優衣



優衣は心の支えだった



東京の寂しさのあまり毎日電話した。


5月のGWに東京に来るって、約束をしていた。


それをは励みに毎日やりたくもない仕事をがんばった。 


週1の休みになると、友達もいない俺は、近くの北千住駅まで夜にギター片手に、ストリートLIVEをやりにいっていた。

それが休日の楽しみとなったし、やっぱりまだ夢をあきらめきれてなかった。


もともと東京でも歌をやろうとおもっていたんだけど、毎日のありえない忙しさに歌う暇など休みの日しかなかった。


優衣に「東京で夢をかなえる!!」っていって上京してきたわりに、現実はそんなに甘くなかったのだ。




そんなある日、いつものようにクタクタになりながら家に帰り、少し眠りについたとき


優衣からいつものように電話がきた。




武蔵「どうしたの優衣ー?」


優衣「・・・・・・・」


その日の優衣はいつもと様子が違かった。

出会いは僕が高校3年の春


友達の紹介でメールをしはじめた 



彼女の名前は優衣(ゆい)


歳は僕の2つ下で、高校1年生だった。



彼女は誰から見てもめちゃくちゃかわいくて、それにかなり細かった



優衣は男の人と付き合ったことなんてなくて、つまり僕がはじめて付き合った人。




僕は優衣と付き合うまで、本当の恋愛なんてしたことなくて、女の子と付き合ってもすぐに別れたり、浮気したり、最高でも2ヶ月もてばいいほうで、まして未練なんて気持ち感じたことなかった


そう


優衣は僕にとって、はじめて恋愛の大事さを教えてくれた大切な人




優衣はかわいかったから、付き合ってて自慢できた。


しかも優衣は誰とも付き合ったことなかったから、僕に夢中になって、かなり嫉妬やわがまま、束縛が多くて、そんな恋愛は初めてだった自分はそれがかなり嬉しかった。


僕らは毎日少しでも時間があれば会っていたし、電話も毎日した。


優衣が僕に夢中なのは見えていたから、離れることはないだろうって安心して、僕は優衣を一番に考えていなかった。




だから余計に思ったんだろう、上京して遠距離でも大丈夫だろう、浮気なんてしないだろう





いま思えばもっと大切にしておけばよかったなんて思うのは上京したその年の五月である




18の春  僕は上京した。



町屋・・


僕が住んだあの町は、改札を出て階段を上がると

都電が走っている


人もそんなに多くなく、下町というにはとても適した場所だ。



荒川区の町屋にある美容室


僕はそこで働きながら寮に住んでいた。



高校生時代、貧乏だったせいで、進学という選択が頭になかった俺は

就職なんてどこでもよかった


親から離れたい、東京に出でみたい、歌をやりたい


計画性のないそんなな気持ちで東北の田舎から上京してきた



このときの選択からもう

僕は間違っていたのかもしれない


美容師をやりたいなんて気持ち これっぽっちもなかった俺は、仕事も中途半端で、毎日のように怒鳴られる。



朝6時出勤~夜中2時帰宅


チラシ配り、練習、新人いじめが繰り返される


こんな毎日はもういやだ





そんな気持ちの毎日に救いを差し伸べてくれたのは、地元に残した彼女と、歌だった