小説 ビートルズがやって来た!

小説 ビートルズがやって来た!

1966年6月の東京を舞台にした青春群像劇です。

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4人はもう若者とはいえないのかもしれない。


いつのまにか20代が終わっていた。


恐れるものなど何もなく、ひたすらに前に走り続けた青春の日々。


まぶしすぎる時が過ぎ去ろうとしているのに、4人は依然として生き抜いている。


それぞれの人生を、もがきながら、懸命に。


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それはちょっとした神様のいたずらであったのかもしれない。そんな時間、ふだんはテレビなど見る暇もないほど忙しい4人だったが、その日はたまたまブラウン管を眺めていた。それぞれが別の場所で。


画面ではフジテレビ系奥様向けワイドショー「3時のあなた」がエンディングを迎えようとしていた。


いつもなら穏やかな表情で視聴者に別れを告げる司会、森光子が、しかし、その日はなぜかこわばった表情をしてカメラを見つめていた。


「変だな」


「おや」


「あれ?」


「どうしたのかしら」


4人は画面を支配する不可思議な空気にそう思う。そして森光子はそんな4人にだけ報告するかのように、こう告げた。


「ただいまショッキングなニュースが飛び込んできました。元ビートルズのジョンレノンさんが先ほど、ニューヨークで射殺されたそうです。繰り返します。元ビートルズのジョンレノンさんが、ニューヨークで射殺されました・・・」


ダブル・ファンタジー(紙ジャケット仕様)/ジョン・レノン