魚津緑ヶ丘病院 総合企画室長です。
病院経営に関する本や雑誌のレジュメをアップして共有していきたいと思いますので、宜しくお願いします。
以下、矢印「⇒」以降は当院の現状を書いたものです。
・看護婦を束ねるのは難しい。精神科経験の乏しい看護師。
⇒ 職員教育の問題
・職員の不平、不満に「やさしく声を掛けて、肩のひとつでもたたいて、頼むよ、と一言でいいと思いますよ。」(事務長) 結果的に院長が「ご苦労さん」とあちこちで職員に声を掛ける姿が印象的。徐々に職員のチームワークも円滑となる。
⇒ 職員の世代構成が若くなるに従って、叱られた経験が少ない職員が増えている。2つ叱って、8つ褒めの実行
・トップの声掛けが、まさに組織力を発揮させる原動力となったのであるが、「これからは機関車が先頭になって列車を引っ張る時代じゃない。各車両の動力が1つになって列車を動かす新幹線方式じゃなければならない。」
⇒ 役職者・管理職研修を継続して行ない、役職者・管理職が自発的に動くようにする。職員のマインドを変える研修も継続・新設して行なう。
・総看護師長が人員確保や勤務体制のやりくりに苦労している姿は日常茶飯事。管理栄養士が委託職員の調整に頭を悩ましている姿も時折みかける。
⇒ 人員確保はハローワークと、職員の横のネットワーク、いかにやりがいのある職場を創造するかが課題。給食委託職員の不足は受託業者の担当者まかせにせず協働で解決策を考える。
・労務管理の運用は、職員の視点に立ち、すべての職員に公正なものでなければならない。
⇒ やりがいと共に成果に対する報酬(金銭以外のもの、たとえばねぎらいの言葉を含めて)を公正に評価する。目立たないが頑張っている人を評価する(360度評価)。大病院や役所に勤めた経験があっても民間病院の勤務が初めてであれば特別扱いなし。
・病院機能評価の評価項目に、「人事・労務管理体制の整備により、必要な人材が確保され、職業感染への対応や院内暴力への組織的な対応も行われ、職場環境が整備されていること」
⇒ 訪問看護やACTに向けてPSW、CPの確保と定着が必要。
人事制度は能力・成果主義であるが、より適正に評価できるよう見直す。
院内暴力への組織的な対応が明確でないので、院内掲示を含めて明確にする。
併せて、外来における物理的・精神的な暴力についても組織的な対応方法を明確にす
る。
・就業規則や賃金規程を始めとする諸規程の整備。
⇒ 内容が古くなっている部分について改訂を行なう。
・産休や育児休暇に対応するため人材派遣会社から派遣社員を受け入れている。活用に当たっては、同じ組織の一員であるという、受け入れ側の意識の統一は不可欠。
⇒ 薬剤師について派遣が可能であれば良いが、登録者が少なく、富山市内勤務希望者が多い。
・有給休暇の半日単位の休暇取得。子育て中の職員は、子どもの急病や幼稚園・小学校の行事などにより、短時間の所用に対し、半日の有給休暇を消化しなければならなかったが、有給休暇の時間単位の取得にかかる法改正を歓迎。
⇒ 子育て中の職員その他から、半日単位の取得希望が以前から有ったが、現在は1日単位である。時間単位の取得について有給残日数の管理も含めて考慮が必要。
・就業規則の改定では、セクシャルハラスメントの防止、育児・介護休暇、メンタルヘルス対策、個人情報の取り扱いに関する規定などの条項が法改正に対応し整備。
⇒ 育児・介護休暇は整備済み(一部修正必要)。その他は各種委員会で行なっているが諸規程に追加必要。メンタルヘルス対策は、管理職・夜勤者にストレスがかかっているので、対策を要す。
・時間外勤務手当の見直し。
⇒ 当院には時間外勤務はないが(原則禁止、やむを得ない場合は所属長の許可を得て後日調整)、特に一部職員と管理職が残っている状況が見られるので、タイムマネジメント・仕事の効率化・業務委任・多職種間の応援態勢を含めて対応する。
・賞与支給月の月末に退職する者については、支給の趣旨から減額措置を講ずるという規定を盛り込む。
⇒ 規定を盛り込むことは可能であるが、退職月を翌月以降にすれば減額措置を免れるため実効性に乏しい。
・職員の健康診断は、必ず全員が受診しているかを確認し、異常所見が認められた場合は、その後のフォローをしっかりととる体制整備が必要。
⇒ 自己責任ではなく、病院の義務として、安全衛生委員会を通じて、フォローする。
・組織において、部門の責任者は、常に職員の健康状態の把握に努めることは、労務管理上の役割として大事な使命である。
⇒ 管理職・役職者に改めて伝達する。
・通勤途上の自動車事故は、場合によっては使用者責任に問われることも起こり得ることであり、マイカー通勤規程の整備による承認制度の確立は重要である。とくに任意保険の加入状況は的確に把握する必要がある。
⇒ 面接時に任意保険は対人・対物無制限への加入を説明している。保険証券の添付を義務づけているが、定期的チェック体制を強化したい。
・労務管理とは、「組織を構成する人材を効果的に活用し、組織力を十分に発揮させることにより病院の健全経営を維持し、患者に適切な医療を継続して提供することを目的とする」
全ての職員に公平に運営されるものでなければならない。
⇒ 患者に適切な医療を継続して提供するために、公平な労務管理を行なう。
・「管理者の条件の1つとして、修羅場、土壇場、急場の三場を踏んで初めて一人前だ」(松下幸之助氏の秘書)
この「三場を踏む」を乗り越えた後の継続した管理能力の発揮にこそ、結果が問われることになる。
・ときには厳しく、しかし、包容力を兼ね備えた指導力を培い、さらに安定した組織基盤を構築するため、組織横断的な労務管理に取り組む。
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