70点

Rotten tomato 批評家 98% 観客 92% (24/7/21現在)

鑑賞回数 初見

対象者 ラミ・マレック

 

解説

10代の少年少女を対象とした短期保護施設を舞台に、誰にも言えない心の傷を抱えた女性と子どもたちが、大切な誰かとともに生きる喜びや希望を見出していく姿を描いたヒューマンドラマ。ティーンエイジャーを預かる短期保護施設(ショート・ターム)で働いているグレイスは、同僚でボーイフレンドのメイソンとの間に子どもができたことがきっかけで、幸せな将来が訪れると希望を抱く。しかし彼女には、メイソンにも打ち明けられない深い心の傷を抱えていた。2013年のサウス・バイ・サウスウェスト映画祭でプレミア上映されて審査員特別賞を受賞し、そのほか多数の映画賞で話題となった一作。 (映画.comより)

 

感想

ショート・タームというのはティーンを預かる保護施設の事で、ショート、と書いてあるけれど状況次第では年単位で保護することもあるらしい。子どもたちは虐待を受けていたり、自傷行為を行ったりとそこで働く職員には最新の注意が求められるという事が、もちろんこの映画を観なくても想像はできるけれど、改めて実感させられます。

 

何と言ってもブリー・ラーソンが素晴らしかったです。「ルーム」でオスカーを受賞する2年前ですが、演技のレベルで言えば同じくらいの評価を得ても全く不思議ではないと言っても良いでしょう。自らも未婚の状態で妊娠し、父親は服役中という中で施設のケアマネージャーのリーダーと言って良い存在。自傷行為につながるようなものがないか常に気を張っていなければならないストレスと同時に、彼らと楽しい時間を過ごすこともあるという喜びを素晴らしく表現していたように思います。

 

この映画は当初120分程度あったものを相当カットしたらしいのですが、確かに詰め込めすぎずに正解だったように思います。もしかすると、現場と施設長の意見の食い違いとか、理想と現実の食い違いを描くような場面がもっとあったのかな、という気もするのですが、ステレオタイプにならず、主人公の仕事場面を中心とすることで、ほとんどの時間を仕事に費やす彼女の職業の過酷さも見えて気がします。

 

今鑑賞するとラミ・マレックが施設で働き始める初日のスタッフの役を演じていて、本来であれば観客は彼のフィルターを通してキャラクターを知っていく、という描きかたをするべきだったと思うのですが、あまりそういった視点から物語が進んでいかないのはマレックの後の出世ぶりを考えると尚更もったいない気はしました。

 

こういった施設で起こる出来事をリアルに描きながらも、決してネガティブ一辺倒にはならずに子どもたちだけでなく、大人の成長も描いたという意味で非常に良い感触を得ることができた映画でした。