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東洋医学的な考え方に基づいたペットの鍼灸専門治療院
方歆犬猫治療院 院長 山口 格(方歆)です
・ 大江戸線 西新宿五丁目駅徒歩5分、清水橋交差点近く
最近続けて頭鍼のセミナーに参加してきました。
伝統的な中医学では、整体理論に基づく全身治療と病変・症状発現部位を治療する局所治療が行われてきました。
しかし、近年「部分が全体を反映する」というマイクロシステムという新しい形態の鍼治療が行われています。
これは微刺療法とも言われます。
バイオホログラフィーの考え方では身体のすべての情報は、経絡などを通じて身体各所(頭や顔、掌、耳など)に身体全体の縮図となって現れるとされています。
マイクロシステムの治療は、このバイオホログラフィーの考えに基づいて位置が決められ、治療に活用されています。
治療では、足つぼマッサージや耳鍼などは誰でもご存知でしょう。
マイクロシステム針療法は効果的な治療法であるとともに、診断法しても用いられます。
診断法では、顔面診、眼振、掌診などがあります。
手相も占いだけでなく、身体の状態を診断することもできるということですね。
そのマイクロシステムの治療法の一つとして頭鍼または頭皮鍼があります。
中医学古典では、「頭は清明の府となす」、「五臓六腑の精気は皆上かて頭に注ぐ」、「頭は諸陽の会となす」、「頭は諸経の会となす」とされており、頭を治療することで全身を治療ができることを示しています。
頭鍼療法として有名なものとしては、焦氏頭鍼法、朱氏頭皮針法、山元式新頭鍼療法(YNSA)などがあります。
今回、私がセミナーで学んだのは、朱氏頭皮針法とYNSAに関してです。
朱氏頭皮針法は、1980年代に朱名清医師らにより開発されました。
朱氏頭皮針 東洋学術出版 -2013
朱氏頭皮針法の特徴としては、中医学の全体感を根底するとともに、大脳皮質の機能と体表との関係を根拠にして治療を行います。
朱氏頭皮針の治療区とは、百会穴を中心点とする長方形の治療区をさします。
百会穴を中心点に定め、督脈を中心線として、その両側の膀胱経線を左右の境界線とし、百会穴点から頭部前後の5寸ずつの距離を前後の境界線とし、様々な治療区を分けています。
百会より前は陰になり、後ろは陽になります。
また、左側は気を主り、陽に属し、右側は血を主り、陰に属します。
正確な診断をしたうえで、該当治療区に刺鍼をすることになりますが、その刺針手技が非常に重要になります。
朱氏頭皮針法の効果は、刺針・運針手法に強く影響されます。
頭皮は皮膚、皮下組織(皮下筋膜)、帽状腱膜および頭蓋表筋、帽状腱膜下層、頭蓋骨外膜の5層から構成されています。
この帽状腱膜下層に刺入することになりますが、頭部は平面ではなく、曲面であったり、、複雑な凹凸がありますので、正確に刺入するには、テクニックを要します。
鍼の操作では、「調気」を重視します。
治療者が意念によって全身の気を運針する指先に集めて行う提挿手技を中心とした「抽気法」および「進気法」が用いられるのが特徴です。
「帯気行針」(運針しながら気を送る)、「以意動気」(意念により気を導く)、「留針守気」(留針より気を守る)を施し、「導引吐納」を加えて、陰陽を調整し、経絡を通じさせ、不足している部分を補い、邪を祛うという操作を行います。
朱氏頭皮鍼のテクニックは簡単なものではありません。
セミナーの実習で、刺針練習しましたが、頭蓋骨の形に沿って、骨にあたることなく、痛みのないように刺入するのも部位によって難しい。
針を軽く持って(虚握)、刺すか刺さないかの中間の力(虚の力)で刺入していくことが必要だと教わりました。
何事も柔らかくというのが重要ですね。
実習で練習台になっている私
(どこからか、針を黒く塗って、もっといっぱい刺したらという声が・・・)
実際やってみると、どうしても押し込もうとしてしまって、相手の方に結構痛みを与えてしまい、申し訳なく思うことも多々ありました。
もっと多くの練習・修練が必要です。
朱氏頭皮針は、ある一定の領域の治療区に対する治療になりますので、点ではなく面で治療できるのですが、刺針・運針のテクニックが必要で、それにより効果がだいぶ違ってしまいます。
また、導引も必要ということで、ある程度推拿や気功の修練も必要となります。
私も学院での授業や太極拳の修練の一環として多少の推拿法や気功法の修練はしていますが、これらもより深く習得していく必要があるでしょう。
また、頭皮針の置鍼時間が長いほど効果が得られるとされており、通常は40~60分または2~4時間置鍼することになりますが、難治性の疾患の場合には12~48、72時間行うこともあるとのことでした。
獣医領域では、朱氏頭皮鍼の治療区に相当するような報告はまだないようです。
ただ、そのあたりが解ってきた場合、ある程度の面で治療できるということは一つのメリットとなります。
動物の頭皮はヒトよりはやや緩く、品種によっては頭部の形で刺入しやすい面もあります。
置鍼の時間はあまり長くはできないとは思いますが、動物での応用も充分できるのではないかとも思われました。
基本的には全身治療を行ったうえで、どうしても症状がとれない難治性の疾患の場合にこの頭皮鍼を試みてみようと思っています。
次回は、獣医領域でも応用されているYNSAについて・・・
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