観たり聴いたり。
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無伴奏ソナタ。

もしも
音楽の天才が、
音楽を
禁じられたら?

キャラメルボックス アーリータイムスvol.1
「無伴奏ソナタ」
原作 オースン・スコット・カード
脚本・演出 成井豊
(共同演出 有坂美紀)

ストーリー
すべての人間の職業が、幼児期のテストで決定される時代。
クリスチャン・ハロルドセンは生後6ヶ月のテストでリズムと音感に優れた才能を示し、2歳のテストで音楽の神童と認定された。
そして、両親と別れて、森の中の一軒家に移り住む。
そこで自分の音楽を作り、演奏すること。
それが彼に与えられた仕事だった。
彼は「メイカー」となったのだ。
メイカーは既成の音楽を聴くことも、他人と接することも禁じられていた。
ところが、彼が30歳になったある日、見知らぬ男が森の中から現れた。
男はクリスチャンにレコーダーを差し出して、言った。
「これを聴いてくれ。バッハの音楽だ…」
(チラシより)

キャスト
クリスチャン…………………多田直人
カレン/デニス…………………大森美紀子
ジャニス/ブライアン…………岡田さつき
オリビア/カール………………岡内美喜子
ギルバート/ミック/ギレルモ……左東広之
リスナー/ジョー………………小多田直樹
リンダ/マイク…………………原田樹里
ポール/キース…………………畑中智行
リチャード/ウォッチャー……石橋徹郎(文学座)



5/25~5/30まで、新大久保の東京グローブ座で上演していた舞台、「無伴奏ソナタ」を二回観ました。

観終わって、胸がいっぱいで、どうやって言葉にしていいかわからなくて、ツイッターにポロポロ呟き続けました。
心が震えるっていうか、「凄いものを観たぞ」っていう感じで、感情がぐるぐるして。
もう、とにかく、自分の友達や知り合いみんなに観てほしかった。
このお芝居を、肌で感じてほしかった。
でもそれには期間があまりにも短すぎて…


1.音合わせ
2.第一楽章
3.第二楽章
4.第三楽章
5.喝采

この5つの場からなっていて、始まりがとっても印象的で、暗い、静寂の中から、音が生まれ、広がっていく。
すーっと、その世界に誘われていく感じ。

場が進めば進むほど、クリスチャンの人生は過酷で、苦しくて、かなしくて、つらい。
まさかそんな展開が!っていう、胸の痛いことばかり起きる。

クリスチャンは男からレコーダーを渡されて、法律で禁止されてるから聴いちゃいけないのに、不安に負けて、法を破ってしまう。

音楽を奪われる。
生まれてからずっと、それしかないのに。
禁じられても、だからこそ募る。
奪われても奪われても。
奪われれば奪われるほど。
クリスチャンの音楽への想いは強くなっていく。
それしかないんだって、くっきりと浮かび上がっていく。

“1.音合わせ”で両親から引き離され、“2.第一楽章”では音楽のことだけを考えて、音楽を創造するためだけに、純粋にそれにすべてをかけて生きていたクリスチャン。
自分が作った曲が、世間の人々にどのように聴かれているのかなんてどうでもよくて、ただただ作ることに没頭していた。
“3.第二楽章”では音楽を禁じられた後、出会ったバーのピアノを奏でることがすべてだった。
その店に集う人たちのためなんかじゃなくて、音楽を奪われた自分の心の渇きを満たすためだけの演奏だった。
誰も幸せになれなくて、クリスチャンは音を奏でるための指を失ってしまった。
“4.第三楽章”で、工事現場の仲間たちの歌声に、凍りついた心を癒され、仲間たちと一緒に歌う喜びを味わい、みんなで歌うための曲を作った。
誰かのために作って、クリスチャンは幸福そうに見えたし、実際本当に幸せを感じていたと思う。
でも、音楽を禁じられているのに、それを破ってしまった彼は、みんなと歌うための声を奪われてしまった。
“5.喝采”で、最後の罰の刑期を終え、老人になったクリスチャンは自由の身になった。
かつての自分の足跡を遡っていくけれど、そこにはもう、誰もいない。
街角で、懐かしい歌が聴こえてきた。
仲間たちに作った「シュガーの歌」だった。
クリスチャンはこの時、自分の手を離れた後の音楽と初めて出逢った。
聴こえてくる、あの歌は、まるで、神様からの祝福。

クリスチャンは「僕は愛を知らない」って歌ったけど。
このお芝居まるごとが、壮絶すぎるほどの“愛のうた”だと思った。
原作は知らないけど、なんて物語だろうと。
多田くん演じるクリスチャンの、身体の中から絞り出すような演技に、ラスト、喝采での、零れ落ちる涙に、暗転を待たずに拍手をした。
なんて物語なんだ。
胸がいっぱいで、震える。
涙がしばらく止まらなかった。


初日の、「無伴奏ソナタ」という作品が生まれる瞬間を目撃できて、本当に幸運だったと思う。

それからずっとふわふわして、ずっと「無伴奏ソナタ」のことを考えている。
こんなに気持ちを掴まれたままなのも珍しい。
誰かとこのお芝居の話をしたくてたまらなかった。


法律に守られて、用意された「幸せ」って、果たして本当に幸せなんだろうか。
幸せって、なんなの?
クリスチャンみたいに、私にはこれしかないってもの、あるだろうか。
取り上げられても、諦められない、諦めたくないものって、なんだろう。

ずっと考えている。


クリスチャンの多田くん。
本当に凄かった。
こんな演技をする役者さんになったんだなーって、じわじわ震撼した。
光の中から絶望の闇に突き落とされ、とり憑かれたような狂気を感じさせる眼差し、そして、諦めの滲む冷たく寂しい微笑。
仲間と歌う、歌を作った時の喜びが染み渡るような笑顔。
そして、すべてを受け入れ、罰を受け入れたあとの、喝采での表情。
あのクリスチャンには拍手を贈らずにいられない。
本当に素晴らしかった!

出演されている役者さん、それぞれ皆さん素晴らしかった。
適材適所というか…
女性が男性を演じるところもあるけど、特にブライアンのももこさんが好き。

それから、急遽出演することになった畑中くん。
稽古一週間でこれだけのことを見せてくれたのは本当に大変なことだと思う。 凄い。
畑中くんがやった役の役割は、やはり新人さんには重くて大きすぎるものだったのかも…
いつもの役作り?と同じような色だったけど、それでもあの短期間で舞台上に立つところまで持っていけたのは、畑中くんの凄いところだと思う。

…ぶっちゃけ、しっかり稽古期間あった某女優さんは、しっかり稽古期間あってもいつもとおんなじ感じで。
何役かやってても、いつもとおんなじ感じで。
やっぱりあんまり好きじゃないなぁと(笑)
ただ、今回はそれ以外素晴らしいことが溢れていたので、それほど気にならなかったんだけど。

客演の石橋さんは、雰囲気が不思議で、素敵な声でした。
ウォッチャーの抑えた中にある哀しみ。
淡々とした語り口の中に、心を震わせるものを感じて切なくなった。


あああ、本当に観に行けて良かった。
出来ることならまだまだ観たい。
お金持ちだったら絶対に神戸まで行っちゃうのに!

5/29は、仕事のあと当日券で観たのだけど、終演後のペリクリーズイベントで、多田くん左東くんと一緒に、お客さんみんなで「シュガーの歌」を歌えて感激した。
歌いたかったのだ、実はずっと。

ぺりーとくりーからCDにサインをいただき、握手してもらった。
左東くん超優しさ溢れてた。
多田くんは、若干シニカルだよね?嫌いじゃないけど(笑)
でも、クリスチャンのすぐあとに、くりーとして振る舞うのって凄いよね?!

多田くんも左東くんも優しい握手でした(*´∀`*)
こころがほわほわ。


「無伴奏ソナタ」、映像化しないかなー。
手作りビデオみたいなのでもいいから。

それから、是非とも早いうちの再演をお願いしたいです。
これは劇場で、生で観るのが相応しい作品だと思うから。


余談ですが、私はえんぶチャートに投票したことないんだけど、次回は投票しようかなって思ってます!
「無伴奏ソナタ」と「多田直人」って書くのだ。
それくらい、本当に、衝撃的な、大好きな作品になりました。

超余談ですが、休団中のダッチさんが、今も現役で役者を続けていたのなら、ウォッチャーとか合うんじゃないかなぁって思ってしまいました。

「容疑者xの献身」初日。

5/12、キャラメルボックスの「容疑者χの献身」初日を観てきました。

初演は観るつもりがなくて(原作ものが増えて、ゲストも多くて、なんだか失望に似た気持ちがしていたのです)、実際に観に行かなかったのですが(^-^;
今回は石神を近江谷太朗さんが演じるということで。
その出演経緯にも非常に心を動かされて、これは是非とも観に行かなければ!と思って、チケットを取ったのでした。


客席の空気、熱、緊張感、全て含めて本っ当に良い初日でした。

石神の強い決意に胸が苦しかった。
もっと号泣したかったけど、見届けなくちゃ、見てなくちゃ駄目だって思って必死に堪えた、けどボロ泣き。
近江谷さんは本当に凄い。

暗転の余韻がたまらない。
あの余韻からのカーテンコール5回は本当に納得っていうかなんというか。
帰っていく人がほぼいなくて、それにも感動しました。
良かった…

いつものキャラメルテイストではないけど、それが逆に良かったです。
ダンスもないし、音楽も歌モノはないし、お笑い部分は少しだけど、いいバランスでした。
こういうお芝居の雰囲気は好きです。

本当に観て良かったなぁ。


劇団側は暗転拍手がほしかったみたいだけど、それが来たら違うと思う。今回は。
それだけが素晴らしさの証ではない。
暗転で、噛み締めて浸りたくなるほどの余韻を味わう。
じっと息をしないような感覚で舞台を見つめていた。
石神を。
石神を見ている湯川を。
その周りの人々を。


でも二日目からは暗転拍手だったりしたりして…(^o^;)
それは有り得るかもね?
舞台は毎日毎回違うしね。
だからまた近々観に行きたいです。
当日券で。


余談ですが、川原さんを見たときには「あ、相棒の人だ!」て思ってしまいました(笑)
相棒見てないのに(←)



「容疑者χの献身」
原作 東野圭吾
脚本 成井豊
演出 成井豊+真柴あずき

CAST
石神哲哉………近江谷太朗
湯川学…………岡田達也
花岡靖子………西牟田恵
草薙俊平………小林正寛
間宮隆一………川原和久
岸谷由紀夫……筒井俊作
花岡美里………実川貴美子
工藤邦明………三浦剛
富樫慎二………石原善暢
米沢小代子……坂口理恵
金子芹香………前田綾

ハムレット。

2/4、お昼に日比谷のシアタークリエで「ハムレット」を観てきました!

人気でもうチケットが残り少ないみたい。
友達が先行で取ってくれたんだけど、2枚申し込んで当選したんだけど、一枚ずつ同列上下ブロックに分けられるという面白い事態にww
こんなことってあるんですねあせる


「ミュージカル ハムレット」
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本、作曲、作詞:ヤネック・レデツキー
脚本:ロバート・ヨハンソン
演出:栗山民也


井上芳雄…ハムレット
昆 夏美…オフィーリア
伊礼彼方…レアティーズ
成  河…ホレーショー
阿部 裕…旅芸人/亡霊
山路和弘…ポローニアス
涼風真世…ガートルード
村井國夫…クローディアス

川口竜也/小西のりゆき/俵和也/照井裕隆/岩崎亜希子/木村晶子/園田弥生/平田愛咲


ある時代のデンマーク。
王が急死し、その弟クローディアスが、先王の王妃であったガートルードを妻とし、王位に就いた。
悲嘆にくれる王子ハムレットは、亡き父・先王の亡霊から死の真相を聞かされる。
それは、クローディアスに毒殺されたというものだった。
真実を知ったハムレットは、突然狂気にかかったかのような言動を始める。
それは恋人オフィーリア、親友ホレーショーを傷つけ、
さらにはオフィーリアの兄レアティーズ、父ポローニアスをも巻き込み、
血で血を贖う陰謀と復讐が王宮に渦巻いてゆく……。


有名な、シェイクスピアの戯曲をミュージカルに仕立てたもの。
大胆なカットで、物語はとてもシンプルに解りやすく伝わりました。

ロックやジャズ、ポップス、スパニッシュ…
本当に様々な音楽が使われていて、でも調和、融合して…とっても見応え聴き応えのあるミュージカルでした!

普通に上演したら5時間くらいかかる戯曲を、2時間にしているのだから、それはもう大変な勢い。
死へと疾走していく様は、本当に圧倒されて、手に汗握って息を詰めて見守りました。
ナンバーのひとつひとつはどれも素晴らしく、拍手を送りたいのだけどそれを許さないほどの緊迫感。
観ているほうも、演じるほうも、相当なエネルギー消費です。

あっという間に一幕が終わり、二幕が始まり、クライマックスまで止まることのない息をつかせぬ展開で、物凄い集中力を発揮してしまいました。
心地よい疲労感。

ハムレットの井上芳雄くん…狂気の王子、素晴らしかった。
ハムレットを生きるのは物凄く苦しくて大変だろうな…
よっしーは王子キャラを演じまくって来たけど、ハムレットは凄く好きだなぁ。
歌の、声の表現の幅がぐっと広がって、地の声からファルセットまで耳福のひと時。
彼の歌だけでもじゅうぶん満足。

ホレーショーのソンハさん…これがミュージカル初参加とは思えないほど、よく歌い、よく動き、よく芝居していた。
ホレーショーは一番哀しい役だと思うけれど、引きすぎず、やりすぎない、とても良いバランスの人だったなぁ。

レアチーズ、じゃなくて(笑)レアティーズの伊礼くん…オフィーリアの昆さんと顔の系統が似ているので、兄妹に見えた。
妹の溺愛っぷりはまるで恋人のようで。
愛する可愛い妹の為にしてあげたいことが逆に妹を悲しませている、ごめんよ、な展開が切ない。
ノーブルな役より激情系のほうが合うのかも。

オフィーリアの昆さんは二度目まして。やっぱりちっちゃいなぁ。裸足だと子供っぽくなりすぎる。純真無垢さを出したいのかな。心が飛んでしまう部分の演技は個人的には好みではなかった。

阿部さんはもったいないっていうか…贅沢すぎるよ!この使い方!

山路さんも素敵なスパイス!ポローニアス、かわいそすぎる最期だぜ…

ヘレナを演じた平田愛咲ちゃんがとても良かった!好きな声と雰囲気。

村井さん流石の渋さ。複雑な人物をいぶし銀で見せてくれました。いい声だなぁ。

涼風さんのガートルードは、ただの愚かな女ではなくて、自分の不実さをよくわかっていて、息子を心から愛しているし、それでも女として突っ走らずにはいられなかった苦しみを抱えた人。
最初から最後まで、どの歌もぞわぞわきた。期待を裏切らない。
そして、もちろん超美しい。
凛々しくて優雅で、ちょっとドレスの裾捌きが男前なガートルードさま。
欲を言うなら、もっと母と息子の歌対決を聴きたかった。




祈り。
決闘。
成し遂げられた復讐。
死。

ハムレットにとっての全てが終わり、静かに歌い始めた時、堰を切ったように涙が零れ落ちた。
張りつめていた心の糸がようやく緩んだ。




後は、沈黙。
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