あの日からの日々

あの日からの日々

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母が入院していた病室は午後から日がよく入り夕日が沈んでいくさまが綺麗に見える部屋だった。息子とお見舞いに行くと、彼はぽかぽかと暖かい布団にもぐっているうちによく昼寝をしていた。

母は嬉しそうに横にすわってその寝顔を眺めていた。

 

いつもは重ならないようにお見舞いに行くのにその日は母の病室に父がいた。

西日が差して明るくて暖かくて、だけどなんだか二人のまわりは静かに沈んでいるようで奇妙な緊張感を感じたことを覚えている。

私が息子を連れずに一人で行ったのも珍しいことだったし、両親そろっているのも久しぶりだった。

 

しばらく雑談をしてから母がお願いがあるの。と切り出した。

私がいなくなった後、お父さんのことが心配。だからお父さんと一緒に住んでくれないかなと。

当時の私は若かった。

自分一人で決めれる事でもないし、夫に相談してみないとわからないとそう答えた。

大事なことだから、私が軽く答えることではない。誠実であれとそう思ってしまった。

 

しばらくしてじゃあ私は先に帰るねと父が帰り母と二人になった時に

あのね、ああいうときは私の最後のお願いなんだから嘘でもいいからわかった。そうするねって言って欲しかったのよと言われた。それになんて答えたのか覚えていない。

 

家に帰ると、父が

ああいうときは、わかったと言って欲しかったと言った。

私がそうして欲しいからいうんじゃない。お母さんがそれを心配して望んでいるなら、あの場だけでもいいからそう言ってお母さんを安心させてやりたかった。それが優しさというものだぞ。と。私はお母さんにもおんなじこと言われたよとふてくされて答えた。

 

結果的に私は父と一緒に暮らしたのだけど、

夫の願いで二人でほんのしばらく過ごした時に夫にごめんねとぽつりとあやまられたことがある。お母さんと約束していたのに、お父さんを置いていくことになってしまってごめんねと。私はやっぱり気の利いたことばがいえずぶっきら棒にそんなこといいのよと答えてしまった。

同居はとても大変だったと思うけど、

母の願いは夫にもきちんと伝わって、一緒に生きてくれたんだなって

しみじみと思い出す。