　霊能は、物質万能主義の中では特殊な能力のように感じられるかもしれませんが、本来は数ある特性の１つに過ぎません。絵を描くのが得意な人、計算をするのが得意な人、ピアノを弾くのが得意な人‥‥と同じ並びで、霊能が今回たまたま使える人、という個性の１つというだけのことです。

　しかし、目に見えない力に大きな魅力を感じて、それに集まって来る人も多いことから、霊能を持つ人は自分を特別のように感じたり、はたまた霊格が高いのだと勘違いをし、高慢と虚勢を膨らませてしまう方がとても多いのです。ほとんどだ、と言ってもよいほどです。

　ですので、明確に切り分けて頂きたいのが、霊能と霊格です。これらはまったく別物です。霊能力が高いから霊格も高い、ということではないのです。本当に霊格の高い方というのは、無私と利他の気持ちから、日々の行いを粛々とされる、節度と謙虚さを持ち合わせている方です。

　そのような生活をあなたはできるでしょうか。誰にも認められず、褒められず、貧しくともひたすらに奉仕の生涯を送ることができるでしょうか。それに抵抗があるとすれば、あなたの中の自我が、その霊能力を自分のものと過信し、肥大化した万能感にひたっている可能性があります。

　力を持った者が溺れていくのは、自我を肥大化させてしまい、本来の純粋さを見失ってしまうためです。節度と謙虚さは、霊能力を正しく発揮しつづけるには、必ず持ち続けなければならないものです。ほんのささやかな綻びから、ガタガタと崩れていく危険性を秘めた力であることを認識してください。

　ただ、全体的に見れば霊性は向上しており、地上意識（表層意識）よりも深い霊的意識にアクセスできるようになったことは事実です。しかしそれは、本人の実力でない場合も多々あり、たまたま何らかの要因で開いてしまった、という方もいるのです。

　そしてまた、開いた霊的意識が天のどの霊とつながるかは、潜在意識に無自覚に溜め込まれている想念と、その方の霊格によって決まりますので、ご自身の霊格に相応しい霊とつながり続けたいのであれば、ご自身の内面に向き合って、潜在意識層の浄化に取り組まれることをお勧めします。そのために内観法が地上に降ろされたのです。霊能力開花の前に必要な、精神的土壌を整えるためです。

　そしてさらに、自分は霊格の高い霊とつながっているから、自分も霊格が高いのだ、という思い上がりは、ご自身の無知を露呈しているようなものです。本当に霊格の高い霊は、自分を神だとも過去の偉人だとも名乗らず、その権威を主張しません。また指示やコントロールもせず、地上にいる皆さんの選択を何よりも尊重しています。あるのは、そこから醸し出される何とも言えない清々しい雰囲気と、語る内容の誠実さと一貫性です。そしてこのような霊は、自分の使命の大切さをよく理解しながらも、それがより大きな霊力に対する献身であるという謙虚さを持っているものです。

　霊能力をお使いになる方には、そのような謙虚さをお持ちいただくよう、重ねてお願いいたします。そうでない限り、強い力に巻き込まれるか、邪心につけ込む低級霊にうまく利用されるかのどちらかだという心づもりで、気を引き締めて霊能の開発に取り組まれて下さい。

　これまでの物的現象や霊視、霊聴、身近な他界霊との交信などは、霊的な世界の証明のために、あえて目を見張る事実として地上に降ろされたにすぎず、それが霊力の使い方の真髄ではありません。これから霊力をお使いになる場合には、心霊治療であれ、霊言であれ、他者のための奉仕手段として正しくお使いください。

　もし、本当にその霊能力の発揮を使命とされる方であれば、生活に必要なお金というのは、うまく巡るように配慮されています。そうでない場合は、生活のベースとなる仕事をした上で、空いた時間で奉仕をなさることにするか、もしくは正しい因を踏んでいるかどうか、よくよくご自身を振り返ってみてください。

　そして、完全なる霊能者というわけではなくとも、作家や画家などの芸術家、科学者、宗教家はもとより、主婦やビジネスマンに至るまで、皆なにがしかのインスピレーションを受けているはずです。それぞれに必ず守護霊がついていますし、能力開花や課題克服のために指導霊が何人もついている場合もあります。それらの霊は、地上での人間の活動のすべてを見守り、必要な時はインスピレーションで知らせるなど、援助しています。

　それを人間側のみなさんが意識していないだけで、意識をすればその援助を大いに受け取ることができます。それこそが、皆に注がれている天からの霊力です。本来は皆が繋がることができるのですが、その回路はまだ開発段階にあるため、先んじて霊能者と呼ばれる方が体現し、実践の途上であるという状況です。

　それゆえ、成し遂げたことはすべて自分の努力の成果だ、というのは、いかなる分野においても当てはまりません。守護霊や指導霊の恩寵を受け取ったものであり、そのような謙虚さと有難さを分かっておられる方は、そこで入ってきたお金を自分の良心に従った使い方をして、よき流れに循環させていかれることと思います。それにより、ご自身の霊格もさらに向上していくことになります。

　霊能者も、本来はお金を頂いてはいけないというルールを課さなくても、入ってきたものを適切に流していける、まったく欲のない方であれば、それは必要のない制限なのですが、その節度を守れる方が現在どれだけいるでしょうか。まだまだ、扱うには大きすぎる能力です。

　ですので、道を外さないための制限の中で、節度を持ってお使いいただくよう、練習していただければと思います。しかし、なぜ自分に霊能力が与えられたのか、その使命の大きさを分かっている方であれば、その奉仕の気持ちからお金を要求する気持ちは、微塵も湧かないというのが本質です。

　物質的な学びを終えて、霊的な学びに移行される方々にとって、お金とは地上でのみ使える紙です。その紙をどう使うかは、天からの大きな＜問いかけ＞でもあります。もしご自身に、生活に必要以上のお金があるとすれば、それをどう使うかというのは、とても大切な選択なのです。貯めるべきは、物的な預金ではなく、霊的な資産です。この世でしか換金できない泡のようなものを有効活用し、他者への貢献のためのよき道具としてお使いください。その結果は必ずあなたに戻ってきます。因果応報の法則は、循環の法則でもあるからです。

　霊的な世界というのは、その霊格に応じた段階的な学びの構造になっている、ということをもう一度基本概念として頭に入れて下さい。世に出回っているスピリチュアル・メッセージは、どの段階の霊からのものであるか、その見極めがとても大切になってきます。霊からのメッセージであれば、どれも高貴なものであるとは限らないからです。しかも人の心をコントロールしたがる低級霊ほど、心の隙にある欲や怠惰にうまく取り入る術を知っていますし、言葉を飾りたててきらびやかな装いを着せて語りだすものだからです。

　しかし、それらのメッセージのすべてがNOということではなく、また大方、方向性としては合っているがために、その世界を許容していた方も多いはずです。そして、ここからが肝心なのですが、自分がこれまで触れてきたスピリチュアルな世界に、自分の霊格に見合った厳しさが欠けていると、魂の奥底で少しでもお感じになるならば、本当の厳しさを伴う愛の世界に進まれることを私たちは願っています。

　自分を甘やかし、都合よく導いてくれる子供のスピリチュアリズムから、因果応報という厳しさの中にある大人のスピリチュアリズムへの扉を開く時だ、ということです。それだけの霊格と責任をお持ちだからこそ、このメッセージに惹かれて読んでいるあなたがいるのです。選択するのは、あなたです。そしてその結果は、必ず、厳密に、あなたに返ってきます。

　低級霊は、スピリチュアリズムの本質を見えなくさせましたが、しかし彼らは悪ではありません。無知なのです。ですので、彼らを責めて撲滅させるような働きはもちろん不要であり、それに絡め取られていく人たちを憐れむ必要もありません。彼らは彼らの境涯で精一杯やっていて、学びの途上のどこかの地点にいる１つの霊ということに過ぎないからです。

　学びが進んでいる方が、それより遅れた（現時点では自分よりも低級な）霊にできることは、正しい在り方を模範として見せ続けるということに尽きます。戦うことは不毛です。もし自分が正しい在り方を毅然と見せ続けることができないという不安がある方は、霊的な扉を開くにはまだ早いということです。好奇心や、自分はそれにふさわしいという慢心でその世界に踏み入れてしまうと、いとも簡単に低級霊にとり憑かれて利用されるからです。

　霊的な世界は、自分を律し、その行動に責任を取る覚悟がない方にとっては、とても危険な世界です。小学生が車の運転の仕方も知らないのに、勝手に乗り回そうとアクセルを踏み込むようなものだからです。しかし、もうその準備と霊格が備わった方にとっては、怖がる世界ではありません。正しい知識さえ持っていれば、自由でのびやかな霊的な夜明けを体験することができます。それにふさわしい資格を持った方に、正しい霊的知識をお伝えすることが、このメッセージの目的です。

　　　　　　　『サラ・メッセージ　　山川蓮著　三上直子編』　より

霊能者へのエール