　物事の良し悪し、すなわち善悪の概念は、立場や捉え方が異なれば変わってしまう相対的なものです。時代の流れにも左右され、17世紀では社会通念上は善とされていたことが、今日の21世紀においては悪とみなされることもあります。

　日常のニュースでは、虐待や各種ハラスメント、暴力事件、詐欺事件など「悪」とみなされる出来事が、数多く報道されています。人間の意識には、選択の自由があります。そして人それぞれ、精神の発達具合には差がありますから、100人居れば100通りの善と悪の分類の仕方があることになります。

　「やってよい事とやってはいけない事の区別を教える」　これは小学1年の道徳で最初に習います。自分がされて嫌な感じのする行為は、相手にしてはいけないという共感性を養う学びです。仏教では「悪い事」とは、周りの人を悲しませる行いとされています。

　これは社会を運営するための方便といいますか、実際は精神年齢の発達とともに善悪の概念基準も変化します。子どもの頃に「善」だと教わったことが、大人になると必ずしも「善」とは言えない場合もある。

　個人レベルでも、国家レベルでも、主義主張で衝突するのは、元を正せばこの善悪の概念の相違が大きな原因だと考えます。幼い国家は、軍事力や経済力を背景に、他国を従属したり侵略したりします。成熟した国家は、他国との違いを尊重し、互いに助け合います。これは夫婦間の関係性にも当てはまることです。

　さて善悪の概念、光と闇の戦い、神と悪魔といった対立概念（二元論）は、精神の発達段階において、あるレベルまでは効力を発揮します。「自分の蒔いた種は自分が刈り取る」「自分の意識が現実を創造している」　こういった事が理解できるようになると、これら対立概念をもはや必要としなくなります。

　あらゆる全ての存在は神聖である。あらゆる全ての存在に悪は存在しない。あらゆる全ての存在は繋がっており、元は一つである。～このような概念が普遍性を獲得したとき、人類という種族は、歴史上はじめて平等で平和を愛する社会を構築することになります。

　※一部のスピリチュアルでは、光と闇の戦いとか、ネガティブ感情や思考は手放せとか、いまだに対立概念に捕らわれた思想があります。ワンネスと言いながら、光と闇との間に線引きしたり、善と悪とを区別したり、ネガティブとポジティブとに思考や感情を線引きしたりします。

　※何事にも捕らわれのない心の状態、これが仏教の「空」という状態です。自分の心の中を調べて、物事を判断している観念（色眼鏡）に気づくことが大切です。善と悪、光と闇、ネガとポジ、これらの線引きをしているのは、個々人の持っている観念です。

　※したがって「統合（融和）」とは、対立概念から卒業して「すべては一つ」という事を感性と知性の双方で納得することです。その状態に至れば、心は常に穏やかです。統合の次の段階は、「美学」だそうですね。

　※人間は生物としては霊長類に分類されます。昔の人（縄文人など）は霊性を理解していました。現代人は、霊長類のくせに霊性や霊的知識にあまりに無関心です。そこで地上の人間に思い出させるために、霊的真理（知識）の普及の一環として、シルバーバーチの霊訓などのスピリチュアリズム、「セスは語る」が代表的なニューエイジ思想が高次元の存在より、地上界にもたらされました。

　※現代科学、とりわけ量子論や脳科学や意識科学は、上記の霊的知識が正しい事を証明しつつあります。今が、時代の大きな転換点、移行期であるのは間違いないです。

悪い事って何？