高齢の母を歯医者に送って、駐車場に車を止めていたら、

バックしてきた白い軽自動車が、私の車の左後部に当たりました。

「バキャ!!」という音が響き、

シートベルトを外そうとしていた母が、もんどりうつくらいの衝撃です。

降りようとしている母を車に乗っておくように言い

自分が降りて、当ててきた軽自動車の運転者と話をしようとしましたが、

その軽自動車の運転手は車を降りることもなく

駐車場を出て行こうとします。

当て逃げだと思い、

私は走り、軽自動車の運転席側の窓をたたき、

「当たりましたよ!!」

と大きな声で叫びました。

 

ところが運転していたのは高齢の女性で

キョトンとしています。

再び駐車場に入るように促し、

あなたの車がバックしてきて、私の車に当たりました

といいますが、かなり訝し気な顔でこちらを見ています。

 

保険会社に電話してください

と言いましたが、何のことかわからない様子。

私は自分の車の保険会社に電話したのですが、

その高齢の女性は車に乗り、駐車場を出ようとします。

再び呼び止めて、

「あなたの車が私の車に当たったんです。保険会社に電話してください」

と言いますが、

「何のことかわからない」

という返事。

「車の保険はどこに入っていますか?」

と聞くと

「なんであんたにそんなことを聞かれないといけないのか」

と言い返してきます。

JAの保険に入っているらしいことが分かったので、私が相手方の保険会社に連絡し

事の詳細を説明しました。

事故の受付をしてもらい、

お互いの車の当たった箇所の写真を取り、

ドライブレコーダーの記録を確認しました。

 

もう一度、運転していたかたに、どうやって車が当たったか説明し、

「私が連絡しておいたので、保険会社から電話が来ると思いますのでよろしくお願いします」

とお願いして、その場を離れました。

 

一週間ほどしても、相手の保険会社から連絡が来ないので

こちらから電話すると、驚いたことに

「〇〇さんは、相手と示談が成立したとおっしゃって、事故扱いせず終了しました」

という返答。

はらが立つよりも驚きました。

 

私はまた最初から詳細を説明をして、

そもそも示談なんてしていないし、

写真もドライブレコーダーの記録も残っていることを言いました。

やっと相手方の保険会社が動き出し、

それから2週間ほどして修理が始まりました。

 

修理に出した工場で事の次第を説明すると

「高齢者の当て逃げ最近多いですよー。うちにも警察から良く電話かかってきます

 こういう車が修理に入っていないかって」

ぶつけて怖くなって逃げたのではなく、

当てたことに気が付かない高齢者が多いのだそう。

 

相手方の保険会社の方が修理終了の確認電話をしてこられたとき

おっしゃったことが

「事故をしたことはなんとかお認めになりましたが、すぐにまた忘れてしまわれて、、、本当に大変でした」

短期記憶も定かではないヒトが車を運転しているという恐怖。

 

当たったのが車ではなくもし人だったら。

母があと30秒早く車を降りていたら、私の車と、あの老婆の車の間に挟まれていました。

軽傷では済まなかったと思います。

 

自分もそう遠くない未来に運転免許の返納を考えなければなりません。

高齢者が運転免許を返納しないのは、生活に必要だからです。
国や地方自治体は、「田舎だからしょうがない」で切り捨てるのでなく

高齢者が安心して免許証を返納できる

そんな制度を考えてほしいものです。