9月22日(木・祝)に開催される

ストップ・ザ・介護殺人

このイベントのそもそもの始まりは、

映画 田辺鶴瑛の「介護講談」(文部科学省選定作品)

この映画を見たことにありました。

介護に携わるすべての人たちに絶対貢献する!

そう確信できたのです。

その予告編映像、ぜひご高覧ください。




さらにこれを見て頂いた在宅医療医師鈴木央先生に、素晴らしすぎるコメントを再度ご紹介します。

「介護講談」のススメ
鈴木内科医院 鈴木央



鈴木央


この映画は田辺鶴瑛さんが自らの義父の介護経験を講談として楽しく語るその姿を映している。ある日突然、介護が必要なったこと。
最初は非常に苦しく、家庭の中がぎくしゃくしてしまったこと。
やがて、気が付き「いいかげん(好い加減)」で介護していくと、過酷に感じられた介護がむしろ楽しくなり、家族としての愛情も芽生えてきたというものである。
実際に介護をしている様子も映される。
深夜に大きな声で呼び出されても、鶴英さんならでは対処法を編み出す。その明るさには腹を抱えて笑った。でもそれでよいのだとも思った。
これらは鶴瑛さんの素晴らしいキャラクターがなせる特別な介護…というわけではないと思う。
私は在宅で多くの認知症の方々とそのご家族と向き合ってきた。
この映画は多くの家族がたどる認知症介護のプロセスをきちんと描き出しているのである。
 多くの場合、介護は突然にやってくる。今まで少しずつ症状があり、不安に思っていても、生活が何とか成立していると、家族としては見ていても見えないふりをしてしまうことが少なくない。
何かのきっかけで問題は突然噴出する。
たいていは入院や大きなイベント(葬儀や旅行等)がそのきっかけである。
しかし、多くの家族はその事実をすぐには受容できない。
介護保険の制度もすぐにはわからない。
知らない中、支援がまだ十分でない中で、介護のニーズだけは決して減ることはない。
皆が疲れ切ってしまう。経済的に恵まれているのであれば、この時期で自宅介護をあきらめてしまうひともいる。
 次の時期には、何かすれば何とかなるのではないかと思ってしまう。薬を飲めば、もう少し楽になるのではないか。
本人の間違いを一つずつ訂正すれば、本人が間違いに気づき、精神的な負担だけでも楽になるのではないか。
毎日漢字ドリルをやらせれば、よくなるのではないか。「そんなに頑張っても…」などの周囲のアドバイスも耳に入らない。
やがてその期待は裏切られていく。
薬は病気の進行を遅らせるだけのもの、時には新たな困った状態を作り出すこともある。
物忘れから生じる間違いに本人が気づくことはない(それが病気の主症状であるからである)。
本人と戦い、病気と闘い、家族はボロボロになってしまう。
 そこでようやくあきらめがつく。あきらめて、他人のアドバイスの通りにやってみる。厳しく接していたが、優しくやってあげると指示に従うことが多いことも分かった。
認知症になった家族が理解不能なエイリアンのようになってしまったような気持ちであったが、ゆっくりと昔話をするときちんと話ができることも知った。
鶴瑛さんは、このあきらめが付く段階になってやっと「いいかげん(好い加減)」のやり方に気が付いたのである。
 そんな目で、この映画を見てみたらどうであろうか。
 過酷なはずの介護の先に、温かい希望が見えてくるのである。
この物語は鶴瑛さんだけのものではなく、私たちみんなの物語なのである。