昔、新採用職員、A君の教育係を受け持ったことがありました。

A君は物覚えが良く、仕事もできて社交的で、話も面白くて

職員としてほぼ非の打ちどころのない人間でした。

 

一年過ぎて人事異動で僕のもとを離れ、他の部署に行って活躍していたのですが

5年ほど経過した頃、職場で管理している外部団体の会計から、不正支出の形跡がある

そんな話が持ち上がりました。

 

最初は5千円ほど持ち出してまた5千円戻している

そんな様子だったものが、次第に大胆になり、会計の予備費20万円以上がそっくりなくなってると。

その予算の管理担当はA君でした。

 

まさか彼がそんなことをするはずがない。そう思ったのですが、

彼の管理するほかの外部団体の会計からも不正支出が見つかったのです。

それどころか、複数の職員からお金を借りていることもわかりました。

B係長には「親が入院してしまってお金の余裕がない。5万円ほど貸してほしい」

C係長には「自宅が空き巣にあい、お金を盗まれてしまい生活費がない。3万円ほど貸してほしい」

D君には「車をぶつけてしまい、相手が入院したので見舞金を払わねばならない。保険が降りたら返済するから5万円貸してほしい」

もちろん、A君の言ったことはすべて嘘でした。

 

相手の手持ちの金額を見透かしたように金額を要求していたようです。

私には何故か無心しませんでした(^^; 

多分子育て真っ最中で自由にできるお金がない事を知っていたのでしょう。

その後の調べで、彼はパチンコ依存症になり、マチ金からもお金を借りていました。

その返済が滞り、外部団体の会計に手をつけ、友人や上司に嘘をつきお金を借りていたそうです。

結局、刑事事件となり彼の親がすべてを知り、全額返済したうえで彼は免職になりました。

 

ギャンブルに堕ちる人は、その場限りの嘘をつきます。

その瞬間だけしか通用しない嘘を相手によって違うストーリーの嘘をつきます。

第三者から見れば信じられないことを平気で行います。

 

しかしそれは、彼がもともと虚言癖があったわけではくて、ギャンブルがそうさせたんですよね。

 

そのことを思い出した今朝のニュースでした。