平成18年問35-4

 Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても同建物にA・Bで同居することになった。


4. A・Bの婚姻後に甲建物内に存するに至った動産は、A・Bの共有に属するものとみなされる。

○か×か?



【解説】

夫婦間における財産の帰属についての基本条文は762条でしたね。

762条……夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
②夫婦のいずれに属するかが明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

つまり、名義人がはっきりしている財産はその名義人のもの。はっきりしていない財産は、一応夫婦2人の共有財産に推定します、ってことでしょう。

たとえば、建物、土地などの不動産は名義人が必ず存在しますからその名義人のものとなりますし、動産にしても、割と高価な電化製品など(テレビ、冷蔵庫、パソコンなど))を電気屋さんで購入したときは、契約のときに夫婦どちらかを契約者の名前として記入することが多いでしょうから、その電化製品は名義人のものになります。

でも安価な電化製品(照明、トースターなど)は、買うときに必ずしも契約者の名前を記入する必要はありません。
また、リサイクルショップで中古の電化製品を購入するときも契約者の名前など記入しないことが少なくありません。
こういう場合、その動産の名義人がはっきりしないわけです。
だから一応、2人の共有ということにしておきましょう。でも一方が「いや違う!あれは私のものだ!」と主張したいのであれば、その証拠を提出してください、証拠が確かなものであればあなたの所有だと認めましょう、と条文は言っているわけです。

設問に戻りますと、明らかに誤っていますね。

そもそも、その動産は、原則的には名義人がはっきりしていれば名義人のものです。(→762条1項)
そして名義人がはっきりしない場合であっても、「みなされる」のではなく「推定される」にすぎません。(→762条2項)

答 ×






平成18年問35-3

Aは、自己が所有する甲建物に移住していたところ、Bと婚姻後においても、同建物にA・Bで同居することになった。

3. A・Bの婚姻後に甲建物について必要な修繕をしたときは、その修繕に要した費用は、A・Bで分担する。


○か×か?




【解説】

甲建物が、婚姻後も変わらずA所有のものであることは既に述べました。
つまり婚姻したからといって、A所有の不動産がA・B共有の不動産になるわけではなく、やはりA所有のままなのですね。(夫婦別産制のエントリー参照

とするならば、A所有の建物を修理するのは、普通に考えれば、所有者のAということになりそうです。
自分の所有物を修理するのに、他人のカネを要求するのは変だからです。

しかし民法は夫婦別産制に例外を設けました。

民法760条(婚姻費用の分担)…夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

この「婚姻から生ずる費用」とは、挙式費用のことではなく、夫婦および未成年の子どもの衣食住の費用や教育費・医療費・葬祭費などを指します。
本問の甲建物は、A所有の不動産ではありますが、Bも同居しているのですから、その修繕費用は夫婦の「住」費用といっていいでしょう。

よって、その費用は夫婦A・Bで分担します。

答 ○
平成18年問35-1

 Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても同建物にA・Bで同居することになった。

1. A・Bが甲建物に関して婚姻の届出前に別段の契約をしなかったときは、甲建物は、A・Bの共有に属するものと推定される。

○か×か?



【解説】

これ、常識的に考えて、おかしいですね。
たとえば、裕福な鈴木花子さんが、一文無しの山田太郎くんと結婚するつもりだったとします。花子さんは太郎くんの優しいところに惹かれたとします。これは恋愛ドラマなどでときおりみかけるパターンだし、実際にもある話でしょう。

 しかし、もし結婚したとたん、花子さんのマンションや家財道具、貯金までもがすべて太郎さんとの共有財産に推定されてしまうとすれば、果たして花子さんは結婚に踏み切るでしょうか?

 結婚して、仮にその後、太郎さんの優しさが偽りのものであり実は婚姻が財産目的だということが判明し、すぐに離婚ということになった場合、花子さんは(反証という面倒な行為をしてそれが認められない限り)元々の自分の財産の半分を太郎くんにとられてしまうわけです。

 花子さんにとって、財産を失いかねないこの結婚はとてもリスキーです。
 では太郎くんにとってはラッキーかといえばそうでもないわけで、もしこのような規定があると、そもそも世の中のほとんどの女性は太郎くんのような貧乏な男には見向きもしなくなるでしょう。

 昨今、日本では、不景気で正社員になれない低収入の男性の独身率が高くなっているとマスコミなどが騒いでいますが、それに拍車をかけるに違いありません。

つまり、こんなことがまかりとおると、当事者双方にとって具合が悪いのです。
というわけで、常識的に考えて×ですね。

民法の根拠条文は以下です。
762条(夫婦間における財産の帰属)一項…夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。

答 ×