お施主様(建て主様)との打ち合わせで、テーブルのお話しがよく出ます。とくに、無垢の木のテーブルについていろいろ質問などをよくいただきます。
今日はお施主様(建て主様)にお伝えしている無垢の木のテーブルについてのことを、少しお話しします。
ひと昔前、無垢の木のテーブルというと、一枚板を用いた木工家の作品や重厚な民芸調の家具など、趣味性の高い高級品というイメージが強かったですが、ここ数年、そうした先入観を覆す無垢材テーブルが増えてきました。デザインはいずれもモダンで、どんな空間にもなじみやすものになってます。その背景には、反りや割れなど、無垢材特有の欠点を克服する技術の進化と同時に自然素材に対する消費者の意識の変化があるといわれています。とくに大きく変わったのが木目や節に対する感覚で、むしろ節や個性的な木目のあるほうが魅力的だと感じる人が増えているようです。また、工場が直営するオーダー家具ショップが増えて、無垢材の家具が身近になったことも一因といわれています。さらに、近年、自然素材や環境に対する関心が高まり、有名デザイナーが手がけたイタリア・リーヴァ社の無垢材家具が話題を呼ぶなど、世界的に無垢材への注目が集まっていることも、こうした流れにつながっているようです。最近は素木(しらき)に近い風合いを残しながら汚れに強いウレタン塗装のテーブルも増えています。無垢の木のテーブルの本来のよさは、丈夫で長く使えること。いざとなれば、表面を削って塗装し直すこともできる。多少の汚れや傷が味に変わっていくまで、長い目で寛容に見守りながら長く大切に愛用していきたいものです。
■テーブルのサイズと空間
テーブルの大きさや高さは置かれる空間との兼ね合いで決まってきます。食事以外の用途にも使うなら天板は広めがいいですが、椅子が十分引ける余裕があるか、動線の邪魔にならないかなども考慮して決めていきたいです。高さは低いほうが空間が広く見えます。また、近くにリビングや和室がある場合も、ソファや畳に座っている人と目の高さに大きな差が生じないために、低めのほうが落ち着きます。
■テーブルと椅子の高さの関係
テーブルと椅子の座高の差(差尺)は、食べる、読む、書くなど、作業の種類によっても多少異なりますが、250~300㎜が適当といわれています。ショールームやお店などでは、実際と同じサイズの椅子に座り、低ブルの下端、幕板などに腿や膝がつかえないか、椅子の肘が引っかからないかをチェックすることが大切です。
■1人が占める天板の広さ
椅子に座った人1人が必要とするテーブル面の広さは、幅が600㎜弱。奥行きは手が届く範囲、足が占める領域、配膳スペースなどを考えると300㎜となるといわれえいます。したがって、最少でも4人用は幅1200㎜、6人用は1800㎜、奥行きは750~900㎜は必要となってきます。
テーブルのサイズは部屋の広さや使う人数もさることながら、椅子に大きく左右されます。まず椅子を選ぶか、子損の椅子に合わせ、その椅子がうまく納まるテーブルを選ぶことが大切です。高さに関しては、昔より日本人の体格がよくなったとはいえ、靴を脱ぎ、高さのある食器を持ち上げて食べる生活、リビングと連続して和室があるケースなどを考えあわせると、やや低いほうが無難のようです。パソコンや書き物など、多用な用途で長時間使うためにも、やや幅で低めが落ち着けます。たった1センチでも使いやすさは大きく変わってくるので、ショールームなどでは時間をかけて試してみましょう。デザインにもよりますが、テーブルの脚を切ることも可能で高さを決められるテーブルもあります。
テーブル選択の重要ポイントの一つに脚の位置があります。スペースに限りが」ある場合は」少し奥に入っているほうが邪魔にならず、角にも人が座りやすく、足元の動きも妨げにくくなります。
無垢材のテーブルの仕上げには、ウレタン塗装、オイルフィニッシュ、ワックス仕上げ、拭き漆などがありますが、一般的に推奨されるのはオイルフィニッシュといわえています。植物性のオイルを木の内部にしみ込ませて濡れ色にするオイルフィニッシュは、木の呼吸を妨げず、自然な風合いがだせます。その反面、表面に塗膜をつくるわけではないので、水や汚れには弱いです。また、簡単に塗れるとはいえ、年に1度はメンテナンスが必要な点も億劫だと感じる人は少なくないかもしれません。一方ウレタン塗装は表面を樹脂げ覆うため、水や汚れには強く、メンテナンスもt不要です。難点は表面に木の風合いを損なうテカリが出ることですが、最近、塗料と技術の進歩によって、艶消しで薄塗りのウレタン塗装が可能になり、一見するとオイルフィニッシュと遜色ないものも登場してきました。食べこぼしや輪ジミに目くじらを立てなくなければウレタン塗装、手をかけながら年々味わいが増す子の表情を楽しみたいとなれば、オイルフィニッシュがおすすめです。
■オイルフィニッシュ
植物油を木地に浸透させたあと拭き取る、木の風合いを生かす仕上げ。施工性がよく、素人でもできますが、ウレタン塗装のように表面に塗膜をつくるわけではなく、水や汚れには
に弱い。定期的なメンテナンスも不可欠になります。
■ウレタン塗装
ポリウレタン樹脂と硬化剤を化学反応させて膜をつくる塗装。塗膜は硬度が高いため傷がつきにくく、水や汚れに強く、薬品にも比較的強い。おもに工場で吹き付け塗装される。最近、一般的な艶ありの無着色透明仕上げに比べ、無塗装のように見える艶なし素木(しらき)仕上げの技術が進んでおり、一見オイルフィニッシュと見間違うほど。
■オイル+ワックス仕上げ
蜜ロウなど、いわゆるロウが主材料で、オイルをしみ込ませた上にすり込んでから拭き取る。防汚性があり、水をはじく性質をもっているが、効果が長くはもたないので、定期的に塗り直す必要があります。