映画キロク
不朽の名作からクセになるB級まで、幅広く楽しみたいです。
  • 21Sep
    • 「サンキュー・スモーキング」 肩身のせまい煙草・銃・酒

      タバコの箱にドクロマークをつける法案が、上院議員から出された。煙草業界の危機だ!イメージアップ戦略に駆け回る広報部長。しかし過激派によって誘拐され、二度と喫煙できない身体に。法案は可決されてしまうのか?公聴会の期日が迫る。「サンキュー・スモーキング」ジェイソン・ライトマン監督2006年93分アーロン・エッカート、ウィリアム・H・メイシー、ロブ・ロウ、ロバート・デュバル(画像お借りしました)ああいえば、こういうヽ(^。^)ノ呆れるほどしゃべりが上手い男。肺がん患者も、保険屋さんも、丸め込まれる。議員さんも彼のペースに呑まれてしまう面白さ!しゃべっている内容は9割がおかしいし、間違っている。なのに残り1割で「う~ん、ごもっとも。。」妙に納得させられてしまう、憎めない男。これぞアメリカ!というブラックユーモア!オープニングクレジットがクールなんです。煙草の銘柄デザインが次々と。愛煙家もそうでない人も楽しめる社会派エンタメ映画です。【感想】吸うか?吸わないか?それを判断するのは個人の選択だ。人からダメだって言われたから、決めるのか?政府が、先生が、親が言うからそうするのか?あれダメ、これダメ・・・自分自身でよく考えてきめろ。「パパの仕事が見たい。見学させて」息子が車に乗り込んできた。ハンドルを握るパパは、浮かない顔でため息をつく。なぜなら、今回の出張先は肺がんになったかつての「マルボロマン」の農場。賄賂を渡すというお仕事なのだ。息子の目にうつったパパの姿は・・・ロビイストとして有無を言わせず突っ走るプロの仕事ぶり。「たましいは売らんぞ」銃を向ける男に、2つの選択を迫るパパ。煙草の市民権を復活させるため、策を練る。ハリウッド映画でカッコよく煙草をふかすシーンを撮ろう。ブラピとキャサリン・ゼダ・ジョーンズに吸わせるなら2500万ドル。ブラッド・ピットには輪っかの煙でクールにキメてもらおう♪映画の題名を、新商品につけるのもいいぜ。 ↓エージェントをロブ・ロウが演じています。奔走する彼に殺害予告が!誘拐、そして入院。新聞のネタにされ、クビを言い渡される、パパ。でも、息子はきっぱりと告げる。「僕には、常識的でモラルを守る新しいお父さんがいる。だけど、僕にとって父親はパパだけだ。人に嫌われるのがパパの仕事でしょ?情報操作の王様でしょ?だったら闘って!」男は、チーズアップルパイの上に立つ星条旗をみて、ひらめいた!映画「スミス都へ行く」のジェームズ・スチュワートを目指し、公聴会へ出席する男。さぁ、どんなディベートで反撃に出るのか?ロビイストにとって、最も大切な能力は柔軟な道徳観念。転んでもただじゃ起きない彼に、なんだかスッキリする1本です(^ー^)※今作には、一度も喫煙シーンがでてきません(^_-)

  • 19Sep
    • 「アルバート氏の人生」 彼(彼女)が遺したもの

      「ミスターノップス」と皆から呼ばれるホテルマン。客の好みを熟知し、気配り上手な彼。しかし実は、男として生きる女性だった。ある日、塗装工を自分の部屋に泊めることになり、あわてるアルバートだったが・・・。「アルバート氏の人生」ロドリゴ・ガルシア監督2011年グレン・クローズ、ミア・ワシコウスカ、ジャネット・マクティア、ブレンダン・グリーソン(画像お借りしました)グレン・クローズとジャネット・マクティアの演技!目が離せなくなりました。女性だとわかっていても、男性にしか見えない仕草、表情。アカデミー賞主演女優、助演女優ノミネート作品です。【感想】我々は、自分自身の仮装をしている。仮装舞踏会でつぶやく医者の言葉です。今作を象徴しているように感じました。グレンクローズ演じるアルバート氏、独特のキャラクターです。どう説明したらいいでしょうか。私は、ピーター・セラーズ主演「チャンス」を思い出しました。人の気持ちを察することが難しい不器用な彼女。ひたむきに自分の夢に向かう姿が、とてもピュアなんです。男として働きながら、毎晩その日もらったチップを数える。床板に隠した貯金が増えていくことが一番の楽しみ。「いつか自分の店を持ち、ささやかに暮らしたい」と夢みていた。しかし、ある夜を境に、「1人で生きるより誰かと一緒に暮らしたい」そう願うようになります。恋する気持ちや、愛情表現のやり方は、よく解からないけれど、同僚ヘレンにアプローチしてみるんです。恋人がいるヘレンには迷惑な話。ヘレンから面倒臭そうにあしらわれ、バレバレの嘘をつかれても、ピンとこないアルバート。アルバートは、ただ、同居できるパートナーが欲しい。過去のトラウマで、男性とは暮らせない。ひとつのベットに横たわるだけで、身体をむしずが走る。かゆくなる。でも、同性なら、大丈夫。お人好しのアルバートは、ヘレンと恋人の財布(金ヅル)になっていく。チョコレート、高級な酒、花飾りの帽子、靴下、靴・・・ 苦労してためたお金が減っていく。私の好きなシーンは、彼女がドレスを着る場面。とても解放されたひとときが輝いてみえる、素晴らしく良いシーンなんです。久しぶりにドレスの袖を通してみる。最初はぎこちなく肩に力が入っていたアルバート。海が見えてくると、次第に心の奥から女性らしい気持ちが湧きあがってきた。肩掛けを引き寄せるやわらかな手の仕草。両手を広げ、満面の笑みで浜辺をかけていく。でも、砂に足をとられて、転んでしまう。ボンネットの帽子も落ちて。そして、また紳士の姿にもどっていく。さらに、物語は思いがけない方向へ舵をきります。人は彼女のことを「憐れなやつだ」 「可哀想な人」 「むくわれない人生」と言うかもしれない。表面をなぞるとそう見える。けれど、彼女が周囲の人に影響を与える結末をみれば憐れでも、報われない人生でもないんです。彼女の生き方に触発され、愛する人と新しい道を踏み出す医師。彼女の遺した財産を横取りするホテルの経営者。そのおかげで、再び仕事を依頼された塗装工。赤ん坊にアルバートと名付けたヘレン。そして、塗装工は、アルバートの遺志を継ぐ決心をする。孤独な人と人の絆を結んだアルバートの人生。しみじみと感動する優しいラストシーンでした。

  • 17Sep
    • 「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」 魂を仇にあずける愛

      「我々は人間が起こした戦争の巻き添いになった。娘を奪われた悲しみは癒えない。なかったことにはできない。でも・・・」なぜ彼らは、仇をあたたかい眼差しで見つめることができるのか?「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」リュック・ベッソン監督2017年137分デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、イーサン・ホーク、ルドガー・ハウアー(画像お借りしました)デビット・ボウイのスペースオディティではじまる物語。いろんな宇宙人と人間が握手をする。さまざまな容姿をした星人と、少し戸惑いながらも挨拶をかわす。金属の手をした星人、粘液ベトベトな星人、どんな手であっても握手できたらいいなぁ。そう願いたくなる冒頭シーンです。↓ルドガー・ハウアーアバターみたいな美しい映像がなめらか過ぎて綺麗すぎて、ちょっと気色悪いなぁ~と思っていた私でしたが・・・ スターウォーズ臭がただよいはじめると、妙にテンションあがりだし、だんだんよい台詞が増えてきて、あれ?と思い哲学が濃くなると、おぉーーっと唸り、結局愛がすべてを包んでしまいました。【あらすじ】連邦捜査官男女コンビ、ヴァレリアンとローレリーヌ。政府の要請で、宇宙に一つしかないという貴重な品を取り戻すため、”千の惑星の都市”へ潜入する。【感想】あなたの最大の敵は、自分自身だ。過去と向き合わない限り、未来はない。過ちをなかったことにする人間。仕方なかったと言い訳したり、逆ギレしたり。もう、すんだことだから・・・と加害者が話を打ち切ろうとしたり。今の国際情勢をSF映画でみせられているような気分に(^_^)さまざまな地域でいろんな宇宙人と出会う捜査官ヴァレリアン。個人的には、天国横丁の場面にわくわく♪♪ブロードウェイやポップスなど洋楽好きさんに向けたサービスもあってバブル時代のエンタメの香り満点。リアーナの魅力にハートを射抜かれましたキャバレーに始まり、刻々と姿を変える歌姫のパフォーマンス!主人公と同じく、瞳がとろりんしちゃいましたよ。愛は無限。測かれる程度なら、本物の愛じゃない。相棒ローレリーヌとの絆を深めつつ、愛情をはぐくみながら最後にたどりついたのは・・・パール人の世界。平和主義の彼らの挨拶に癒されます。自分の額に手をあてて、相手へゆっくりと飛ばす。真心や敬意がこめられた仕草。見ているこちらまで、セロトニンとかオキシトシン(癒しのホルモン)が湧いてきます(*^^*)奴隷歌手、姫、姫の母、そして相棒。女性たちが、主人公ヴァレリアンに語りかける。姫がなぜ、人間のあなたを選んだのか・・・愛は、政治も軍も憎しみさえ超える。「兵士の立場がなんぼのもんじゃい」と、諭される。プレイボーイな若者ヴァレリアンが、チャラ男を返上。愛に目覚めるロマンスあり、アクションありのエンタメ作品です(^^)

  • 16Sep
    • 「恐怖のメロディ」 愛をリクエスト

      愛のバラード曲『ミスティ』をかけて。DJは孤独な私のためにリクエスト曲をかけてくれる。どんな人なのか、一度会ってみたかったの。そして愛されたいの。ストーカーの暴走が加速していく。「恐怖のメロディ」 クリント・イーストウッド監督1971年101分ジェシカ・ウォルター、ドン・シーゲル、ドナ・ミルズ(画像お借りしました)原題は「Play Misty for me」 私のためにミスティをかけて。バーのマスターをドン・シーゲル監督が演じています。初めてみましたよ。温かみのあるおじいちゃんの風貌されてます。以前、TVで「恐怖のメロディ」をみていたら、突然、地震速報が入り、クライマックスシーンが飛んじゃうというすごいタイミニングのハプニングがありました( ̄◇ ̄;)ガビーン本編にもどったときには、海の景色が広がり、エンドロールが。「えぇーーっ?!嘘やん。ラストどうなったの?」ミステリーが尻切れトンボになるという恐怖のムービィとなった1本です(^_^;)今作のヒロインはストーカー。彼女を演じたジェシカ・ウォルターの強烈な演技に惚れ惚れ。いきなりキレて暴言を吐いた直後、茶目っ気たっぷりニッコリ笑顔。涙ながらに必死に両手をのばして愛を乞う。おぞましく切ない姿が、魅力的なキャラクターです。【あらすじ】DJデイブの行きつけのバーに、見知らぬ女が現れた。他の男には見向きもしない女。店のマスターが、デイブをけしかける。「色男のお前さんなら彼女を落とせるんじゃないか?」しかし、狙われていたのは、デイブのほうだった。【感想】剣に生きる者は、剣に死す。同僚がモテ男を皮肉った言葉です。剣の部分を女にいれかえると、ぴったり。つきまとわれる男をクリント・イーストウッドが演じています。DJの彼の声は、なるほど、セクシーですね(^_-)彼には本命の恋人以外に、なりゆきの女性がいっぱい。ラジオ番組のファン、イブリンもそのうちの1人に。男は「お互い大人だから、割り切った一晩だけのつきあい」女は「私たち愛しあってる。これからもずっと」彼がレストランで仕事を売り込むシーンに、震えます。親子ほど年の離れた女性プロデューサーとランチするデイブ。「仕事ぶりが気に入った」と、認められ、ご機嫌なところへ彼女の声が!「こんな年寄りを相手にするなんて」他のテーブルの客が一斉にふりかえる。人目を気にせず、年配女性にキバをむき、罵詈雑言を浴びせる彼女。身も凍るシーンですねぇ。ひぃーー、おっそろしぃぃ。まとまりかけた商談が。。テーブルには、売り込み用の録音テープがポツンと。「ミザリー」も「危険な情事」も、人前では取り繕うタイプのヒロインが登場しますけど、イブリンは、怖いものなし。恋路の邪魔になる相手には、キバをむく。彼女にとって怖いもの。それは、愛されない現実だけ。「もう愛してないの?」「(はぁ?)俺は一度も愛してるなんて、言ってないぞ」デイブには本命の恋人がいます。でも実は、本命さんもイブリンと同じ心理でした。嫉妬にかられる毎日に苦しんでいたことを、告白します。「いまごろ、誰と会ってるの?赤毛?ブロンド髪?こんなに嫉妬で苦しむくらいなら、いっそ彼が事故で死んでくれたら・・・」そんな強迫観念にとらわれる自分をなんとかしたくて彼の元を去り、自分磨きのため、芸術家としてクリエイティブ活動、孤独をさけるために同居人と暮らす。ストーカーになることを避ける対策を、実行していたのでした。そんな彼女の家に新しい同居人がやってきた。同居人は、リビングに置かれたデイブの肖像を見つめる。「あなたが描いたのね。でも、彼の瞳は、こんなんじゃないわ。もっと・・・冷たいの」鋏をふりあげ、カンバスに振り下ろす!その頃、ラジオ局にいたデイブは、ハッとする。イブリンの詩と、恋人の同居人が同じ名前だ。彼女に危険が迫ってる!あわてて車を走らせる・・・音楽とラストの余韻がたまらないサイコスリラーです。

  • 14Sep
    • 「ポルターガイスト」存在をアピールする魂たち

      ワンワン!飼い犬が天井に向かって吠えている。誰もいないのに、お座り、チンチンをする。玩具を口にくわえて運び、「もっと遊んで」と見上げている。どうやら、なにかがいるらしい。「ポルターガイスト」トビー・フーパー監督1982年115分スティーヴン・スピルバーグ製作ヘザー・オルーク、クレイグ・T・ネルソン、ジョベス・ウィリアムズ先週、深夜2時ごろ、突然大きな声とリコーダーを吹く音に、飛び起きました。「お隣さんったら、こんな夜更けに笛の練習?」窓を閉めても、まだ大音量。音のする方へ近づいてみると・・・なんと、ラジオのスイッチが勝手に入っていたのでした。電源をOFFにしても、またすぐに入っちゃう慌ててコードをひきぬきました。ポルターガイスト現象?!せっかくなので(?)久しぶりに映画「ポルターガイスト」を鑑賞(^ー^)(画像お借りしました)細かい部分をすっかり忘れていたので、とっても新鮮でした。なんといってもスティーヴン・スピルバーグ臭が強烈。ホラー映画とは思えないような素晴らしい映画音楽!思わず、ジョン・ウィリアムズのオーケストラ??って錯覚するほど「ET」や「ジュラシックパーク」に似ているし、子ども部屋にはスターウォーズコレクションが並んでいて、思わずにんまり❤しかも、カット割り・構図・効果もエンタメ要素が盛りだくさん。「未知との遭遇」「サイコ」「エルム街の悪夢」「エクソシスト」「シャイニング」「ET」「鳥」恐怖のツボを押さえた演出に、あらためて感心しましたヽ(^o^)丿最初にこどもと犬が得体の知れないものに気づく。だんだん超常現象が大きくなり、大人たちも気づいていく。このジワジワ忍び寄ってくるスリラーな展開がたまりません。子役さんと、わんちゃんの演技がステキ❤ 特にキャロルアンの可愛さが神がかっています☆【感想】魂は目に見えないのよ。物語の序盤と、終盤で、死者に対する捉え方が変わる。ここが面白いです。飼っていたカナリアが突然死んだ。「あら、いやだ」と、指先でつまむママさん。ママさんお姉ちゃんお兄ちゃんは「死んだらおわり」という感覚。死者に対して、無頓着・無関心なんです。末っ子のキャロルアンだけが、小さな棺(箱)にお花、布団、自分たちの写真をいれ、心をこめて庭へ愛鳥を埋葬する。折しも、パパさんがこの庭にプールを作ろうと、工事を始めていた。ブルトーザーが掘り返す。大きなシャベルには土と鳥の箱が。しかし、土の中から掘り起こされたのはカナリアだけではなかった。開発されていくニュータウン。死者を冒涜する心が、彼らの眠りを目覚めさせる。だんだん、強くなっていく超自然現象。ちょっと目をはなしたすきに、食卓の上に椅子がピラミッド。現象の解明を超心理学の教授に頼むが、紅茶のカップを持つ手が揺れて、とまらない。はじめての恐怖。パパさんも、初めは目にみえないモノや霊能者に半信半疑。でも、愛娘キャロルアンが奪われ、助けを求める声がする。あの子の香りがする。「物音、光、揺れ、叫び声、超常現象は我慢できる。ただ、娘がいないことだけは許せない。」霊能者と共に、家族で娘をとりもどすべく、力を合わせて挑んでいく。意地悪な霊、悪戯好きな霊、寂しがり屋の霊、道に迷う霊、自分の死を受け入れられない霊、霊にもいろんな人がいる。人間と同じように、皆がみんな、邪悪というわけじゃないという霊魂の描き方。バリエーション豊富で好きなんです。そして、苦労して購入した家が壊れても、家族の絆は壊れない。むしろ強くなっていく一家の物語です。

  • 12Sep
    • 「アナライズ・ミー」 パニック障害になったマフィア

      マフィアのボスがパニック障害に。全米マフィアの会合が迫っている大切な時期なのに。みんなにバレたら、抗争が起きかねない。2週間以内に病気を治してくれよ、アタマの医者!「投薬治療だって?俺はドラッグはやらねえ主義だ」「アナライズ・ミー」ハロルド・ライミス監督1999年104分ロバート・デ・ニーロ、ビリー・クリスタル(画像お借りしました)「恋はデジャ・ブ」の監督さんなので、ジョークとユーモアたっぷり。ロバート・デニーロが扮する大物マフィアが、めちゃ可愛い!ビリー・クリスタル演じる精神分析医も、超キュート!2人の掛け合いコントが楽しく、ゴッドファーザーのオマージュに心躍る!イタリアンレストランでオペラにあわせて襲撃をうけるスローモーション。オレンジが路地に散らばり転がっていき、デニーロがかけよるユーモア。「おぉ!」と、思わず前のめりで観ちゃいました(*^_^*)不安障害、パニック障害の患者さんを魅力たっぷりに描きつつ、医者と患者の立場を超えた友情、お互いの生き方に影響を与える、ちょっといい話。精神科医の台詞アルアル、症状アルアル満載で「うまい脚本だなぁ」と感心しました。【感想】やっぱり、あんたは、名医だ。マフィアの親分の台詞、一体何回飛び出したことでしょう(*^。^*)彼が口にするたび、ほっこりと愉快な気分に。マフィアの大物 ポール・ヴィッティ。最近、頭痛がするしめまいも。心臓がドキドキして息苦しい、死にそうだ。心臓の検査は、異常なし。子どもと動物のCMを見ているだけで、泣けてくる。涙もろくなった。しかも、俺のせがれがしぼんじまった。強い男に戻してくれよ、頼むよ先生!精神分析医ベンは、診療を断っても断ってもつきまとわれ、セラピーの頻度が高くなっていき、結婚式にまで押しかけられる。でも、互いの共通点に気づく。ポール(マフィア)がベン(精神科医)にセラピーをする立場逆転の面白さ!「お前の父親の話をきかせろよ。パパの話になると、イラつくじゃねぇか。」精神分析医のモノマネをする、デニーロさんが最高です♪文句を言いつつも、病気の根源をさぐろうとする医者。FBI捜査に協力するのか?マフィアに殺されるのを覚悟で、患者を治すのか?「これだ!」マフィアが封印していた心の傷がみえてきた。糸口をつかんだ医者は、覚悟をきめる。胸に貼られた盗聴器をバリバリとはがしていく・・・散弾銃の弾をよけながら、セラピーを続ける2人。「パパーーー!」泣き続けるマフィアの手に銃を握らせ、「おい、今は、悲しみを怒りにかえてもいいぞ、ほら、バンバンって撃ち返して!」マフィア会合の当日がやってきた。さぁ、物語の結末は?「パパ、いつまでそこにいるの?」息子のひとことが、マフィアの背中を押す。ラストの嬉しい歌のおまけがついたハートフルコメディです。

  • 10Sep
    • 「ローマの休日」モノクロだけど色あせない鮮やかさ。娘の感想

      上映、放映されるとついつい観てしまう作品ってありますね。娘がくりかえし観賞し、台詞を一緒にくちずさみ、安心感で心が満たされる1本。「ローマの休日」2019年8月14日午前十時の映画祭でリバイバル上映された「ローマの休日」娘はシネマコラージュを作って余韻にひたっています(^_^)イタリアンカラーで緑と赤を。ローマの名所がデザインされてあるマスキングテープと一緒に。2014年初めて足を運んだ午前十時の映画祭。「学生は500円でみれるんだって!」ワンコインで名画にふれるチャンスに大喜び。初鑑賞は「サウンドオブミュージック」でした。ジュリー・アンドリュースが両手を広げ歌うオープニングから、もう大感激で胸がいっぱいになったそう。 (画像お借りしました)その後、「外国の映画を劇場でみたことがない」という友人と一緒に、「初めての人でも、きっと楽しめると思うよ!」と「ローマの休日」へ。分刻みのスケジュールにうんざりする王女が”自由な社会と人々”に憧れ、大使館を抜け出す物語。観光地を王女と一緒にめぐりながら、成長を見守ります(^ー^)【娘の感想】この地での思い出は生涯 私の心に残ることでしょう祖父母世代の方々と一緒に楽しむひととき。王女の靴が脱げる場面では客席からクスクス笑い声が、船上パーティーでの乱闘シーンも大いに盛り上がる。そうやって 劇場が笑いに包まれるたびに、「やっぱり映画館にきてよかった・・・」と実感するんですよね(*^_^*)祈りの壁の厳かなシーン。戦時中、1人の男とその家族が無事を祈って戦火をまぬがれた壁。人々は、願いが実現すると板を飾る。四角やハート型の板が無数にあります。アン王女はどんな願い事をしたのかな。警察署の思わずニヤリとしてしまうシーン。手帳の顔写真を確認されるジョー(グレゴリーペック)の表情がもう最高!夜の船上パーティーの楽しいシーン。一瞬でカメラのシャッターを切り、何事もなかったかのように酒を飲むジョーとアービング。職務中なのに思わず音楽にのっちゃう情報部員。乱闘中、川に落ちた情報部員に浮き輪を投げてあげるアン王女。乱闘を煽るようなテンポの速い曲に切り替える音楽隊。観ていると楽しくてたまらない場面です(^o^)泳いで対岸を目指すオードリーとグレゴリーペック。二人に、水上パーティの人たちが手を振っている・・・陽気でおおらかなローマの人々の姿に、ほっこり。テレビで観ている時には全く気が付かなかった細部の描写(^~^)会見のシーンで、ライター型のカメラを取り出し、「ニヤッ」とするアービングの顔が大好き!!王女と記者の恋物語と、周りの人々の温かさ。もう何回見たか分からないぐらい見てるのに、まだまだ発見があるなぁ。と、いうことで娘の感想でした。ちなみに 私の感想は⇒こちら今日も猛暑になりそうですね。日傘に水筒もって、美術館へおでかけしてきます(^_-)みなさまも良い一日をおすごしください。

  • 09Sep
    • 「ニューシネマパラダイス」何度でも新しい発見が。娘の感想

      娘の趣味は、映画観賞&シネマコラージュ。ページを開くと、当時の感動や名場面・名台詞がよみがえって楽しいそうです。8月が誕生月の娘。とびきり嬉しいバースデープレゼントになったのは、愛の物語。「ニュー・シネマ・パラダイス」今年、十年目の午前十時の映画祭。「ラストイヤーは、もう一度リバイバル上映してほしい」と、公式HPから応募した作品。ふたたび、大きなスクリーンで体感することになり、「この映画を劇場で味わえるなんて、なんて幸運なんだろう」感無量の思いで、劇場へ(^ー^)娘の感想です。 ちなみに私の感想は⇒こちら【娘の感想】「ニューシネマパラダイス」に会いに行った。(画像お借りしました)前の日の夜、愛のテーマが頭の中を駆け回って全然眠れなくて。。あれ?私こんなに楽しみにしてる。そうか~、この映画のこと好きなんだな~。噛みしめながら眠りについた。翌朝、寝ぼけながら電車に乗り、向かった午前十時の映画祭。スカッと晴れた海を背にはためく、柔らかそうな白いカーテン。ゆっくりとカメラが引いて、ポッと現れるネオン「ニュー・シネマ・パラダイス」ああ、ここに帰ってきたんだなと、じんわり胸が熱くなりました。今までトトとアルフレードの物語ばかり追っていたけれど、セリフも名前もない人々の営みの、なんと美しいこと。「ジキル博士とハイド氏」が上映されるシアター。顔を覆う観客たちを面白そうに眺める一人の男。2階席へ視線を移すと、一人の女性と目が合った。二人は恋人になり、結婚し、子どもが出来て、今度は3人で映画を観ている。場面の移り変わりとともに進んでいく名もない二人の物語。その隣にはいつも映画がいる。「ヴィッジュの消防士たち」を投影する場面では、‘アブラカダブラ’と唱えながら、小さな小窓をゆっくりと開いていく。映写室を動いていく映画、その小さな画面の中でコメディアンが動いている。ああ、映画って奇跡なんだ。広場に映し出されるまでの、あのゆったりとした時間は、息を呑む美しさ。このまま永遠に続くような気がした。映画の中で生まれる愛、それを観る人の心に灯った愛。破れた愛もある、生まれた子どももいる。全ては映画とともに。キスシーンを繋いだフィルムには、傷がたくさん入ったものも、白く飛んでぼやけるものもあった。しかし、そこに映る愛は、トトの乾いた心に水を与え、トトの瞳は再び輝き始める。

  • 07Sep
    • 「喝采」 夫を取り戻したい。 グレースケリーの熱演

      「子どもが亡くなった後、妻はアルコール依存になり、自殺未遂、放火まで起こした。彼女は弱い人なんだ。僕がいないとやっていけない。」夫は妻について語った。しかし、それは全部自分のことだった。「喝采」ジョージ・シートン監督 1954年104分グレース・ケリー、ビング・クロスビー、ウィリアム・ホールデン(画像お借りしました)昔は、ビング・クロスビーの甘い低音の歌声目当てで、今は、グレース・ケリー演じる奥さんの姿に胸をうたれます。グレースケリーの最も美しい演技を味わう1本。妻として献身的に支える顔、気丈夫な強い顔、弱気になる顔、激しい顔、落ちついた大人の顔、途方にくれた顔。。長い間、ずっと飛び続けていた鳥が、羽をやすめる枝をみつけたような顔をします。いつも夫に頼られてきたけれど、もう、これ以上は飛べそうにない。そんなとき、頼れる場所ができた。私をひとりの女性として、みてくれる人がいるなんて。それだけで、勇気が出てくる。自分で自分を抱きしめるグレースケリーの演技が深くて素晴らしいんですよねぇ。女心がね、繊細で。【感想】僕との10年、君にとって強制収容所にいるのと同じだったろう。人に頼まれると嫌と言えないタイプのフランク。誰からも「親切で優しい人」と思われたくて、誰にも文句がいえない。スターとして人気絶頂になればなるほど、「舞台を成功させ、皆の期待に応えなくちゃ」というプレッシャーが肩にのしかかる。落ち目になる恐怖、失敗しないかという恐怖、でも、そんなことはおくびにも出さず、明るくて余裕のある紳士を演じてきた。そんな彼の代わりに、本音を代弁するのが妻のジョージー。「悪者役はいつも私」げっそりとやつれ、疲れた顔をして、夫に寄り添う。彼が隠した酒瓶をさがす日々。フランクの嘘を鵜呑みにした演出家は、ジョージーを誤解してしまう。「女は最初はジュリエット。でも、最後はマクベス夫人になる」フランクを支配する悪妻だと思い込み、彼女を追い払えば、フランクの自信が取り戻せるに違いないと考える。しかし・・・夫の足がバーに向かい、酒瓶に手をのばすのは、責任という言葉を耳にしたとき。そして、思い出のメロディを耳にしたとき。その歌は、彼の人生で一番幸せで輝いていた瞬間と、残酷な悲劇の瞬間を思い出させるトラウマの曲。なんといっても、パーティの名場面ですね。「夫のそばにいるか、演出家の彼についていくか」自分の心に問いかける妻ジョージー。そのとき突然、耳に入ってきたメロディ。サッと、彼女の顔に緊張がはしる。隣の部屋から流れてきた調べは、あの曲。あわてて駆け寄り、扉をあける。ピアノを弾く男性にむかって、制止しようとする。(だめよ、その曲は・・・ひくのをやめて)声には出さないけれど、彼女の表情が叫んでいます。フランクはだいじょうぶ?また、辛い過去に引き戻されてしまうんじゃないかと、みているこちらまで、ハラハラ。。夫の姿を目で探す。彼がピアノに近づき、そばにたたずむのが見える。心配そうに黙ったまま見つめる妻。彼の心を読もうと、じっと見る。そんなこととは知らず、演奏者は楽しげに自慢の腕を披露している。美しい調べ。そっと瞳を閉じる夫。彼の顔から、苦悩の色がすーっと消えていく。もう、大丈夫と、微笑む。妻の瞳にキラキラ涙が浮かんで、心底ほっとした顔になりますねぇ。私の夫がかえってきた。ずっと取り戻したいと思っていた彼が、いまここにいる。恐怖を克服し、自分自身を許した彼に「おかえり」と言いたい。2人を眺めていた演出家が視線をそらす。ありがとう、さようなら・・・感謝をこめたキスをして彼女は夫を追いかけ、駆け出していく。グレース・ケリーが、アカデミー主演女優賞を獲得した名作です。

  • 05Sep
    • 「欲望」 獲物をしとめるようにシャッターを切る男

      男の指が器用にコインを転がす。硬貨の表と裏が入れ替わるように、彼は表と裏の顔を使い分ける。表向きは、女性の美をとらえ貧困にあえぐ人々を撮影する写真家。裏では、高級車を乗り回し、人をいたぶるためにシャッターを切る男。「欲望」ミケランジェロ・アントニオーニ監督1966年111分デビッド・ヘミングス、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、サラ・マイルズ(画像お借りしました)主人公の顔、見覚えあるなぁ・・・と思ったら先日見た「サスペリア2 紅の深淵」の主役デビッド・ヘミングス。今作では写真家を演じています。邦題が「欲望」なので、ドロドロした愛憎劇なのかなぁ?と勘違い(汗)目を皿のようにして探してみても、「愛」はおろか「憎」すらもみつかりません(゜o゜)それなのに、不思議な面白さがありますね(*^ー^*)原題は「BLOW UP」写真を引き伸ばす。ささいなことを膨らませて言う。爆発する。主人公が「多分、そうだろう。そうであってほしい」そう念じながら目をこらせているうちに、薄っすらとしていたモノが、はっきり見えてくる。見えたような気がする・・・というお話。【あらすじ】女性モデルに飽きた写真家は、公園でハトを追い回し撮影する。ふと、逢引き中のカップルが目に留まる。いいカモがみつかった。瞳を輝かせながらシャッターを切りまくる。現像してみると、そこに映っていたのは死体だった。【ネタバレ感想】すごいものを撮った!男女の逢引きを盗み撮り。獲物をとるハンターのように、木から木へ身をひそめながらシャッターを切る。「フィルムを渡して!」隠し撮りに気づいた女がカメラマンの腕をつかみ、かみつく。カメラマンは、いたぶるように女をあしらう。「俺に撮られるなんて幸運だぜ。誰もが俺に撮られたがるんだから。」おちょくり、からかいながら、じらす。フィルムを握っている間は、相手より上にいられる。有利な立場をじっくり味わい、相手が媚びたり、ひれふす姿を眺める。さんざん、バカにした挙句、ほっぽりだすことが、快感なのだ。しかし、彼には肝心なことがみえていない。カメラやフィルムがなければ、誰も身体を投げ出したり、言いなりにならないってことを。現像した写真を引き伸ばし虫眼鏡でのぞいてみると垣根のところに何かが映りこんでいる。死体みたいに見える。いや、きっと死体だ。誰がなんの目的で殺人を起こしたのか、そんな背景には興味がない。現場にいた女の名前も別に知りたくない。警察とかどうでもいい。それより、殺人を撮ったということに興奮する。しかし・・・物語の前半のポップでアートな撮影風景も強烈ですが、後半のパントマイム的な場面が秀逸です。チャップリンのような若者集団がテニスコートで見えない球を打ちあう。フェンス越しに、静かに観戦するギャラリーたち。ボールのゆくえを目で追う人々。カメラマンもいつしか目で追っていた。「フェンスから出た球を拾ってきて!」実体のないボールが芝生を転がっていく。カメラが追っていく。写真家は拾い上げ、大きく腕を振りかぶってコートへ投げ返す。試合が再開したのを見届け、ふっと目が笑う。見えないものを、さもあるかのようにふるまうだなんて。いや、まてよ。俺が撮った写真も・・・現実なのかどうか。「まぁ、そんなものだよね」うなだれる彼もまた、テニスボールのように消えていく。

  • 03Sep
    • 「ディリリとパリの時間旅行」 ハグの意味って?娘の感想

      「ハグってなんのこと?」少女ディリリは、抱擁という言葉、そして愛の意味を知らなかった。下水道へ飛び込み、汚物まみれになった彼女。白鳥のボートへ引っ張り上げ、最初に抱きしめてくれたのは・・・。「ディリリとパリの時間旅行」ミッシェル・オスロ監督 2018年 94分(画像お借りしました)先日みた映画「ロケットマン」も、この「ディリリ」もハグという言葉がでてきた。「ファンタジーの楽しい作品を予想していたら、思いがけず深みのあるテーマで嬉しかった♪♪ディズニーでもジブリでも描けない、卑しくて醜い顔が描かれてパリの美しい風景とのコントラストが強烈だったよ。」と、驚嘆した娘。ベル・エポックのパリを舞台に、芸術家、音楽家、著名人たちがたくさん登場する芸術の秋にふさわしいフランス映画。黒人差別、女性蔑視といった社会問題を扱いつつ主人公に寄り添う愛のかたちが描かれた大人のアニメーション作品です。【娘の感想】映画「ショコラ」と同じく博覧会に展示されていたディリリ。「私はずっと人に見られていたのよ。今度は私がパリを見る番!」彼女は、映画「グリーンブック」のドクターシャーリーと全く同じ言葉を口にする。故郷では身綺麗&礼儀正しさが拒否され、この街では白人と黒人を区別しようとする。だから、どちらも自分の居場所ではないのだと。流暢にフランス語を話す少女ディリリは、抱擁(ハグ)という名の愛を知らなかった。今作には、たくさんの画家がでてくる。街のあちこちに貼られているミュシャのポスター。ポスターからそっくりそのまま動き出したサラベルナール。ルソーやピカソが集まるアトリエには北斎の「神奈川沖浪裏」がチラリと顔を覗かせる。モネとルノワールは並んで「睡蓮、柳の反影」「田舎のダンス」を制作中。 赤い風車が目印・ムーランルージュでは踊り子たちがフレンチカンカン。 憎まれ口ばかり叩くドガなど。歌手や作曲家もいれば、学者や発明家も。その中でも、一番長く登場するのがロートレック。遺伝により体が不自由だった彼は、父親から疎まれていた。貴族ではなく、ムーランルージュで過ごすことを選んだロートレックと、遠い南国からたった一人パリにやってきたディリリ。生まれた場所から離れて暮らすディリリとロートレック。孤独な二人に寄り添うのは、美しさと醜さが混在する芸術の都・パリだった。彼女は、著名人を訪ねながら、少女誘拐事件の謎に迫っていく。自分たちの帝国を築き上げようとする地下集団。手下には牛のような鼻輪を付け、トップは司祭のような格好で君臨。「君が今腰かけているのは、女というものだ。我々は四つ足と呼んでいるがね。」ぎょっとして、イスをみる男。黒い布の隙間から、少女の瞳がうらめしげにのぞく。イスだと思って座っていたものは、女だった。この場面、これはもう、目を逸らすことが出来ないほど強烈なインパクトでした。四つん這いを強いられる少女たちの運命は?ディリリは抱擁の意味を知るのか?エッフェル塔のてっぺんから、電飾に彩られた飛行船から望むパリは、どこまでも続いている。美しい宝石のようなアニメーション映画です。

  • 02Sep
    • 「ロケットマン」 華やかな鎧を脱ぐ。 娘の感想

      過去の痛みと向き合うって、本当に難しいし時間がかかることなんだ。だけど、セラピーで話すうち、ツノをもぎ取り、羽が落ち、スパンコールは取れてゆく。そうやって、自分を守る鎧のようなオレンジの衣装を少しずつ脱いでいく。「ロケットマン」デクスターフレッチャー監督2019年タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード(画像お借りしました)映画の日と日曜日が重なった9月1日。社交不安障害&うつ病の娘にとって、チケット売り場の混雑に挑戦するにはもってこいの日(^ー^)本編がはじまるとすぐ、驚きの展開が!引き込まれたそうです。「潔さが好きだから、この作品も好き。隠さない強さがある。」「主役を演じたタロン・エガートンの歌声、とても素敵で映画「SING」と同じ歌を、別の歌いかたで歌う技量に、ほれぼれしちゃった!」「ロケットマンの場面がすごく良かった。歌詞もね。宇宙は孤独の代名詞だなぁって、つくづく思ったよ。」「いろんなミュージカル映画があるけど、美しいファンタジーが、残酷で生々しい現実をより際立たせる演出だった。彼が傷つくたびに、私も傷ついた。。」「求める愛と、現実の愛に距離がある人々の悲しみ。それが、わかるから・・・ぐっときた。」興奮して帰宅した娘でした。【娘の感想】私は同じ病の人と話したことがない。けれど、「ドントウォーリー」や「ガラスの城の約束」や「ロケットマン」みたいな映画と苦しみを分かち合うことができる。それは本当に大きな励みになるんだよ。また一つ大切な映画が増えて、ありがとうの気持ちでいっぱいです。独りぼっちの僕を抱きしめてくれたのは、大人になった僕だった。「おまえなんていなければよかった。」僕を疎む両親は、僕以外の人たちに愛を注いだ。 僕が有名になってからもそれは変わらず、彼らと分かり合う日はついに来なかった。パーティーの招待客だって僕を心から愛しているわけじゃない。どれだけ強い酒を煽っても、世界中のあらゆるドラッグを試してみても、この心は満たされない。大量の薬を飲んだ、視界はぼやけた。さぁ、今からショーを始めよう。僕の自殺ショーを。プールに飛び込んだ僕は、息も出来ない水の中で孤独な‘ロケットマン’になる。愛を求める彼を利用する人がいる。突き放す人がいる。手を差し伸べようとする人もいた。七色の衣装に寂しさを隠し、酒にドラッグに買い物に依存し、過食になった。それでも愛を渇望し続けた彼は、自ら病院の門を叩き、集団療法に参加する。自信を取り戻しながら歌う‘I’m still standing’僕はまだ立っている、この足で。ラストシーンのあまりの力強さに涙が溢れて止まらなかった。音楽が彼を支え続けたように、わたしもこの映画からたくさんの希望をもらった。明日も生きてみようと思えた。

  • 31Aug
    • 「世界で一番ゴッホを描いた男」 中国のゴッホが本物に会いにいく。

      結婚も子育てもゴッホの絵を描きながら生きてきた。ひまわりの絵の下で赤ん坊をあやしながら、眠い目をこすりながら筆を走らせてきた。中国のゴッホと言われる男が本物の絵に会いにいくドキュメンタリー。「世界で一番ゴッホを描いた男」1996年 ユイ・ハイボー監督 チャオ・シャオヨン(画像お借りしました)今週は「芸術の秋を先取りしよう!」と母娘でおでかけしています。印象派の画家と、彼らに影響を与えた浮世絵展へ。この映画は、娘がTSUTAYAで借りたドキュメンタリーです。薦められて私も観たのですが、ゴッホへの敬愛が素晴らしくて感動しました。「一度でいいから本物の絵を見たい」という夢を叶え、オランダの地を踏んだことで、人生の転機をむかえる男の姿が、しみじみといいんです。「これから先、どうやって描いていこう?」途方にくれる彼のうつろな眼差しが、「ゴッホのように評価を求めず、心のままに描いていこう」希望の瞳に変わっていく。【感想】ゴッホが追い求めたのは、金じゃない。芸術の高みだ。ゴッホ展が開催されると、私たちは沢山の本物に触れるチャンスがある。「絵はいいけど、彼は狂人だよね」と、見下す人々。その一方で画家の貧困、病気、苦悩を含めて尊敬し、憧れ続ける人々がいる。20年間、ひたすらゴッホの複製画に取り組んできた男。彼は一度も本物をみたことがない。画集や写真では伝わらない、色、空気。「きっと何か気づきが得られるはずだ。」油絵村で暮らす人々を代表して、オランダへ飛ぶ。「千里どころか万里の彼方からあいにきたんだよ」と、ゴッホに語りかける男。自分の描いた複製画の前で、たたずむ男。彼が見たものとは・・・450元で売った絵が、4000元で売られている現実。お土産物屋さんで、キャラクターTシャツの横にぶらさがる自分の絵。腕組みをし、たばこをふかす彼がつぶやく。「くたくたに疲れたよ」描いても描いても貧しい。自分とゴッホが重なる。美術館で本物の自画像と対面する。じっと見つめ、ポツリと一言。「色がちがうな。」原画はやはり全然違う。比べ物にならない、、ゴッホは芸術家だ。はたして俺は芸術家だろうか・・・いや、職人だ。怒ったような表情、やるせない想い。ゴッホが治療をうけた病院で、柵越しに外を眺める。夜のカフェテラスで、自分も描いてみる。ゴッホの墓参り。中国式のおじぎをして、中国の煙草に火をつけそなえる。そして・・・自分の「これから」を見つける。ゴッホの死後も、ゴッホと共に生き続ける人々の熱い思いがこもった1本です。

  • 29Aug
    • 「愛と喝采の日々」 人生のターニングポイント

      バレエより結婚を選んだ母ディーディー。結婚よりバレエを選んだ名づけ親エマ。娘は、自分の道を貫くエマに心酔していく。母は焦燥と不安がつのる。「私からバレエの座を奪ったくせに、こんどは娘まで盗る気?」「愛と喝采の日々」ハーバート・ロス監督1977年シャーリー・マクレーン、アン・バンクロフト(画像お借りしました)「愛と○○」という邦題が流行した時代。今作の原題は ターニングポイント=人生の分岐点親世代、子世代、それぞれの分岐点を描くヒューマンドラマです。なんといっても、バレエ芸術が見所。人生の歓びと迷いにオーバーラップするという演出が素晴らしい!!照明に浮かび上がるシルエット、高い跳躍、リフト、ダンスを上から下から、後ろから正面から、あらゆる角度で味わえるんです。まるで私たちも一緒に舞台で踊っているかのような臨場感をお楽しみくださいね。【あらすじ】忙しい子育てが一段落した主婦ディーディー。そんな時、久しぶりに親友と再会する。プリマの道を究め、輝いている親友の姿。そして、ダンスに打ち込む娘の姿。かつての自分の姿と重なる。「もしもあの時、結婚よりバレエを選んでいたら・・・」自分の人生のターニングポイントをふりかえり、揺れはじめる。 【ネタバレ感想】自分の選んだ道だから、後悔したくない。「だけど、あのとき・・・」娘が舞台で照明を浴び、スターを目指す姿に自分が重なる。かつて好きな彼をつかまえたくて、妊娠、結婚したディーディー。彼もバレエをやめ、自分もやめた。彼はそれでよかったの?私はそれでよかったの?元はと言えば、親友にそそのかされて結婚を焦ってしまったんだ。彼女は主役がほしかったんだから。ライバルを減らすために、仕向けたに違いない。彼女の口から当時の気持ちを聞きたい。今さらだけど、でも・・・一方、親友はプリマドンナとしての寿命が迫っていた。年老いると、永遠に主役ではいられない。そんなことは百も承知だけど。。”これからは、若い娘たちの指導者として頑張って”引退を催促される日がくるなんて。この私が現役を退くなんて、まだ早いわ。それなのに・・・そんな2人の女が、バーカウンターで火花を散らす。ディーディーは口火をきった。「2人の王女の童話を覚えてる?」1人の王女が口を開くと、美しい宝石がでてくる。もう1人の口からは、ヒキガエルやヤモリがでてくるの。ディーディーの口からずっと我慢してきたヒキガエルがでてくる、でてくる。エマの口からも、次から次へとでてくる。互いの嫉妬で心と身体をぶつけあう。積もり積もった本音が炸裂!つかみあい、とっくみあい、お尻をたたきあって、ぐるぐる回る。バッグもイヤリングもふっとんだ。次第に笑いがこみあげ思わず吹き出す2人。バッグを拾い手渡すディーディー。「イヤリングがどっかいっちゃったけど、もういいわ」と、満足そうなエマ。「あの頃の私は、必死だった。 あなたに役をとられると思ったのね。バレエを続けるためには、どんなことでも言ったわ。」ついに20年間ずっと聞きたかった言葉がエマの口からでた。でも、もう1つ聞きたい言葉がある。それは、夫の言葉。「僕の選んだ道に、満足しているよ。」抱擁する両親を見つめる娘。彼女も人生の分岐点(ターニングポイント)に立ち、今まさに、自分の道を選ぼうとしていた。たとえ、こうなることがわかっていたとしてもやっぱり、この道を選んでいたわ。友情、生き方、大人のヒューマンドラマです。

  • 27Aug
    • 映画に登場する悪女・聖女の魅力

      子どもの頃、母に薦められたヒッチコック劇場や、松本清張作品。「悪が勝つところが面白くていいよ~!善が万能じゃないところに痺れるわぁ」と、嬉々として話していました。「この子の七つのお祝いに」 (画像お借りしました)そう言いつつも、毎週「大草原の小さな家」の放映時間になると、家族4人そろって見ながら涙していました(*^_^*)聖母のように慈愛に満ちた女性や、困難に耐える女性。夫を支え子どもを立派に育て上げる姿勢は、心が洗われるような安らぎが得られます(^ー^)「喝采」 グレース・ケリー 逆に女性の愛憎・したたかさ・残酷さを描いた作品は計り知れない面白さがあります。心の奥に秘めた感情のなんとドラマティックなことか。「イヴの総て」 アン・バクスター聞き分けのよい、お行儀のよい女性を超える、ヒロインたちの生きざまに、魅力を感じます。悪女と呼ばれる、男性に都合の悪い女性たち。宿命の女(ファムファタール)は、人を翻弄させ堕落させるほどの魅力をもつ。「白いドレスの女」 キャスリン・ターナー道徳的な非難や中傷を、口元に微笑みをたたえながら、かわしていく。「氷の微笑」 シャロン・ストーン「郵便配達は二度ベルを鳴らす」 ラナ・ターナー「鍵」 京マチ子「砂の女」岸田今日子彼女たちの魔力(魅力)から逃れるには命がけです。物語についても同じことを感じます。幸せな結末は、多幸感に包まれます。ハッピーエンドって、ほのぼの感に浸って「あ~良かったなぁ。」と心温まります。観た後に、周囲の人間に優しくなれるような作品との出会いは格別!「五つの銅貨」悲しい結末や結末がはっきりしない物語、いわゆるサッドエンド、バッドエンドの作品は、映画のスクリーンにおさまらない世界観が後をひき、クセになります。崖から放り出すように、砂漠に置いてきぼりにするような「話の続きは、貴方の想像力でどうぞ」と、語りかけてくれるので自分の頭の中の映写機で自由に写しだすことができる。だから、FINや完が表示され、エンディングが流れてもまだ楽しみが続くんですよね。ミステリー映画や小説に登場する魅力あふれる女性たち。私が好きなのは、横溝正史、松本清張、森村誠一、笹沢佐保が原作モノ。哀しい過去、残酷な運命に翻弄されながら、生き抜こうともがくヒロインたち。「霧の旗」 倍賞千恵子野村監督の「配達されない三通の手紙」のヒロインも素敵でした。30年ぶりにみた「事件」も忘れられない物語です。「黒い十人の女」も素晴らしかったなぁ。「人間の証明」麦わら帽子を失う母の姿。岡田茉莉子さんが哀しかった。「氷点」 人間の心の残酷な面を描いた物語。「病院坂の首くくりの家」 桜田淳子 二役の神秘的な美しさ 「サンセット大通り」 グロリア・スワンソン 「女相続人」 オリビア・デ・ハヴィランド常識や良識の枠をはみだす、女性の生々しさが大好きなんですよねぇ(//^ー^//)ちょっとずつ 冬にかけて、味わっていけるといいな。

  • 24Aug
    • 「ひまわり」 2人の妻と戦争

      ロシア戦線から戻らない行方不明の夫。妻は義理母の肩を抱いて宣言する。「ソビエト中を歩いてでも探しだしてあげる」ようやくたどりついた一軒の家。シーツをとりこむ若い女性と目があった。夫の写真を渡す、写真を返す。2人の妻は、じっと見つめ合う。「ひまわり」ヴィットリオ・デ・シーカ監督1970年107分ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベリュワ(画像お借りしました)ヘンリー・マンシーニの哀しく美しいメロディー。そして、ひまわり畑。カメラが、風に揺れる1本の花にクローズアップします。今作は1人の兵士と2人の妻の愛の物語。戦争の残酷さを、ヒマワリ畑と墓で描いた 名作映画「ひまわり」墓地がまるで花畑のように広がります。たくさんの奪われた人生が画面いっぱいに映し出されるんです。十字の墓標が延々と続く丘を妻は歩く。一つ、一つ、墓をのぞきこみ、夫の名前をさがす。 「ここには、あの人はいない。やっぱり、生きてるんだ。」【感想】夫を探してやってきたロシアの地で、ジョバンナはイタリア人の男と遭遇する。「今の僕はロシア人だ。物事には成り行きということがある。」この男と同じように、ジョバンナの夫もロシアの男になっていた。私が大好きな場面は、妻と妻が出逢う場面。 ジョバンナは、ようやく一軒の家にたどりつく。期待を胸に一歩一歩踏みしめて近づいていく。庭で洗濯物をとりこんでいる若い女がいる。女も門の前に立つイタリア女に気づく。不安気に見つめ返し、落とした洗濯物を拾い、近づいてくる。お互い、なにも言わず、差し出された夫の写真を見る。(ついにやってきた。彼の家族が・・・)無言で写真を返す。小さな娘がニコニコしながら「こんにちは」と顔をのぞかせる。ジョバンナが驚きの表情に。金髪の青い目の若い女。傍らには、小さな女の子。若妻はイライラを紛らわせるように、子どもに強くあたるんです。「こんなに手を汚して、困った子ね。いつもママが言ってるでしょう?もうすぐパパが工場からもどってくるのに。」言い知れぬ恐怖を押し隠そうとしますねぇ。不安でたまらないんです。ジョバンナは涙がこみあげてきた。「ちょっと疲れたから」作り笑顔で言い訳しながら、顔をぬぐう。女は白いタオルを差しだす。同時に涙をぬぐう2人の妻。言葉を交わさなくても通じあう2人の妻。お互い責めるわけにもいかない。このやりきれなさを、どこにぶつけたらいいか。奥さん同士の姿がいいですねぇ。私はこのシーンがほんとうに、好きですよ。2人のつらい胸の内を、台詞ではなく、画でみせてくれる。そして、仕事から帰ってきた夫は、いつものように列車を降りて若妻を抱き寄せようとする。若妻はそれを制し・・・その様子を見つめていたジョバンナ。悔しい、やりきれない想いが湧いてくる。にらみながら、目に涙がこみあげる。彼は生きていた。待ちに待った再会、それなのに。ジョバンナは列車に飛び乗る。彼の写真が、線路脇におちたことにも気づかずに。写真を拾いあげる夫。裏には、自分の文字でメッセージが。”ジョバンナへ愛をこめて アントニオ”彼の中で時がもどってくる。戦争はおわったけど、まだおわっていない。若妻は知っていた。記憶を取り戻した彼の心がイタリアに飛んでいることを。日に日に、元気がなくなっていく姿・・・見ているのが辛い。「故郷、イタリアへ行こうと思う。」今度は、ロシア人の妻が夫を戦場へ送り出す気持ちに。イタリアへ旅立てば、もう二度と私のもとにもどらないかもしれない。でも・・・かならず帰ってくる。 そう信じよう。にっこり微笑んで「家で待ちます」と告げる。ほんのひとときだけ、イタリアの男にもどる夫。ジョバンナは新婚の頃、彼に贈られたイヤリングをつける。お化粧をした美しい顔が鏡に映る。老けた顔をみられたくなくて、ろうそくの明かりをともす。約束のお土産を覚えていた夫。夫の名をこどもにつけた妻。互いの想いに、胸がいっぱいになる。戦争は2人から、時は奪えても愛を奪うことはできなかった。けれど・・・もうもどれない。列車が遠くなっていくのを見送る女の背中。悲しみの感動を、ヘンリーマンシーニの音楽が包む不朽の名作です。

  • 22Aug
    • 「人生タクシー」 現実すぎるとダメなんだって。

      学校の宿題で、映画を撮影することになった小さな女の子。車の中から窓の外にカメラを向ける。少し離れた車から、花嫁花婿が降りていった。その車に近づく少年。お金を盗っているのだ。「ちょっとあなた!」女の子は少年を呼び止めた。「人生タクシー」ジャファル・パナヒ監督2017年(画像お借りしました)劇場公開されたとき、娘が喜んで観にでかけた1本。彼女のオススメ作品を、TV録画でようやく観賞。監督自ら、タクシー運転手に変身。さまざまな乗客が乗り合わせる。イランの現実を、監督と姪っ子の目線でとらえた喜びと悲しみの詰まった82分の良作。ドキュメンタリー風な1本です。【あらすじ】タクシー運転手は、姪っ子に呼び出される。学校で映画撮影の宿題が出た。映画監督のおじさんにアドバイスしてもらいたい。【感想】「ありのままの現実を映画にすること」監督の姪っ子ハナちゃんは、宿題のため、日常を撮影する。偶然、車上荒らし、強盗をする少年をフィルムにおさめる。こんな現実を撮ったら、学校では上映してもらえない。実際、映画監督のおじさんだって苦労しているのだ。少年を呼びとめるハナちゃん。「お金を返してきて。お父さんに怒られるわよ!」「父さんは、叱らないよ。」「じゃあ、お母さんは?お母さんを悲しませたくないでしょう?」「母さんはいない」「・・・じゃあ、私のために。人のために、自分の欲を押さえてお金を返すなんて、ヒーローよ!返す様子も撮影するから・・・・」「ぼく、ヒーローなんかどうでもいいよ。 それより、お父さんへお金をあげたいんだ」「・・・・」少年は車の近くまでもどる。早く、返して・・・ヤキモキするハナちゃん。しかし。。用事をすませたおじさんが車へもどってくる。「ハナちゃん、なにかあったのかい?何を怒っているの?」「今は、話す気になれないわ」ハナちゃんは憤慨して、むすっとしている。彼女が腹を立てているのは、上映できるような映像がとれなかったこと。少年がお金を返さなかったこと。そして一番、腹が立つのはこの国のこと。普通の人を、善良な人を、犯罪に駆り立てる、そんな現実に仕向けたのは、誰?オレンジジュースを運んでくれた親切な店員だって「犯罪者は死刑にしろ」と強く主張していた彼だって誰も悪人ではない。極限状態まで追い込まれた人が罪を犯すんだ。学校の先生は、ありのままの現実を撮りなさいと言った。赤いバラの向こうにみえる、現実。だけど国に都合の悪い現実はダメなんだ。イランでは、上映可能な映画の条件が決まっている。男女は触れ合わない、善人の男性はネクタイを付けない。名前も決まっている。そして、政治経済に触れない。イランの人々をユーモアと温かさをまじえながら、描いているところがいいですねぇ。いろんなことがあるけれど、人々は折り合いをつけながら、開き直って強く生きている。自由な表現、生活を禁じられたこの国でパナヒ監督は、身の危険を顧みず、真実の姿をとどめ続けていく。

  • 21Aug
    • 「サスペリア2」 不吉な予兆が次々と

      「熱い!火傷するじゃないか」男が厨房のスチームに文句を言う。数分後、バスルームに熱湯がそそがれ、湯気がたちこめる。横たわる顔面大やけどの女性が、湯気でくもった壁にメッセージを残す。不吉な予兆がひとつ、またひとつ。死の伏線を、鮮やかに回収していくホラーの傑作。「サスペリア2 紅い深淵」ダリオ・アルジェント監督1975年 デヴィッド・ヘミングス、ダリア・ニコロディ、クララ・カラマイ(画像お借りしました)鮮烈な場面だけが記憶に残っている作品です。久しぶりに鑑賞して、以前とは違う奥行きを感じました。殺人という舞台がはじまる。衣装・小道具がととのい、メイクをし、子どもの歌を合図にステージへ。深紅の惨劇、第一幕が上がる。忘れたい過去をのぞかれる恐怖!私がミステリーで好きな設定は、隠したい過去を暴かれまいとする犯人側の恐怖。真相にたどりつこうと危険を承知で挑む主人公。先回りして、暴こうとする人間を消していく犯人。日常は普通の人でも、なにかのきっかけで過去のトラウマに操られてしまう。犯行を重ねる姿がなんともドラマティックです。人の秘密を興味本位でのぞくと、痛い目にあいますよ。【ネタバレ感想】重要な何かを見落としている。女性の中の秘めた力を、徹底的に強調する監督の作意。女性の超能力者、女流作家、管理人の娘、女性記者、そして・・・。主人公の男が言います。「女は、かぼそくて体力がない」「女に脳なんてないさ。知性は男のものだ」「女は男より弱い」彼は事件も、事件以外でも重要なことを見落としている、と言いたげなお話になっています。こどもの歌→幽霊伝説→植物→ローマの屋敷→小学校謎の足跡をだどるように、真相へ近づき最後は第一の殺人現場へもどっていく。封印された秘密を少しずつはがしていく。目撃者の男が謎を解きたくて、「幽霊屋敷」と噂される洋館を訪れる。廊下の突き当たりは、行き止まり。心臓の鼓動。不自然に思い近づいてみると、小さな穴が色がみえる。なにかが埋められているらしい。漆喰を爪でカリカリ剥がし、ガラスの破片で少しずつ削り取る。なにがでてくるの?まるで、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」みたいで、クラシックな味わいが最高(*^_^*)だんだん、見えてきた!子どもが描いたような絵だ。胸を刺された大人、子供がナイフを手にしている。しかし、みえている絵は一部。彼が去った後、残りの壁がハラリとくずれる。真実を見落としているのだ。ビー玉、カラフルな紐、赤ちゃん人形、からくり人形愛らしいはずの玩具に、背筋が凍ります。首吊り人形は、一体だれの運命を指し示すのか。まるで悪霊の仕業のような不運すぎるクライマックス!映画「オーメン」を彷彿とさせる展開に、おぉぉ~~っと鳥肌。死と死の畳み掛けに、圧倒されつつ走り抜けたラスト10分。深紅ではじまり深紅でおわる極上ミステリーです。

  • 19Aug
    • 「サスペリア」恐怖を超える美 ひとりで見るのも良いですよ。

      「頭文字にSのつく人は蛇(スネイク)の化身よ。」名門バレエ学校に入学したスージーは、上級生にからかわれる。ルームシェアを希望する彼女だったが、授業中にいきなり意識を失ってしまう。やむなく学校で生活をすることになり、特別メニューとして流動食と赤ワインが運ばれる。「サスペリア」ダリオ・アルジェント監督1977年ジェシカ・ハーパー、アリダ・ヴァリ(画像お借りしました)ようやく観れたジャーロに感激しています(*^。^*)(^◇^)4Kレストア版って、めちゃくちゃ綺麗!はぁ、、こんなに美しかったなんて❤動く美術展をみているような気分(//^ー^//)私も不思議の国のアリス気分で、この謎めいた学園を彷徨ってみました。ヒロインのライターが面白い。不思議の国のアリスの白うさぎみたいに時計がついているんです。まるで、時をこえて魔の世界が広がるよう。アールヌーヴォー、アールデコ様式美、東洋、イタリア、ギリシャ風。殺しそのものもアート!薔薇のステンドグラス、ワイヤー沼、盲目のピアニストの描写。 昔はただただ怖くて、自分の心臓の鼓動が聞こるほど恐ろしかったです。けしてひとりでは見ないでください。というキャッチコピーに大きくうなずいてました。今、再見すると、こう言いたくなります。むしろひとりでも楽しんでください。怖さを上回る、圧倒的な美!ため息が出るほどの色彩、光と影のコントラスト。恐怖にこわばる肌、考え込む瞳の動き、バレエ学校の造形美・・・嵐や水が血が噴き出るような描写。鮮赤の廊下、ベルベットのような青い広間、黒と金色の蒔絵のような隠し通路。幾何学模様の寄宿寮、薔薇ステンドグラス、副校長室の東洋美、青く光るプールの底の模様。蛇のウロコのような寮の壁。まるで建物のファッションショーですやん!【感想】いつの時代にも魔女はいる。黒い女王のことを詳しく知りたいスージーに、医師や教授が説明する場面です。精神科医はいう。「不運の原因は、割れた鏡ではなく、壊れた心です」教授はいう。「オカルトを信じる人が増えたのは、心が病んだ人が増えたためでしょう」いつの世も、邪悪な存在にとりまきが集う。自分たちに都合の悪い人間を排除する。悪い方法で、人を苦悩、病、死へ陥れていく組織が存在する。1匹の蛇の頭に、頭を持たないコブラたちが集う。頭がいなくなれば、手下は無害になる。これは現代でも同じこと。政治でも、マスコミでも、学校、SNSでも誰かが先導して、軸のない人々を洗脳し、誰かを攻撃し、人生を狂わせていく。邪悪な存在は赤で。わかりやすく表現されていてゾクゾクします。出された食べ物を捨て、赤ワインを洗面に流す。白い陶器に真っ赤な血が流れるような鮮烈な画面。赤のパワーがすごいですねぇ。「赤い影」 「マーニー」 「ヴィレッジ」など赤が主役の映画って、たくさんありますがアルジェント監督の深紅、濃赤、鮮赤に圧倒されます!バレエ学校の壁は、血を吸ったような朱色。雨が降り、血がしたたるように流れている。誰もが脱出しようとしたこの学園。しかし、スージーは煙草で心を落ち着かせ、女学生が叫んでいた言葉を、サラとの会話を思い出す。メモを片手に秘密へと足を踏み入れていく。恐怖に震える指で、床にちらばった孔雀の羽を1本拾い上げる。永遠の命と若さを象徴するクジャク。クリスタルでできた羽は、キラリと輝く。まがまがしい者が、生き地獄から迫ってくる!操る者、そしてスージーの運命は?嵐ではじまり、嵐でおわる物語。美大生や建築専攻の方には特にオススメの、ダリオ・アルジェントの世界でした。

  • 17Aug
    • 「アルファヴィル」 辞書から言葉が消えていく都市

      銀河系のα都市では、「なぜ」という疑問をもってはいけない。泣いたり笑ったりすれば、処分される。本日の死刑囚の罪状は、妻を亡くし泣いた罪。プールサイドに集まる見物人。これから処刑ショーがはじまる。「アルファヴィル」ジャン・リュック・ゴダール監督1965年アンナ・カリーナ、エディ・コンスタンティーヌ、ピーター・チェイニー(画像お借りしました)宇宙空間も宇宙船もでてこないのに、地球と違う不思議な街。モノクロで幾何学模様、縦と横、四角が画面を彩るゴダール監督のSF。不思議な世界観に浸ってみたくて、久しぶりに「ミスターロンリー」を観ようか「アルファヴィル」にしようか、迷ってこちらに。トリュフォー監督の「華氏451」と比較される今作。娘は「華氏451の方が好きだわ」といい、私は「アルファヴィルの方が好きよ」とそれぞれ楽しんでいます。華氏451は本を救う物語⇒ こちらアルファヴィルは愛を救う物語です。【あらすじ】探偵は新聞記者に扮してα都市(アルファヴィル)へ潜入する。教授、捜査官を救出するためだ。教授の娘ナターシャが、彼の監視係として見張ることになるが・・・【ネタバレ感想】この都市では、辞書のことを聖書と呼ぶ。ここでは、毎日言葉が消えていく。「なぜ」という疑問を持ってはいけない。くどくってどういう意味?恋するってどういうこと?愛って何?監視係ナターシャは、外部の国へ行ったことがないという。探偵は、禁止される言葉を次々と口にし、彼女を混乱させていく。わずかに残っている記憶の断片を引き出そうと、試みる。アルファ都市の挨拶が、奇妙なんですよ(^^)へんてこりんで画一的な響き 「元気です、ありがとう、どうぞ。」さらに、官庁で行われるショーの場面が強烈なインパクトです!滑稽でユニークすぎる怖さなんです。「急がないと!もうショーがはじまっているわ」プールサイドに集まる見物人。各レーンを背泳ぎする若い女性たち。シンクロナイズドスイミングでもはじまるのかな?と、思っていると・・・飛び込み板の上の男性が射殺される。プールへ落ちる男性。女性たちが水中へひきずり、息の根をとめる。観客から拍手が沸き起こる。水面に美脚を現し、シンクロをする女性。処刑ショーなのだ。「なぜ殺されたのか?」 「妻の葬式で泣いた罪」泣くことは禁じられている。この発想の怖さと面白さ、どこかとぼけた味わい。クセになりそうな演出です。刑をうける人が正常で、刑を施行する側が異常という皮肉な世界。探偵は、消息を絶った捜査官を探し出すが・・・「もう遅い。私は、なぜという言葉の意味を忘れた」ミイラとりがミイラになったのだ。この都市に適応できない人間は、自殺する。自殺できない人は、処刑される。利用できそうな人間は、精神を改造する。早くここから脱出しなければ!生きることを断念させる力から、逃げ出さねば。アルファ60という巨大コンピューターが出す電波が、人間から、意識や思考、意思を奪うのだ。昔は芸術家、小説家、音楽家がたくさんいたが、今はいない。コンピューターが完全に管理する社会。危険分子と見なされれば、尋問され排除される。捜査官は最後の力を振り絞って、遺言を残す。「α60を破壊して、愛と感情を救え」探偵は、コンピュターと問答対決にのぞむ。そして、ナターシャの感情を復活させるべく、言葉で導いていく。「好きって何のこと?」彼女が口にすると、警察が動きだす。「愛って何かしら?」パトカーから警官が下りてくる。探偵とナターシャの心の距離が縮まっていく。学校で習わなかった言葉を、口に出せ。にっこりほほ笑むアンナ・カリーナの顔。人間性を回復していくかすかな変化とシュールな映像表現が面白い1本です。ベルリン国際映画祭 金獅子賞。