○12月23日
クリスマス前には、クリスマス関連の作品を観るのですが、その作品の選択をミスしてしまい(「クリスマスウォーズ」)、頭がこんがらかりながら観た、邦画3本と洋画2本の計5本です。健さんがカッコ良い作品と、人情ホロリの作品が有るのが、救いでしょうか。
2020年公開の「浅田家!」を観た。様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田 政志の実話をもとにした人間ドラマ作品。写真集『浅田家』と『アルバムのチカラ』を原案としている。
監督、脚本は「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野 量太。菅野 友恵も脚本で参加。
4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志と、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄の兄妹の、家族の“愛の絆”や“過去と今”を、オリジナル要素を加えつつ描き出している。
第25回釜山国際映画祭(オープンシネマ部門)への出品
浅田家の次男・政志は、父の影響で幼い頃から写真に興味を持ち、やがて写真専門学校に進学。卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを再現した写真で学校長賞を受賞する。卒業後しばらくはくすぶっていたものの、再び写真と向き合うことを決意した政志、そんな彼が「一生にあと1枚しか撮れないとしたら」との問いに答えて選んだ題材は「家 族」だった。
両親と兄と本人で消防士やカーレーサーなど、家族がなりたかった職業に扮し、4人揃ったコスプレの「家族写真」を撮り続ける政志。東京で個展を開き写真集も出版したが、売れ行きは悪かった。しかし、その写真集は写真界の芥川賞と言われる木村伊兵衛写真賞を受賞した。
写真家としての自信を得て、日本中の「家族」の写真の制作を開始する政志。だが、初めての被写体に選んだ家族が東日本大震災で被災した。彼らを案じて被災地に入った政志は、ボランティア活動中に父を亡くした少女・莉子と知り合った。
母と妹の三人で「家族写真」を撮って欲しいと頼む莉子。父が欠けた写真は撮れないと困惑し、人間として、写真家として行き詰まる政志。だが、政志自身、子供の頃は父親がカメラを構え、写真には兄と自分しか写っていなかった。
父親の目線でなら、母子だけの「家族写真」が撮れると開眼して、政志は莉子の元に向かうのだった。
出演 浅田政志:二宮 和也(少年時代:岩田 龍門)
兄・幸宏:妻夫木 聡(少年時代:中川 翼)
母・順子:風吹ジュン
父・章:平田 満
川上若奈 / 浅田若奈:黒木 華
(少女時代:菅野真比奈)
浅田和子:野波 麻帆
高原家
高原信一:駿河 太郎、高原佐和:森レイ子
高原桜:遥
佐伯家
佐伯康介:松澤 匠、佐伯藍:篠原ゆき子 他
内海家
内海莉子:後藤由依良、内海美岬:呉城 久美 他
野津町の人々
小野陽介:菅田 将暉、外川美智子:渡辺真起子
渋川謙三:北村有起哉、お婆さん:小林トシ江
その他 池谷のぶえ、三浦 景虎、小澤 雄志、
池永 亜美、尾崎 右宗、笠井 信輔、古屋 隆太
等々。
受 賞 歴
第44回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞 黒木 華
優秀作品賞
優秀主演男優賞 二宮 和也
優秀助演男優賞 妻夫木 聡
優秀監督賞、優秀脚本賞(中野量太 / 菅野友恵)
優秀美術賞、優秀編集賞
第42回ヨコハマ映画祭 主演男優賞 二宮 和也
2020年度日本映画ベストテン 第3位
第36回ワルシャワ国際映画祭
国際コンペティション部門最優秀アジア映画賞
第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞
助演男優賞 妻夫木聡(「Red]、「一度も撃ってません」
などと合わせて)
助演女優賞 渡辺真起子
(「37セカンズ」などと合わせて)
第63回ブルーリボン賞 監督賞
第40回藤本賞 奨励賞 小川 真司
第22回ニッポン・コネクション ニッポン・シネマ賞
前半は浅田家の成り立ちから、「主人公と写真」を中心に描かれている。楽しい写真で、どれだけ観客の興味を引くか。
後半は、ガラッと変わり、「家族写真」で写真家として評価された主人公と、東日本大震災による津波で被災して家族や家を無くしてしまった人たちとの交流が描かれている。
ここで菅田将暉が登場するが、菅田将暉の静かな演技は新鮮だった。自然体で演じ切っています。特に涙を流すシーンはバリエーションと共に流石。黒木華や妻夫木聡の演技も良く安定感がある。
ジャニーズの中の演技力ではトップクラスと言われていた二宮、確かに演技力は有ると思うが、今回の出演者の中に入ると、やはり………。
自然な演技、ナチュラルな演技となると、少し疑問符がついてしまったのは事実だ。
作品としては十分合格点なので、そこだけがちょっと惜しかったかも。
1987年公開の「ドラグネット 正義一直線」を観た。ロサンゼルスの殺人課の凸凹刑事コンビが犯罪教団に立ち向かう姿を描くロマンティック・コメディ。1950年代~70年代にかけて放送されていた、アメリカの同名の人気ラジオ・テレビドラマをコメディに映画化した作品。
監督は、トム・マンキーウィッツ。ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の息子でこの作品が監督デビュー作。脚本は、監督と主演のダン・エイクロイドの2人とアラン・ツァイベルが共同で脚本を担当。
ロサンゼルス市警の勤勉な刑事ジョー・フライデーは、現代では珍しい伝統と格式を重んじる勤勉タイプ。そんな彼に新しいパートナーとしてついたのは、権威や体制に反感を抱く若くて軽いノリのぺップ刑事。水と油というくらい性格もタイプも違う2人が捜査を命じられたのは、最近頻発している、「ペガン(P.A.G.A.N.)」なる教団による不可解な連続強盗事件であった。事件の現場には必ず“ペガン”のカードが残されているのだ。
捜査開始早々から車の速度のことで喧嘩する2人が最初に立ち寄ったのは動物園。そこでは大蛇とコウモリが盗まれ、ライオンのたて髪がモヒカンに刈られていた。続いて2人は月刊ベイトのオーナーでポルノ王のシーザー邸を訪ねる。ペガン教団の声明文を掲載しなかったために、雑誌がそっくり盗まれたのだ。その帰り、今度は2人の車が食事中に盗難にあう。さらには貨車操作場のタンク車から有毒薬品が、アパートの大家からウエディングドレスが盗まれる。これらも全てペガン教団の仕業であった。
2人はドレスを盗んだ犯人で、またシーザーの運転手でもあったマッズを捕え今夜ペガンの秘密集会があることを聞き出す。パンク真っ青の変装をして2人は集会場へ潜入、そこでは山羊の仮面をかぶった司祭が処女を神に捧げるといういけにえの儀式が行なわれようとしており、盗難品はそのために使われていた。
2人の刑事は犠牲になろうとしていたコニーを救うが、その際コニーは司祭の仮面を剥がす。実は彼こそ表では世の腐敗をなげく全米道徳復興協会会長として正義をふりかざしていたジョナサン医師だった。コニーを誘い、祖母のマンディ、強引にやってきたペップらと食事に来ていたフライデーは同じレストランでジョナサンを見つけ逮捕するが、同席していた公安委員のジェーンとガノン刑事部長に、証拠がないことを理由に逆にとがめられ、身分証明書とピストルを没収される。翌朝、いつも迎えに来るフライデーが姿を見せないのでペップは心配する。フライデーはコニーとともに、監禁されていたのだ。ジョナサンは、ジェーンを利用し、シーザーと市長を前に奪った毒ガスで殺す計画をたてていた。
そうとは知らずにシーザーの家では、市長も集まってパーティが開かれていた。だがその計画を見事に阻止したのが、ペップと、彼によって救出されたフライデーだった。ペガン教団は到着した警察によって一網打尽となる。だがジョナサンはコニーを人質にまんまと飛行機で脱出する。しかし最後はフライデーがジェット機で追いかけ捕まえ一件落着。フライデーとコニーは結ばれ、またペップとの凸凹コンビも続くのであった。
出演 ジョー・フライデー:ダン・エンクロイド
ペップ・ストリーベック:トム・ハンクス
ジョナサン医師:クリストファー・プラマー
ビル・ギャノン署長:ハリー・モーガン
コニー・スワイル:アレクサンドラ・ポール
エミール・マッヅ:ジャック・オハローラン
ジェーン・カークパトリック
:エリザベス・アシュレイ
その他 ダブニー・コールマン、キャスリ-ン・フリーマン
ブルース・グレイ、ピーター・リーズ、
ドナ・スピア、レンカ・ピーターソン、
ジュリア・ジェニングス 等々。
同名ラジオ&テレビドラマの映画化、だそう。脚本に主演
も務めるダン・エイクロイド。
ダン・エイクロイドとトム・ハンクス、なかなかに楽しいバディ物のコメディ映画。充分に面白い!
ダン・エイクロイドがブルースブラザースの相棒ジョンベルーシを失い、新たに組んだのがトム・ハンクス!かな。
トム・ハンクスは、今でこそ名優で真面目な役が多いが、ここではチャラくて女好きでいい加減な奴。それと真面目でセリフもコンピューターの様に話すダン・エイクロイドのコンビが面白い!
ポルノ王と聖職者が裏で繋がっているリアルな設定。新興宗教もリアルかも。どちらも有りそう。
ダン・エイクロイドとトム・ハンクスの二人が、格闘アクションを披露するのも今となってはレア。これ、今続編作ってくれないかなあ。
2020年公開の「クリスマス・ウォーズ」を観た。クリスマスを題材にしたダークコメディ・アクション映画というらしい。
監督・脚本は、エショム・ネルムズとイアン・ネルムズ。
異端のサンタクロースが、復讐に燃えるいたずらっ子が送り込んだ暗殺者を撃退するさまを描いている。
クリス・クリングルは妻のルースと一緒に、アラスカ州のノースピークという町の近くの農場でクリスマスプレゼントの店を営んでいる。
あまりにも多くの子供たちが意地悪になっていて、クリスの収入が減っていく中、彼の事業に関心を寄せているアメリカ政府は、ジェイコブス大尉を派遣し、アメリカ軍の新型ジェット戦闘機の部品製造を2ヶ月間契約することを彼に提案する。渉外担当者は、政府からの補助金を差し止めると事実上脅してクリスの不安を押し切ったが、ルースが何とかクリスの気力を回復させたのだった。
クリスマスイブの夜、甘やかされて育った金持ちの少年ビリー・ウェナンは、わがままな性格故にクリスから石炭の塊が届く。復讐を誓った彼は、専属の殺し屋ジョナサン・ミラーを雇い、クリスを殺そうとする。
最初の試みは失敗に終わったが、ミラーは郵便局の監督官に毎年世界中の子供たちから届く手紙からクリスの住所を教えるように強要する。
ミラーはノースピークに向かい、クリスを尾行して農場に行き、施設に潜入してアメリカ陸軍の警備員を皆殺しにする。エルフの従業員に発見され、警報が発せられる中、ジェイコブスは自分の命を犠牲にして従業員を避難させるが、ミラーは店を爆破してしまう。
ミラーは子供のころのクリスマスプレゼントの不満もあり、クリスを殺そうとし優勢に立つ、ミラーはまず足に取り付けたバネの刃でクリスを傷つけ、さらに目を撃って射殺するが、ミラーもルースに射殺される。不死身のクリスは怪我から回復し息を吹き返す。そして、ミラーの依頼内容を辿ったクリスは、ルースとともにビリーを訪ね、もしビリーが再び敵意を示すようなことがあれば、彼(や他の子供たち)を迎えに来ると警告する。その後、クリスとルース、そしてエルフの仲間たちは、新たな自信を持って工房の再建に取り掛かる。
出演 クリス・クリングル:メル・ギブソン
世界が手に負えない場所へと変化していることに
不満を持ち、自分の身を守るために銃を振り回す
ことに抵抗がない。
ジョナサン・ミラー(クレジット名:“スキニーマン”)
:ウォルトン・ゴギンズ
おもちゃ屋で働く殺し屋で、不幸な子供時代を過
ごさせたクリスに対して「自らを失望させた」と個
人的な恨みを抱いている。
ルース・クリングル
:マリアンヌ・ジャン=パブティスト
クリスの愛する妻であり、彼の影響力を調整する
役割を担う。
ビリー・ウェナン:チャンス・ハーストフィールド
父親に無視されて育ち、極端な負けず嫌いで道徳
心を持たない金持ちの子供。
ジェイコブス大尉:ロバート・ボックスタール
クリスの工房に配属された米陸軍警備隊の隊長で、
米国政府との連絡係。
その他 エリック・ウルフ、スザンヌ・サッチー
デボラ・グローバー 等々。
クリスマス前には、クリスマス関連の映画観る事にしている。今年選んだのがこの作品。
サンタクロースが政府から補助金のようなものを受け取りながら細々と活動しているという設定が、面白そうだと思ってしまった。サンタが、良い子かどうかでプレゼントのランクを決めている。という事も。
前半が長い、ちょっとテンポが悪いかな。サンタvs殺し屋の構図になるまでが長め。
このサンタクロースがなかなかの武闘派で、射撃の訓練もしている。単なる殺し屋とサンタの死闘。B級映画のランクの認定もしょうがないか。内容は期待外れでサンタらしさもないし。
クリスマスには、クリスマスの奇跡が有る、心がホッコリする作品を観たかったのだが、失敗してしまった。
但し、殺し屋だけでなく、最後には「クソガキ」もきっちりとお灸をすえられたのはよかった。
1973年公開の「山口組三代目」を観た。暗黒街を席捲し、日本ヤクザ史上、最強最大の組織をつくりあげた、山口組三代目・田岡一雄の自伝の映画化。監督は「釜ヶ崎極道」の山下 耕作。脚本は「昭和残侠伝 破れ傘」の村尾 昭。製作は東映京都撮影所、配給は東 映。
当時の東映の岡田 茂社長が、『ゴッドファーザー』を見て気に入り、「日本で当てはめるなら山口組だ。これをやるのは自分しかない」と思い立った。そして直接山口組の田岡一雄組長と交渉し、映画化の約束を取りつけて製作したのが本作品。
岡田社長は田岡組長とは「兄弟分」と言われるほど昵懇だったため、このような映画の製作が可能だった。との事。結果、『仁義なき戦い』を上回る記録的な大ヒットを飛ばしているそうだ。
現役のヤクザの親分を映画にした初めてのケースとされている。
大正三年、徳島の寒村に生まれた田岡一雄は、幼くして両親と死に別れ、神戸の叔父・河内和四郎にひきとられて育った。高等小学校を卒業した後、川崎造船に勤めたものの、上役と喧嘩して飛び出した。そんなある日、同級生だった山口組二代目山口登の弟秀雄と再会、山口組のゴンゾウとなった。
喧嘩の強い一雄は、仲間から“クマ”の異名をとるようになった。そんな無鉄砲な一雄に目をつけた二代目は、一雄の身柄を舎弟頭の古川松太郎に預けた。
当時の山口組には、灘波為之助、渡辺藤吉、森川盛之肋、中本虎一、小田久一、大長三兄弟と呼ばれる一男、政吉、八郎等屈強な若衆がいた。古川の家で若衆として修業して二年が経ち、一雄は一人前になった、ということで彼を兄貴と慕う岡精義と共にアパートへ移った。
ある日、二代目が後援会長をしている大関玉錦が宝川に喧嘩を売られたが、二代目から喧嘩を禁じられている玉錦は、思いあまって二代目に相談に来た。丁度居合わせた一雄と久一は、玉錦に変って宝川に決着をつけるのだった。
昭和八年、海員争議の調停を行っていた二代目が、組合側に負傷させられた。怒った一雄は、組合争議本部に乗り込み、組合会長めざして斬り込んだ。この事件は、裁判では単に個人的な喧嘩ということでけりがつき、一雄は懲役一年の刑を受けた。そして一年後、出所した一雄は正式に山口組の本家の若衆として迎えられ、二代目と親子の盃を交わした。 そして、八郎の粋な計いで、かねてから好意を寄せていたふみ子と世帯を持った。やがて、広沢虎造の興行を成功させたことから、一雄は二代目の信用と人望を集めていった。
ある日、酒乱でどう猛な八郎の兄、政吉が菊水座の売り上げ金を持ち逃げしたことから、二代目に破門された。一雄は何とか穏便に治めようとしたが、逆に一雄に斬ってかかってきた政吉に心ならずも傷を負わせてしまった。兄思いの八郎は、逆上して本家に乗り込もうとした。一雄と八郎は心の通じ合った仲間、だが、説得を聞こうとしない八郎のドスをさけた一雄は、自らのドスを八郎に……。仲間を手にかけた一雄は、自首し懲役八年の刑を受けることになった。
昭和十五年の夏、広沢虎造の映画出演問題をめぐって、九州石政組と二代目が対立し、九州へ出向いた二代目が石政組の手にかかって、全身十八ヶ所の傷を負わされた。このことを獄中で知った一雄は、凄じい形相で歯を喰しいばるのだった……。
出演 田岡一雄:高倉 健
山口登:丹波 哲郎
深山ふみ子:松尾 嘉代
大長八郎:菅原 文太
チェーストのトヨ:田中 邦衛
いろは幸太郎:嵐 寛寿郎
西田幸一:待田 京介
はまゆう:桜町 弘子
岡精義:山本 麟一、 古川松太郎:水島道太郎
神田義太郎:内田 朝雄、大長政吉:遠藤 辰雄
その他 北村 英三、田中春男、須賀不二男、汐路 章、
岡 八郎、阿波地大輔、千原しのぶ、 等々。
現代なら、コンプライアンスとかが大変で絶対作れない映画だ。私の場合。健さんが出演している映画はなんでもOKのファンなので、健さんがカッコ良ければ良い。ましてや、菅原文太も共演している。
我慢に我慢を重ね、外道を健さんが叩っ斬るカタルシスなどは、声かけたくなるほど。
血なまぐさい実録映画ではなく任侠をまっすぐ貫いた侠客映画、となっている所は、健さんと山下監督の凄さでもある。色んなものは他所において、見ていて面白い作品。健さんのぎこちない関西弁も面白い。
仁侠映画は、ただ単純にカッコ良い作品と思うだけで、観て憧れては絶対に行けない。憧れるのは健さんだけにしなければ……。
1980年公開の日活ロマンポルノ「愛の白昼夢」を観た。恋人のように父をしたう娘と、再婚相手として出現したひとりの女との間の葛藤を描く。監督は「赤い通り雨」の小原 宏裕。脚本は「宇能鴻一郎の貝くらべ」の中野 顕彰。
青い海原の沖に停泊しているヨットの上では、全裸の女たちが淫らな姿体をさらして戯れている。活発に動き回るひとりの中年の男。騒ぎから離れて、油絵を描いている洋子。洋子は、愛する妻と死別した父・徹と避暑地の別荘で気ままな生活を送っている。父はプレイボーイで、五十歳にとどこうという年齢の割には若々しい体の持ち主で、洋子には自慢であり、誇りであった。
ある日、洋子は父から再婚の話を聞かされた。「パパは私だけのもの」……洋子の気持は動転する。ある夜、再婚相手の亜起子が別荘を訪れた。二人を祝福する素振りをみせながらも、目の前で愛撫しあう二人に、洋子は嫉妬していた。寂漠とした気持ちから、海辺をさまよい歩く洋子は、キャンプファイヤーを囲んで戯れる若者たちを服を脱いで挑発するのだった。そこへ、警官が現われ、洋子は補導される。洋子は身柄を引き取りに来た亜起子のお説教に腹を立て、帰り道、サーファー少年の誠を別荘へ誘った。亜起子の目の前で体を重ねる二人。
数日後、洋子は、仲間のケイコに父を誘惑させた。そして、父とケイコがホテルの部屋に入るところへハチ合わせになるように、洋子は亜起子をロビーに呼びだした。バッタリ出会う四人。動揺を隠しきれない亜起子を、勝ち誇ったように見つめる洋子。しかし、亜起子はケイコと関係した徹を、平然とむかえ、腕を組んで笑顔でホテルから出て行く。洋子の目論見は完全にはずれた。数日後、洋子は誠を呼びだすと、別荘の物置き小屋で抱き合った。そして、奸計をめぐらす洋子は、誠に亜起子を犯すように命じた。クリスチャンの亜起子は、苦痛とも歓喜ともつかぬ表情で誠に犯された。
半月後、亜起子は妊娠していた。手ばなしで喜ぶ徹だが、亜起子の気持はうつろだ。そして、亜起子は突然失踪する。翌朝、波打際に変りはてた亜起子の水死体があった。痛ましいその姿を、茫然と見つめる洋子。数日後、青い海を疾走するヨットの上で、亜起子を失ったショックも癒え、全裸の女達と戯れる、プレイボーイの父・徹の姿があった。
出演 洋子:畑中 葉子
父・徹:小笠原 弘、亜起子:風祭 ゆき
その他 今井 久、青山 恭子、三崎 奈美、松本 信子
浅見小四郎、荻原 賢三、野口スミレ、西本アンリ
等々。
娘に扮する畑中葉子は、平尾 昌晃とデュエットで「カナダからの手紙」のヒット曲をだした後、結婚引退、八ヵ月後に離婚、この作品で裸になって再起をはかったことで話題となっていた。作品的には、ロマンポルノにしてはランクは低い。但し、この後の作品では、私は畑中葉子は天性のロマンポルノの女優であると思うようになる。




