県内最大規模のリレーマラソン

　「いっちゃんリレーマラソン」は、北日本放送が主催する富山県最大規模のリレーマラソンです。会場は射水市の県民公園太閤山ランドで、今年は5,500人を超える方がエントリーされたそうです。富山県の人口は約100万人ですから、単純計算で県民の20人に1人以上ということになります。本当にすごい人数ですね。　

　このリレーマラソンは、いくつかの部門がありますが、私が出場したのはフルマラソンの部門です。これは、1周2.1kmのコースを、みんなでタスキをつなぎながら20周します。チームの人数や、走る順番、誰が何周するかは自由です。　

　私は、同業者の皆さんとチームを組んで出場しました。私がランニング好きだと知っていた職場の先輩が、一緒に出てみないかと声をかけてくださったのです。その先輩は広い人脈を持っておられ、他の会社の人にも広く声をかけてくださいました。結果、たくさんの人が集まり、私たちは2チームで出場することになりました。私のチームは7人で、7人で計20周ですから、1人あたりのノルマはだいたい3周（6.3km）です。

　リレーマラソンですから、途中でインターバルがあり、息を整えることができます。

　加えて、私は5月に会場で予行練習も済ませており、イメージもできていました。というわけで、私は「そこまで過酷ではないだろう」と高をくくっていました　

　ところがどっこい、このリレーマラソン、蓋を開けてみるとなかなか過酷な大会だったのです　

雷雨の幕開け

　会場に到着すると、どんよりとした雲が空を覆っていました。なんとか日中だけでも天気は持ってくれないだろうか、そんな淡い期待を抱きましたが、それを打ち砕くように、直後からバケツをひっくり返したような雨が降り始めました

しまいには雷まで鳴り出し、とてもじゃありませんが大会を決行できるような状態ではありませんでした。

　「せっかく射水市まで来たのに、中止でトンボ帰りか...」そう思って肩を落としていたのですが、なんと、スタート30分ほど前に、図ったかのように雨が上がったのです これには会場にいる人皆が沸き立っていました。まるで、会場に集まった皆さんの思いが天に通じたかのようでしたね。というわけで、窮地に追い込まれた大会は無事開催、私たちはスタートラインに立つことができました。　

　スタートラインには、多くの人が集まっていました。フルマラソンの部は360チームほど出場していたようですから、ざっと360人ですか。スタート地点には立派なアーチが設けられ、これまで出場してきたマラソン大会さながらの、真剣な雰囲気に包まれていました。私は、大変光栄なことに、チームの1番手を任せてもらえました。スタート地点で、独特の雰囲気を味わえたのは恵まれていましたね。今日は頑張って走ろう、と改めて気持ちを入れ直しました。　

　ゲストである、三代目J SOUL BROTHERSの山下健二郎さん（なんて豪華！）がスタートの号砲を鳴らし、ランナーが一斉に駆け出します。ここで、私はある誤算に気付きました。それは、皆さんのスピードがとても速かったことです笑 そそのスピードというのは、これまで出場してきた大会からは比べ物にならないくらいものでした。　

　よくよく考えてみると、この日は1周2.1kmのリレーマラソンですから、いわば「短期決戦」であり、皆さんはかなり速いスピードで走られるのです。これまで出場してきた個人の大会だと、最初はどこか様子見、地ならしのようなところがありました。しかし、この日は皆さん、我先にとばかりに一斉に飛び出していきました（ちなみに、この大会の優勝賞金は6万円と非常に豪華です笑）。いっちゃんリレーマラソンのレベルを把握していなかった私は、スタート早々圧倒されてしまいました。

　しかし、ここで気圧されてしまってはスタートを任せてもらった期待に応えられなくなります。ギアを上げ、大きく腕を振ってスピードを高めました。上位集団は、それこそ100m走かと思うような速さで公園の中を駆け抜けていきました。もっと牧歌的な雰囲気を想像していた私は、本当に驚きました。ですが、大人数が真剣に全力疾走するさまは壮観で、ハートに火が付きましたね。　

　練習のとき、キロ6分ほどで走っていた私は、2.1kmだったらどのくらいのスピードで行けるのか、自分の走力がさっぱり分かりませんでした。手元のスマートウォッチに目をやると、キロ4分前後のペースを示していました。いつもよりだいぶ速いペースですが、約2kmならこれでも行けるでしょうか。自信は持てませんでしたが、キロ4分で突っ込んでみることにしました。　

　リレーマラソンは公園の中を1周しますが、ここにはかなりのアップダウンがあり、後半から終盤にかけて上り坂が待っているというなかなか鬼畜なコースです。この日出場した人は、皆「トンネルのあたりがきつかった」と口々に述べていました。トンネルとは、1.7km付近に待っている「やまぶきトンネル」です。たしかに、ここが本当にきつかったですね。上り坂に入り、辺りも暗くなるので、心が折れそうになるのです。さすがにここでキロ4分をキープするのは至難で、少しペースが落ちてしまいました。しかし、トンネルを抜けてしばらくすると最後は下り坂です。地獄から天国とはこのこと、最後は一気に下りをかけていきました。　

　無我夢中で走り、2番手の人にタスキを渡します。私のタイムは約9分で、キロ4分20秒くらいのペースでした。自分にしては、なかなか頑張った方ではないかと思います。ぜえぜえと息をしながら、チームのテントに戻ります。

右肩上がりの快走

　私たちは7人チームなので、間には十分なインターバルがあり、息を整えることができました。水分と糖分を補給し、ストレッチもして準備万端です。しっかり休憩を挟めるのはありがたいことですね。個人の大会だと、この間も走る続けるわけですから笑　

　2周目は、体も温まっており、より良い走りができました。冒頭は、キロ3分台の走りをしていました。普段からは信じられないようなハイペースです。しかし、コース沿いの観客からの声援もあり、テンションを保ったまま走ることができました。1回目からタイムを縮め、今度は8分台で帰ってきます。キロ4分10秒、なかなかいいペースです。チームメイトも、私が予想以上に速かったようで、皆さん喜んでくださいました。自分の走りで喜んでくれる人がいるというのはなかなかうれしいものです。　

　自分が走っていないときは、チームメイトや他のランナーの応援をしました。中には仮装をして走っている人もおられ、皆さん思い思いに大会を楽しんでおられました。トップレベルのガチランナーから、ファンランナーまで。垣根を越えて、みんなで楽しめるイベントであり、本当に素晴らしいなと思いました。

　そんなことを思っているうち、3周目の出番がやってきました。3周目はその場の雰囲気やコースの距離感をつかめている分、一番上手く走れたと思います。後半の上り坂ではぐっと疲れがきましたが、これが本日最後のランと思って力を出し切りました。その結果、2周目をさらに上回るタイムでフィニッシュ。1→2→3周目と、尻上がりにタイムが上がっています。我ながら、かなりいい走りができました。

　充実感いっぱいにゴールインし、後続にタスキを渡します。テントに戻り、あとはチームメイトを応援するだけ...

　そう思っていたのですが、テントに戻った私に「非情通告」が待っていました。

　「足首を痛めた人がいて、もう1周走ってもらえない？」

代打アンカー

　これは本当に困ったことになりました。今日は3周を走ると思っていた私は、最後の3周目に全ての力を出し尽くしていたのです。息も絶え絶えで、とてもじゃありませんがもう1回なんて走れそうもありません。しかも、2周目、3周目と異なり、今回はインターバルもほとんどなく、回復の時間も十分に取れそうにありませんでした。　

　しかし、アンカーの人は足首を痛めてしまい、その場にいて走れる人は私しかいない状況です。ここまできて棄権するのは絶対に嫌でしたから、覚悟を決め、走ることに決めました。　

　そうして始まった「追い」の4周目。これはもう、本当に大変でした。例えるなら、マラソン大会でゴールした後で再び走り出すようなものです。一度フィニッシュしたところからもう1回行くのは気持ち的にもしんどくて、大変な1周でした。それでも、もう前に進むしかないわけですから、一生懸命に腕を振りました。　

　いよいよ、ゴールが見えてきました。ゴールでは、チームメイトの皆さんが待っていてくれました。ゴール地点には、スタート地点と同じアーチがかけられています。よく考えると、私はこの日、スターターとアンカーを同時に経験させてもらったのでした（アンカーは想定外の出番でした）。言うなれば、一番美味しいところを両方経験させてもらったのです笑 最後の1周は体力的にも精神的にも本当に辛かったですが、今日は本当にいい経験をさせてもらいました。　

　万感の思いを胸に、ゴールに入ります。チームメイトの皆さんとハイタッチをかわし、「最後はよく走ってくれた！」と口々にほめてもらいました。ゴールで皆さんと喜び合えたのは素晴らしい時間で、これこそがリレーマラソンの醍醐味だと思いました。　

　この日、私たちのチームのタイムは、3時間と少々でした。これは、個人のマラソンだったらかなりレベルの高いタイムと言えます。私が1人で走っても、こんないいタイムは決して出すことができなかったでしょう（そもそも、今の実力ではフルマラソンは走れない笑）。それを、みんなで頑張ることで、こんなにいいタイムを出すことができるんですね。　

　みんなで力を合わせ、走り切った42.195kmは最高の思い出になりました。この思い出は、これからの個人ランにもきっといい影響を及ぼすことと思います。「いっちゃんリレーマラソン2024」素晴らしい大会を本当にありがとうございました！

100回ラン＆ 365km への道

　距離　8.32km　時間　35分53秒　

　平均ペース　4:19　平均心拍　179

　年間ラン　4５回（あと55回）

　年間距離　273.11km（あと91.89km）　

　キロ4分10秒台...いやー、頑張りました。

　翌日の足は、......お察しのとおりです

いっちゃんリレーマラソン2024（2024_#45）