今となっては昨日の読売新聞によると,
安倍氏が目指す教育再生は
「1980年代から英国のサッチャー首相が断行した教育改革」なんだそうだ。
そんなわけで,どんな改革だったのか調べてみた。

【英サッチャー首相(保守党)の教育改革】
1988年 教育改革法制定
 ・・・全国共通カリキュラム(ナショナルカリキュラム)の導入(日本でいう学習指導要領)
 ・・・共通学力テスト(ナショナルテスト)の実施
 ・・・学校査察機関(OFSTED)による学校評価とその公表
【サッチャー首相の教育改革のその後】
(例)義務教育修了資格を持たずに学校を去る子どもが約8%
   英語の16歳試験の合格率は41%
   怠学は毎年100万人以上
   学業態度や非行を理由にした期限付き放校処分10万人以上
   退学処分1万人以上
   退学処分された者による犯罪の増加
 →基礎的な読み書き計算能力の向上は一向に達成されず,
  教育機会の格差の拡大と教育問題が一層深刻化。
 →1990年メジャー首相〈保守党〉に引き継がれるも,
  1997年,保守党が惨敗,労働党のブレア首相が誕生。
  就任直後の演説で「私の最優先事項は,教育,教育,そして教育である」と語り,
  政策の最優先事項として教育を掲げた最初の首相と言われた。

ブレア氏の演説を真似たサッチャー氏が安倍氏ということになりますな。
ここで私が危惧する点は2点。

1点目はサッチャー氏による教育改革をモデルとしても,学力低下問題は解消されないということ。
20年ほど前の英国の失敗をあえて繰り返そうとする。
その失敗を読者に伝えようとしない読売新聞もいかがなものか。
巨人ファンゆえに幼少の頃より読んでいるが不愉快である。
安倍氏も読売新聞も国民には知られたくない事情があるのか?

2点目は前述の「学校査察機関(OFSTED)による学校評価とその公表」に着目した。
情報が増えることは歓迎されることと思っていたのだが,
考えてみると,日本にもアメリカのようなスラム街が出現する危機ではないかと・・・。
子を持つ親なら,少しでも質のよい教育を我が子に与えようとするはずだ。
情報の公表による学校のランク付けによって,優良学校に人気が集まることとなる。
おそらくは通学に便利なその学校に近い土地に引っ越す家庭も現れるはずだ。
ただ,私のような小市民には経済的理由などからそこまでの決断ができないと思う。
したがってそのような決断をするのはある程度裕福な家庭だろう。
かくして優良学校付近の地価が高騰。
固定資産税や家賃も上昇し,
もともと住んでいた私のような小市民はその土地を離れることを余儀なくされる。
こうして,優良学校付近はホワイトカラーの居住地区となる。
おそらくは治安もよく快適で文化的な暮らしが約束された地域となるだろう。
一方,地価の低い地域はどうなるか。
もともと地価の低い地域はわからないが,地価の下落した地区は深刻だろう。
所得の少ない家庭が生活するその地域では,
富裕層地区の生活を横目に見ながら子どもたちが生活する。
ゲームソフト,音楽CDなどの万引きが増加してくるだろう。
生活者の心はすさみ,ジュリアーニ市長の割れ窓理論ではないが,その後,犯罪はエスカレート。
やがて日本にもアメリカ並みのスラム街が出現する可能性がある。
そこまでひどくならなくとも,新たな部落問題が出現する可能性は高いと思う。

安倍氏の心臓に電気ショックでも与えた方がいいのではないかとちょっと思った一日・・・。
彼の目指す「美しい国」は,
すべての国民にとってではなく,
たくさん税金を納めてくれる国民にとって,
あるいは,たくさん政治献金してくれる団体にとっての「美しい国」を意味してるのではないか。

これからどうなる?
  おいらの暮らし・・・
    わが子の未来・・・