ローにおける留年の実態は、現在のところあまり情報公開がなされていません。修了率に関しても留年率に比べればマシですが、やはり不十分なのが実態です。しかし、この点はロー志願者などにとって重要な情報といえます。そこで、比較的、情報公開のなされている香川大学法科大学院(香川・愛媛連合)を素材にして、その実態に迫ってみようと思います。
【基本データ】
http://www.ls.kagawa-u.ac.jp/data/
[入学者数]
2004年:未習30
2005年:未習30
2006年:未習39、既習2
2007年:未習27、既習3
2008年:未習26、既習2(※)
2009年:未習15
2010年:未習15、既習2(※)
2011年:未習9、既習1
2012年:未習5、既習1
(※)は、「合格者の特徴」という資料ではいずれも2人ではなく3人となっている
[修了者数]
()内はストレート修了者数
2007年:未習20(20)
2008年:未習23(19)、既習2(2)
2009年:未習30(25)、既習2(2)
2010年:未習19(13)、既習2(2)
2011年:未習22(14)、既習1(0)
2012年:未習12(4)、既習1(1)
[(新)司法試験結果]
数値は、出願者、受験予定者、受験者(内短答合格者数)、合格者の順
2007年:17、17、9(5)、3
2008年:39、39、21(11)、3
2009年:59、59、42(16)、3
2010年:62、62、52(29)、10
2011年:64、63、44(19)、2
2012年:50、50、39(19)、?
【分析】
1.まず、目を引くのが、(本試験の出願者-受験予定者)の数で、2011年を除いて一致しています。これは、少なくとも3年の後期での留年確定者が極めて少ないということを意味します。学生を本試験に向けての勉強に集中できる環境を提供していると言えると思います。
2.ストレート修了率、および2012年8月時点での修了率を見てみましょう。
☆ストレート修了率 <単位は%>
2004年入学生=未習:66.7
2005年入学生=未習:63.3
2006年入学生=未習:64.1、既習100.0
2007年入学生=未習:48.2、既習66.7
2008年入学生=未習:53.8、既習100.0
2009年入学生=未習:26.6
2010年入学生=未習:--、既習50.0
☆修了率
2012までの修了可能だった入学者総数は、未習167人、既習9人。うち修了者数は、未習126人、既習8人。よって、修了率は、
未習:75.4%
既習:88.9%(※)
ちなみに、未習修了者の内、留年経験者は31人、既習では1人。よって、修了者に占める留年経験者の割合は、
未習:24.6%
既習:12.5%(※)
(※)は、サンプル数が少ないため、あくまで参考値としてのものです。
3.受け控え率
まず、「受け控え率」の定義ですが、「受験可能であるにも関わらず受験しなかった者」とします。したがって、出願の有無などは無視します。
2004年未習入学30人の内20人がストレート修了し、17人が出願、実際に受験したのが9人ですから、受け控え率は55%。結構な高率ですですが、下位ローでは致し方ないことかも知れません。また、この時期は3000人合格という政府の目標もまだ健在だったため、受験時期を遅らせることに一定の合理性はあった時期でもあります。
以降の受け控え率はどんなものか試算してみました。
2008年本試験は、修了者20+23+2=45人から前年の合格者3人を除いた42人が受験可能者数。そのうち39人が出願し、21人が受験したので、受け控え率は50.0%となります。
以下同様に受け控え率が下記ののものです(単位は%)。
2007年本試験:11/20=55.0
2008年本試験:21/42=50.0
2009年本試験:29/71=40.8
2010年本試験:37/89=41.6
2011年本試験:58/102=56.9
ここまでは問題ないのですが、この先の計算は少々問題です。2007年修了者の受験期間が経過してしまうからです。学校側が入学年度ごとの合格者数を公表してくれればいいのですが、そこまでの情報公開をしている学校は私が現在までに見たローのHP中にはありませんでした。
そこで、2007年修了生のうち合格した者の人数を6人と仮定することにしました。これは2007年に3人合格していることから、単純にその数値を2倍にしたものです。(新)司法試験は初回受験で合格する場合が多いのですが、ここの合格者の声のページ中には2007年修了組で複数回受験した人が含まれていること、2010年に一気に10人合格者を出したことを考慮して仮定してみました。仮定が間違っていても、数字に大きなずれが生じることはないと思います。
2012年本試験を受験可能な修了生は114人、そのうち合格者15人(過去の総合格者21人から2007年修了の6人を除いた)を除くと99人。そのうち39人が受験したのだから、
2012年本試験:60/99=60.6
4.その他
(1)退学率
ほとんどの法科大学院は退学率を公表していません。比較的情報公開のなされている香川大学も同様です。ただし、香川大学の場合は、公表データである程度推測することは可能です。
2009年度入学生についてはハッキリしています。未習のみの15人入学で、ストレート修了4人、在学5人ですから、6人退学したことになります。したがって、2009年度制の退学率は40%。ちなみに、留年率は33.3%、ストレート修了率26.7%となります。
2008年度以前の入学生については正確な数値は不明ですが、ある程度予想することは可能です。まず、2008年度は未習26人、既習2人の合計28人が入学し、ストレート修了者数は未習14人、既習2人。2012年の在学生は1人なので、少なくとも17人は退学していないことになります。問題は留年の上修了した人数です。2012年春の未習修了者12人中8人が2008年度以前の入学生なので、この中に何人2008年入学生がいるかですが、これは不明です。結局、2008年度入学生で退学していないのは17~25人というほとんど意味のないくらい幅のある数字になってしまいます。もっとも、2年以上留年する人数は少ないという経験則?からすると、8人中5~6人程度が2008年生と考えていいように思います、そうであれば、2008年度生で退学しなかったのは22~23人となり、退学率は、5/28~6/28→17.9~21.4%ということになります。
別の観点から退学率を推計してみます。
2012年4月時点で、2004~2006年度生の在籍者はいません。この間の入学者数は101人。2007~2009年に修了した未習者と~2008年に修了した既習者はすべて前期の年次の入学者で、その総数は75人。したがって、最低でも75/101=74.3%の入学者は修了していることになります。この数字は2006年度入学者はストレート修了、2005年修了者は1留までの者しかカウントされていないので、まず間違いなく、実際の修了率はこれより大きくなります。
したがって、2004~2006年度入学生の退学率は、最大で25.7%、実際は20%程度ではないかと推測してよいと思います。
2007年以降の入学者を含めた退学率ですが、これも同様の方法である程度推測可能です。しかし、2008年度入学者はので、その数字も掲げておきます。
2004~2006年入学者:退学率→26/101=25.7%以下
2004~2007年入学者:退学率→34/131=26.0%以下(2007の在学者が1人いるため、退学者は最低35人ではなく34人)
2004~2008年入学者:退学率→37/159=23.3%以下(同様に2人補正)
2004~2009年入学者:退学率→34/174=19.5%以下(同様に7人補正)
2番目の計算方法だと退学率は年度を追うにつれ減少しているように見えるのですが、2009年度入学生の退学率が40%に達していることからすると、2番目の計算方法はちょっと問題があるのでしょう。後日検討してみます。
以下、明日以降に更新します
【基本データ】
http://www.ls.kagawa-u.ac.jp/data/
[入学者数]
2004年:未習30
2005年:未習30
2006年:未習39、既習2
2007年:未習27、既習3
2008年:未習26、既習2(※)
2009年:未習15
2010年:未習15、既習2(※)
2011年:未習9、既習1
2012年:未習5、既習1
(※)は、「合格者の特徴」という資料ではいずれも2人ではなく3人となっている
[修了者数]
()内はストレート修了者数
2007年:未習20(20)
2008年:未習23(19)、既習2(2)
2009年:未習30(25)、既習2(2)
2010年:未習19(13)、既習2(2)
2011年:未習22(14)、既習1(0)
2012年:未習12(4)、既習1(1)
[(新)司法試験結果]
数値は、出願者、受験予定者、受験者(内短答合格者数)、合格者の順
2007年:17、17、9(5)、3
2008年:39、39、21(11)、3
2009年:59、59、42(16)、3
2010年:62、62、52(29)、10
2011年:64、63、44(19)、2
2012年:50、50、39(19)、?
【分析】
1.まず、目を引くのが、(本試験の出願者-受験予定者)の数で、2011年を除いて一致しています。これは、少なくとも3年の後期での留年確定者が極めて少ないということを意味します。学生を本試験に向けての勉強に集中できる環境を提供していると言えると思います。
2.ストレート修了率、および2012年8月時点での修了率を見てみましょう。
☆ストレート修了率 <単位は%>
2004年入学生=未習:66.7
2005年入学生=未習:63.3
2006年入学生=未習:64.1、既習100.0
2007年入学生=未習:48.2、既習66.7
2008年入学生=未習:53.8、既習100.0
2009年入学生=未習:26.6
2010年入学生=未習:--、既習50.0
☆修了率
2012までの修了可能だった入学者総数は、未習167人、既習9人。うち修了者数は、未習126人、既習8人。よって、修了率は、
未習:75.4%
既習:88.9%(※)
ちなみに、未習修了者の内、留年経験者は31人、既習では1人。よって、修了者に占める留年経験者の割合は、
未習:24.6%
既習:12.5%(※)
(※)は、サンプル数が少ないため、あくまで参考値としてのものです。
3.受け控え率
まず、「受け控え率」の定義ですが、「受験可能であるにも関わらず受験しなかった者」とします。したがって、出願の有無などは無視します。
2004年未習入学30人の内20人がストレート修了し、17人が出願、実際に受験したのが9人ですから、受け控え率は55%。結構な高率ですですが、下位ローでは致し方ないことかも知れません。また、この時期は3000人合格という政府の目標もまだ健在だったため、受験時期を遅らせることに一定の合理性はあった時期でもあります。
以降の受け控え率はどんなものか試算してみました。
2008年本試験は、修了者20+23+2=45人から前年の合格者3人を除いた42人が受験可能者数。そのうち39人が出願し、21人が受験したので、受け控え率は50.0%となります。
以下同様に受け控え率が下記ののものです(単位は%)。
2007年本試験:11/20=55.0
2008年本試験:21/42=50.0
2009年本試験:29/71=40.8
2010年本試験:37/89=41.6
2011年本試験:58/102=56.9
ここまでは問題ないのですが、この先の計算は少々問題です。2007年修了者の受験期間が経過してしまうからです。学校側が入学年度ごとの合格者数を公表してくれればいいのですが、そこまでの情報公開をしている学校は私が現在までに見たローのHP中にはありませんでした。
そこで、2007年修了生のうち合格した者の人数を6人と仮定することにしました。これは2007年に3人合格していることから、単純にその数値を2倍にしたものです。(新)司法試験は初回受験で合格する場合が多いのですが、ここの合格者の声のページ中には2007年修了組で複数回受験した人が含まれていること、2010年に一気に10人合格者を出したことを考慮して仮定してみました。仮定が間違っていても、数字に大きなずれが生じることはないと思います。
2012年本試験を受験可能な修了生は114人、そのうち合格者15人(過去の総合格者21人から2007年修了の6人を除いた)を除くと99人。そのうち39人が受験したのだから、
2012年本試験:60/99=60.6
4.その他
(1)退学率
ほとんどの法科大学院は退学率を公表していません。比較的情報公開のなされている香川大学も同様です。ただし、香川大学の場合は、公表データである程度推測することは可能です。
2009年度入学生についてはハッキリしています。未習のみの15人入学で、ストレート修了4人、在学5人ですから、6人退学したことになります。したがって、2009年度制の退学率は40%。ちなみに、留年率は33.3%、ストレート修了率26.7%となります。
2008年度以前の入学生については正確な数値は不明ですが、ある程度予想することは可能です。まず、2008年度は未習26人、既習2人の合計28人が入学し、ストレート修了者数は未習14人、既習2人。2012年の在学生は1人なので、少なくとも17人は退学していないことになります。問題は留年の上修了した人数です。2012年春の未習修了者12人中8人が2008年度以前の入学生なので、この中に何人2008年入学生がいるかですが、これは不明です。結局、2008年度入学生で退学していないのは17~25人というほとんど意味のないくらい幅のある数字になってしまいます。もっとも、2年以上留年する人数は少ないという経験則?からすると、8人中5~6人程度が2008年生と考えていいように思います、そうであれば、2008年度生で退学しなかったのは22~23人となり、退学率は、5/28~6/28→17.9~21.4%ということになります。
別の観点から退学率を推計してみます。
2012年4月時点で、2004~2006年度生の在籍者はいません。この間の入学者数は101人。2007~2009年に修了した未習者と~2008年に修了した既習者はすべて前期の年次の入学者で、その総数は75人。したがって、最低でも75/101=74.3%の入学者は修了していることになります。この数字は2006年度入学者はストレート修了、2005年修了者は1留までの者しかカウントされていないので、まず間違いなく、実際の修了率はこれより大きくなります。
したがって、2004~2006年度入学生の退学率は、最大で25.7%、実際は20%程度ではないかと推測してよいと思います。
2007年以降の入学者を含めた退学率ですが、これも同様の方法である程度推測可能です。しかし、2008年度入学者はので、その数字も掲げておきます。
2004~2006年入学者:退学率→26/101=25.7%以下
2004~2007年入学者:退学率→34/131=26.0%以下(2007の在学者が1人いるため、退学者は最低35人ではなく34人)
2004~2008年入学者:退学率→37/159=23.3%以下(同様に2人補正)
2004~2009年入学者:退学率→34/174=19.5%以下(同様に7人補正)
2番目の計算方法だと退学率は年度を追うにつれ減少しているように見えるのですが、2009年度入学生の退学率が40%に達していることからすると、2番目の計算方法はちょっと問題があるのでしょう。後日検討してみます。
以下、明日以降に更新します
