仙台公演 初めての弾き語りツアーの初日。待ちに待った期待感とともに、会場は糸がはったように張り詰めている。なにか独特の空気だ。

 

始まりの曲、「愛されたくて」のギターをひく杏果の表情にはやってやるぞと意気込みとともに、今まで見たことのないような緊張感が感じられる。僕もドキドキしながら、手に汗握る感じでライブが始まった。1曲目、何かひどい緊張感のまま曲が終わってしまう。続けて、その後、「Catch-up」になると、すこしアップテンポの曲調の明るさにより、会場が少し温くなり終わる。しかし、やはり初めての試みだから、緊張感あふれ、音がなにかいまいちすっと入ってこない。。。うぅ、大丈夫か???

 

一抹の不安を覚える。

 

しかし、その後、短いMCが入ると、杏果も少し落ち着きを戻したようだった。

 

そこから僕の大好きな曲「Last Scene」に。この曲は、激しい踊りがなくなり、ギター一本で歌声が強調されたせいか、また緊張の糸が少しほぐれたのか、杏果の歌声がこれまでの曲とは全然異なる深みがある。裏声的な高さのあるさびの歌声との対比が何とも言えないグルーブ感が。

 

ん?! あ、これ、むちゃくちゃ、かっこいい。。。

例えて言うなら、モータウンを代表するRoberta Flackの名曲Killing Me Softly with His Songsのサビのようなグルーブ感がある。こ、これは堪らない。

 

これは弾き語りコンサートならではの新たな発見だ。ギター一本だから、彼女のグループ感に溢れる低い歌声がこの上なく魅力的に展開される。この流れから「遠吠え」が、ジャジーな歌声がばっちり決まる。なにこれ?!先ほどまでの緊張から来る流れを帳消しにする破壊力。。。こ、この振れ幅、有安杏果の粗削りだけど、彼女のポテンシャルの深さをこれでもかと表現する力、やべぇ。。。。

 

僕的にはこの時点弾き語りライブが成功したとも言えた。

 

その後、札幌公演と福岡公演と春は計3公演を観ることができた。公演毎に、彼女がどんどんと成長し、自身をつけていくのを感じる、ファンとしてはむちゃくちゃ楽しいライブだ。そして、これまで最高の博多の素晴らしいライブで僕の春のサクライブは終わった。

 

それから、4か月、僕は無理やり仕事や会議を終わらせ、秋のサクライブ追加公演、名古屋の公演に向かっていた。仕事は忙しく、ストレスがかなり溜まり、正直精神的につらい状態になっていた。50歳で転職は楽でない。会場についたのは開演15分前、なんとか間に合った。

 

暗転し、

いきなり

「とばしすぎたら疲れちゃうから、小走りくらいがちょうどいい」

という杏果の優しい低い歌声で始まる。「虹む涙」だ。彼女の歌声が疲れ切り、乾ききった僕の心に、まるで寄り添うか様に染みていく。その瞬間すべてがどうでも良くなった。まさに有安杏果の歌声以外、Nothing Else Matters(By Metallica-Black Album)。もうこの瞬間涙腺崩壊し、もう心の壁がぼろぼろに。。。

 

杏果最高!!!杏果ありがとう!!!!と大声で叫びたくなるのをぐっと我慢しなら、必死に拍手で気持ちを込めて。

 

こうして始まった秋のサクライブの追加公演。春の有安杏果と全然印象が違う。春は新しく引き語りライブという試みを試行錯誤しながら作り上げていく感があり、それはそれでファンとしては大きな楽しみや喜びを感じれた。

 

 

でも、追加公演は全然違う。。。小さな有安杏果がここまで大きく見えたことはない。そう、ものすごく大きく。ファンとしてはある意味寂しいくらい、果てしなく大きな歌姫として彼女は名古屋のステージを色とりどりの魔法をこれでもかと言わんばかりに、観客に浴びせている。圧巻だった。技術とか成長とか、どうのこうのいうのはおこがましい。これぞ音楽の醍醐味、魂のライブだ。

 

楽曲の素晴らしさは、言わずもがな。しかも邦楽をほとんど知らない僕が初めて聞くような曲のカバーも素晴らしく、日本にそんないい曲があるんだと思わせてくれて新たな発見が多くあった。フジファブリックさんの曲なんて。。プラネタリウムという曲も。。新曲、指先の夢なんて至高のフォークソングだ。この時代に、ここまで自分の赤裸々の心をまっすぐに、ギター一本で表現できる歌手、他に何人いるだろうか?。。それらの曲一つ一つに込められたメッセージや想いを、このコロナかという厳しい現実に向き合っているファン一人に一人に寄り添い、力強く丁寧に伝えている。なによりも、幼いころから芸能活動にて数々の逆境を乗り越えてきた有安杏果にしか伝えられないメッセージだ。まさに唯一無二の存在だ。

 

そう、友人と食事に行くことやライブを自由にできない、仕事さえも危うい先が見えない不安な現実を今生きている、そうした僕たちに、有安杏果は生きる希望を与えてくれるのだ。無骨で器用でないけど、自分の心のあり様をそのまま偶直なまで素直に、魂の叫び魂として歌い上げる有安杏果。そうした確信がさらに深まっていく、そんな素敵なライブだった。

 

コロナで疲れた心を浄化して、力を与えてくれる有安杏果の歌声を是非!

 

音楽を愛する人は有安杏果のライブを観ずにいれない。

 

ありがとう、杏果!!!!

 

乱筆乱文お許しください。

 

9月12日

横浜にて

 

ヒューストンノフ