずに実践して,今さら影山氏の実践を否定するとは,なんと愚かしいことでしょう。
ただ,実際に
 百ます計算経験者です。
 たしか、小学校の低学年のときだったと思います。
 いかにはやく計算するかを競う(?)ようなものだったと思うのですが、
 私はのんびり計算していたので、
 クラス内では、いつも下から数えたほうがはやいような順位だった記憶があります。
 子供心に軽く挫折感を味わいました。
 今でも、あの経験はなんだったのだろうと、ときどき思い出します。
というコメントもあり,
こうした声を,どのように解決していくかを検討することは,影山氏の責任でもあると思います。
肩書きが増えている氏の実情を考えると,
責任放棄・教育実践の志半ばであきらめることになるのでしょうか?
今一度,現場に戻って,よりいっそうの成果を上げられることを期待したいところですが…。

【川勝平太】 国際日本文化研究センター教授

 ●京都出身の歴史学者。専門は比較経済史
 ●新しい歴史教科書をつくる会賛同者。
  引用 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%8B%9D%E5%B9%B3%E5%A4%AA
しばしば話題にのぼっていた,あの新しい歴史教科書をつくる会の賛同者とは恐れ入りました。
この教科書については,
 ●教科書検定受検前のサンプル版(白表紙本)が出版元の扶桑社から規則に違反して、
  一般に頒布・閲覧の用に供されていた事が発覚し、同社は文部科学省の指導を受けた。
 ●「歴史は科学ではない」と言明し歴史は物語であるとしている。
 ●つくる会の賛同者として王貞治・ダイエーホークス監督の名前を発表するが,
  嘘であることが発覚する。
 ●教科書の記述には、誤って事実と異なっている部分があり、正確性の検証が足りない。
 ●改訂版でのポツダム宣言は日本を破滅から救ったという記述はあまりに米国に媚びている。
 ●近代史と神話の記述が詳細な反面、中世から近世までの記述内容は貧弱である。
  「大阪夏の陣」(正しくは大坂夏の陣)など初歩的な用法や事実誤認などの間違いが散見する。
など,法を破る,でっち上げ,事実と異なる内容表現と,
あげればキリがないほど問題点を指摘されている教科書です。
2001年の教科書採択率は,歴史は0.039%、公民は0.055%であるにもかかわらず,
川勝氏が教育再生会議のメンバーであるということに憤りを感じます。
問題を数々指摘されているつくる会の賛同者ということ承知の上で
再生会議のメンバーに抜擢したわけですから…。