産業設備の中には、高温環境下で安定した駆動が求められる工程が数多く存在します。例えば、加熱炉や乾燥装置、半導体製造装置などでは、周囲温度が一般的なモーターの耐熱範囲を超える場合があります。こうした環境で重要な役割を果たすのが「高温ステッピングモーター」です。耐熱構造と安定した位置決め性能を兼ね備え、過酷な条件下でも信頼性の高い動作を実現します。本稿では、産業設備における高温ステッピングモーターの役割について解説します。

1. 高温ステッピングモーターとは

高温ステッピングモーターは、高耐熱絶縁材料や耐熱ベアリングを採用し、通常より高い周囲温度で使用できるよう設計されたモーターです。
一般的なステッピングモーターが対応できない温度環境でも、巻線や磁石の劣化を抑えながら安定動作を維持できる点が特徴です。

2. 役割①:高温環境下での正確な位置決め

加熱炉内部や乾燥工程などでは、材料やワークを正確な位置に移動させる必要があります。
高温ステッピングモーターは、温度上昇による性能低下を抑えながら、一定角度ずつ確実に動作します。これにより、製品品質の安定化に貢献します。

 



3. 役割②:装置の信頼性向上

高温環境で通常モーターを使用すると、絶縁劣化や磁力低下による故障リスクが高まります。
耐熱仕様のモーターを採用することで、突発的な停止や交換頻度を減らし、装置全体の稼働率向上につながります。保守コストの削減にも寄与します。

4. 役割③:冷却装置の簡素化

通常モーターを高温環境で使う場合、追加の冷却機構が必要になることがあります。
高温ステッピングモーターであれば、過度な冷却設備を設けずに運用できるケースもあり、装置設計の簡素化や省スペース化につながります。



5. 主な使用例

以下のような設備で活用されています。

焼成炉や乾燥炉のシャッター制御

半導体製造装置の加熱工程搬送

化学プラントの高温バルブ制御

食品加工ラインの加熱工程搬送
これらは高温環境でも精密制御が求められる代表的な分野です。

6. 選定時の注意点

高温対応といっても、耐熱温度には上限があります。
周囲温度だけでなく、自己発熱も考慮し、十分なマージンを持った仕様選定が重要です。また、配線やコネクタなど周辺部品も耐熱仕様である必要があります。

まとめ

高温ステッピングモーターは、過酷な温度環境下でも正確な位置決めと安定動作を実現する重要な駆動部品です。耐熱設計により装置の信頼性向上や冷却設備の簡素化に貢献し、高温工程を伴う産業設備で欠かせない存在となっています。適切な仕様選定と環境管理を行うことで、その性能を最大限に活かすことが可能です。