オーストラリアンオープン10 Day02
オーストラリアオープンを生で観戦したことがあります。2000年ぐらいのことだったと思います。その頃の「妖精」といえば、文句なくクルニコワで、実力はあるのだが、トップまではちょっと、といった存在でした。
そのクルニコワⅡ世といえるのが、現在ならキリレンコではないかと思っていました。
クルニコワの頃に比べて、美形の選手が増えてきました。シャラポアにしてもイワノヴィッチにしても美形で実力も兼ね備えています。そして何より体格に恵まれています。
時としてシャラポアを「妖精」と称しますが、フェデラーよりも大きい体格はどうみても「妖精」ではありません。
テニス界においての「妖精」の称号は、やはりキリレンコをおいてないのではないかと思います。
美形であることは当たり前ですが、あまり強くてもいけない。グランドスラム大会でシードに入るかどうかぐらいの実力がベストです。そして何より、体格が良すぎてはいけません。大型化している昨今でもやはり180cm以上は、少なくとも日本では「妖精」とは呼べません。
ということで、全豪オープン2010のロッドレイバーアリーナでのオープニングゲームでは、マリア・キリレンコがシード14番のマリア・シャラポアをセットカウント2-1で退けてしまったのです。
決してキリレンコの調子が抜群に良かったというわけではなく、やはりシャラポアが悪すぎました。11本のダブルフォールトはやはり致命傷です。
シャラポアの一回戦敗退以外の番狂わせはありませんでした。クライステルスもエナンも順調な立ち上がりです。
ナダルもマレーもまた順調な1回戦でした。しかし、ナダルはスマートになっちゃいましたね。野性味が消えて、いいとこのお坊ちゃんのようです。
さて、2日目はナンバーワンシードのフェデラーが登場します。昨年は、ナンバー2で迎えましたが、今年は返り咲きました。やっぱり、フェデラー1番でナダル2番が収まりがいいような気がします。
本日、フェデラーの相手は、キリレンコの彼氏と噂されるアンドリエフです。キリレンコの尻に敷かれているであろうアンドリエフが奮起してフェデラーに挑むわけですが、こういう状況でアンドリエフが普段の力以上のものを発揮できるかは定かではありません。
federer命
オーストラリアンオープン10 Day01
このブログに書くのは3カ月ぶりになります。昨年11月初めの東レパンパシで杉山さんが引退した時以来でしょうか。
その東レPPO09を制したのはその時復帰間もないシャラポアでした。
そして今回の全豪、ロッドレイバーアリーナのオープニングゲームが、そのシャラポアvsキリレンコという、ロシアの美人対決になりました。
ドローは抽選です。一回戦で美女ふたりが対戦してしまうのはもったいないとは思いますが、オープニングゲームにふさわしい華やかさと考えれば、これもありかなと。
予想に反して、キリレンコが第一セットを取りました。それもタイブレークでです。何しろ、シャラポアのサーブが悪い。ここのところ、シャラポアは立ちあがりが悪くて、何とか逆転で勝つというゲームが多いのですが、こんな試合運びだと、復帰組のクライステルスやエナンには刃がたたないかもしれませんね。
日本のテニス界も杉山さんが引退して、その後を引き継いだのが何と、伊達さんというのだから、世の中わかりません。
クライステルスやエナンの現役復帰はその伊達さんの影響ではないかなんて巷の噂です。
日本の男子は、錦織がまだ復帰できないと、もう後ろに誰もいません。鈴木貴男さんが、あと一歩で本戦出場というところまでいきましたが、鈴木貴男さんが頑張っているようじゃ先が思いやられます。
先に女子の優勝争いを見てみましょう。
本命はもちろんセレナ・ウイリアムスです。地元のUSオープンの決勝戦で失態を演じましたが、そのパワーと強さはやっぱりダントツです。パワーと強さなら、本来サフィーナが君臨していなければなりません。しかし、サフィーナはグランドスラム大会となると、どういうわけか、勝てない。メンタルの問題でしょうが、一回勝つと変わるんですけどね。
エナンとクライステルスは同じブロックにいますから、そこまで順当に勝ち上がっても準々決勝で対戦してしまいます。
大胆に予想します。このブログは大胆を信条としています。外れても誰も困らない。
ベスト4は、セレナとヴィーナスのウイリアムス姉妹、そして下の矢倉から、クライステルスとサフィーナですか。
ちっとも大胆じゃないって?
さて、男子シングルスです。何しろ昨年のフェデラーvsナダルの死闘が蘇ります。がちがちとは言わないけれど、グランドスラム大会でのフェデラーとナダルの強さは秀でています。フェデラーに至っては決勝に出られなかったのは、2年前のこの全豪まで遡らなければなりません。
ドーハの大会でふたりともダビデンコに負けてますけど、グランドスラムは別物です。最近全豪では勝っていないフェデラーが決勝でナダルを破って16回目のグランドスラム優勝というのが、理想的かつ希望的な予想です。
さて、2週間愉しませてもらいましょう。
federer命
東レPPO 09
杉山さんの引退がUSオープン09終了後に発表された。この大会が杉山さん最後の大会となる。
その杉山さんがダブルスで健闘している。一回戦の後、倒れて寝込んだらしいが、相棒ハンチュコワの頑張りもあって、決勝進出を果たした。
個人的にはWTAはあまり見ない。しかし、今回杉山・ハンチュコワペアの試合はどうも見収めと思うせいか、見いってしまった。
そして本当のラストゲームを生放送で、と思ったら、TBSの放映権のために生放送はなかった。
シングルスの決勝戦は、シャラポアvsヤンコビッチといういいカードだったけれど、ヤンコビッチが2-5とリードされた段階でリタイアしてしまった。
男子も女子もこの時期になると疲労のピークである。誰もがどこかに故障を抱えている。
昨年まではAIG,今年からは楽天がスポンサーになった日本オープン、やっぱりフェデラーは来なかった。デビスカップで頑張りすぎたのが原因かはわからないけれど、その後のマスターズ大会、上海にもでないというから、これもやっぱり疲れはピークなのだろう。
別にフェデラーに合わせたわけではなかろうが、アンディ・マレーも来なくなった。チケット買わなくてよかった。
さてさて、杉山・ハンチュコワvsスキアボーネ・クレイバノバのダブルス決勝は、第一セット4-6で杉山・ハンチュコワペアが落としてしまった。
federer命
USオープン09 番外編
2009年USオープン・テニスの男子シングルス決勝でランキング1位、一番シードのロジャー・フェデラーがランキング6位、6番シードのファン・マルチン・デルポトロにセットカウント3-2の接戦で敗れた。
これが、客観的状況記述である。しかし、その問い方はいくつか考えられる。
なぜ、フェデラーは負けたのか?
なぜ、フェデラーは勝てなかったのか?
フェデラーの惜敗なのか?それとも完敗なのか?
フェデラーの側からちょっと考えただけでもいくつか出てくる。問いは各人のフェデラーやデルポトロ、ひいては大会そのものに対する思い入れの違いで替わる。客観的事実は同じであるが、人には感情があるからだ。
もし、今回フェデラーが勝っていれば、なぜ、フェデラーは勝ったのか?という問いはたたなかっただろう。現実にウインブルドンでロディックとの死闘を制した時、この問いは起こらなかった。
実は、今年の全豪の決勝でナダルに負けた時も問いはなかったように思う。それはその時点でのナダルとフェデラーの力関係を勝手に作り上げていたからだ。ナダルとの相性、そしてその時はナダルが一番で、フェデラーは2番シードに甘んじていたのだ。
フェデラーがマスターズのマドリッド大会の決勝でナダルに勝った時の問いは、何故、ナダルが負けたのか?何故、フェデラーは勝てたのか?である。
問いの仕方に拘っていても話が進まない。問いがいくつもあるということは、答えはもっとたくさん出てくる。しかしその答えは正解ではない。単なるレスポンス、応えに過ぎない。
心情的には、なぜフェデラーは勝てなかったのか?という問いがしっくりくる。つまり、デルポトロとの相性を含めて、負ける要素が見つからなかったからである。
しかし現実には負けた。
どこのコメントにもあるように、敗因はサーブである。11回もダブルフォールトするフェデラーをおよそ見たことがない。この速くなったコートサーフィスでサーブの調子が上がらなければ勝てないのは、天才フェデラーでも同じことである。それも相手は長身のデルポトロである。相手の弾丸サーブにフェデラーさえ肩に力が入ったのかもしれない。
そう、フェデラーも人間だったのである。もちろん並みの人間ではないからこそ、11本もダブルフォールトしてもフルセットまで相手を追い込むことができた。
パパになって初めてのグランドスラムタイトルは来年までお預けになったが、モチベーションという意味では、今回の負けは悪くはなかったのではないか。
そんな総括の仕方でいかがでしょうか。
federer命
USオープン09 Day15
フェデラーもデルポトロも完ぺきなアタッカーである。今回、コートサーフィスを今までより速くしたと聞く。この結果がマレーの3回戦敗退であり、ナダルがデルポトロに完敗した理由である。
フェデラーは少なくとも今までは同類のアタッカーの相手には強かった。アタッカーの泣き所は一度リズムが狂うとそのまま崩れてしまうことである。フェデラーはその泣き所をメンタルの強さでカバーして、ここまで記録を築き上げた。
今年のウインブルドンの決勝を憶えているだろうか。フェデラーが圧勝して勝つだろうと予想した試合は、ロディックの崩れない試合運びで、記録的なフルセットのエンドレスゲームになった。確かに勝ったのはフェデラーだったが、勝ったフェデラー以上にロディックの健闘を誰もが讃えた。
フェデラーとデルポトロの対戦は今回7回目である。これまでの6回の対戦でデルポトロは一度も勝っていない。しかし、着実に力をつけてきた。今年の全豪では完敗したが、全仏ではフルセットまでいってフェデラーを苦しめた。ロディックと同じで、アタッカーの弱点を克服したのだ。耐えることを学んだのである。フェデラーにとって全仏の優勝はこのデルポトロに勝ったことが大きい。あすこが一番の難関だった。
そしてUSオープン09の決勝戦もウインブルドン09同様フルセットまで縺れた。ウインブルドンの5セット目にはタイブレイクがないが、USオープンはタイブレイクで決まる。
フェデラーが今日セットを落としたのは全てタイブレイクに入ってからである。デルポトロがひとつもサーブを落とさないのである。タイブレイクは集中力の勝負である。つまり、今までならこの展開はフェデラーの得意とするところだった。しかし今日は違った。
やはり6回連続して勝つというのはそれほど簡単ではないのだ。もちろん5回連続して勝って、08年の不振から脱してきたフェデラーなら必ずやってくれると思ってはいた。
3-6,7-6,4-6,7-6,6-2でデルポトロの初優勝は、フェデラー、ナダル時代の終わりなのだろうか。
federer命
USオープン09 Day14
フェデラー6回目のUSオープンの頂上に立つために必要な試合は後1回になった。
女子シングルスはがちがち本命二重丸のセレナ・ウイリアムスが出戻りのキム・クラシステルスにいいところがなく敗れた。いいところがなかったどころではなく、汚点を残してしまった。セカンド・コードバイオレーションと呼ばれるそのルールによって、マッチポイントを失ったのだ。
セレナは1セット目を落とした時、自らのラケットをコートに叩きつけた。これは、まあ、セレナでなくてもよく見る光景ではある。つい最近では、あのマッド・サイエンティスト、ソダーリングがフェデラーとの対戦で自分の不甲斐なさに腹を立ててラケットをコートに叩きつけた。
これが、最初の警告である。その清く正しきテニスプレイヤーらしくない行いは、その試合の中で一回なら警告だけで許される。しかし、それが2回となった時、イェローカードがレッドカードに替わる。そのレッドカードとは、ポイントの喪失である。その1ポイントがたまたまマッチポイントだったということなのだが、相手のキム・クライステルスにしてみれば、何があったかまるでわからない。セレナがアンパイア、トーナメントディレクター、ラインズパースンを含めてお話合いをしていたかと思ったら、踵を返して、キムのコートに出向き、試合終了の握手を求めてきたのだ。
確かに男子プロの世界では、ショート・テンパーな選手は多く、古くはマッケンローやナスターゼは常習だった。最近では、サフィンも結構感情を表に出すタイプだったが、それがおとなしくなって今年引退となるらしい。
女子では、初期のヒンギスが結構クレイマーだったが、復帰した後は温厚な性格になったようだ。
テニスプレイヤーは、どんなに穏やかそうに見えても皆、気は強いだろう。強くなければ勝負の世界ではやっていけない。しかし気が強いのと、気が短いのとは違う。テニスは気が短いと勝てない。自分の感情をコントロールすることが勝負に勝つ一番大事な要素だからである。特にプロの世界では、テクニックや体力はそれほど差がない。となれば、メンタルファクターを磨くしかない。
しかし、グランドスラムイベントのそれも準決勝という舞台で、セレナ・ウイリアムスの清く正しきテニス選手にあるまじき行いは彼女の輝かしい経歴を汚してしまったような気がする。残念である。
クライステルスの決勝の相手は第9シードのキャロライン・ウォズニアッキである。今10代で一番調子がいいといわれている選手である。ウインブルドンの一回戦で伊達さんがあたった選手で、日本人にはたぶん一番模範にしやすい体形とプレイスタイルである。
現在その決勝戦が行われているが、ブレーク合戦の連続だったが、結局7-5でクライステルスが1セット目を先取した。
クライステルスは、これはがちがちのアタッカーである。セレナとの対戦はまさにアタッカー同士のウイナーの取り合いだったが、ミスを最小に押さえたクライステルスが、自分のミスで自滅したセレナに勝って決勝進出を果たした。
一方のウォズニアッキはどちらかといえばカウンターパンチャーである。臥体のいい180cm超の選手の増えた女子プロの世界ではウォズニアッキはもちろん小柄である。だからどう見てもパワーテニスでは長いシーズンは乗り切れない。となれば、質の高い球と精度を上げるしかない。そしてカウンターパンチである。
フェデラーは明日、6連続優勝を掛けてデルポトロと決勝を戦う。これまで5回連続で優勝しているフェデラーの決勝の相手はひとりとして同じ相手ではない。2004年はヒューイット、2005年がアガシ、06年がロディック、07年ジョコビッチ、そして昨年08年がマレーである。
そして今年のデルポトロは、グランドスラムの決勝に出てくること自体が初めてである。
驚くのは、今までナダルは決勝に勝ち進んだことがないのだ。つまり、フェデラーの優勝の法則でいえば、ナダル以外にグランドスラムの決勝戦で負けたことがないのだから、この時点でフェデラーの優勝は約束されたようなものである。
そして女子シングルスだが、フェデラーが勝ち続けている2004年からの優勝者は年替わりである。04年がクズネッツォワ、05年がクライステルス、06年シャラポア、07年エナンで、昨年08年がセレナである。もし、今年クライステルスが勝てば、05年以来だし、ウォズニアッキが勝てば、グランドスラム初優勝となる。
単純にアタッカーとカウンターパンチャーという分け方はできないのだが、USオープンのハードコートはやはりアタッカー向きのコートである。これは、デルポトロvsナダルの対戦を見ていても明らかである。もちろんナダルは万全ではない。特に準々決勝のゴンザレス戦は二日がかりである。
しかし、アタッカーのデルポトロにもう防戦一方というあの姿はUSオープン以外ではまず見ることができない。
ということで、プレイスタイルということでは、クライステレスに軍配が上がるだろうが、ここ5年のジンクスなら、ウォズニアッキが初栄冠を勝ち取ることになる。
現在、2セット目、クライシステルスが3-2でリードしているが、6ゲーム目はウォズニアッキのサーブである。
車いすの世界ではフェデラーにも勝るとも劣らないのが、日本の誇るShingoKuniedaである。2007年から負け知らずではなかろうか。
と言っている間にアタッカーのクライステルスが出戻りで優勝した。7-5、6-3の完勝である。
あのセレナが言っていた。「キムは強くなって帰ってきた。わたしも子供を産もうかしら。」
federer命
USオープン09 Day10
ヤニナ・ウイックマイヤー、19歳、183cmは、先に準決勝進出を果たした出戻りキム・クライステルスと同じベルギーの選手である。
名前を知らなかったばっかりにボンダレンコの準決勝進出を予想したが、どうして、ウイックマイヤーの圧勝である。
17歳のシンデレラ、メラニー・ウダンは、19歳のデンマーク・オリジン、キャロライン・ウォズニアッキに完敗である。
これで残念ながら、決勝でのUS対決はなくなったが、昔のエナンvsウライステルス以来のベルギー対決の眼が出てきた。しかしそんなことになったら、最近ではないノーシード同士の決勝対決になる。
男子は、フェデラーとジョコビッチが順当にセミ・ファイナルまで進んだ。
フェデラーもジョコビッチもともに絶好調ではないが、勝ち方を知っている戦いである。
さて、明日、順当なら、ナダルとデルポトロが準決勝に駒を進めるが、ナダルの膝はいかがなものか?
federer命
USオープン09 Day9
準決勝まではある意味フェデラーより確実だと思っていたマレーが16シード、クロアチアのシリッチにストレートで敗れた。クロアチアといえば、甘いマスクのアンチッチを思い出す。このシリッチも男前である。そしてアンチッチ同様長身ときている。
1988年生まれの20歳のクロアチアんは、身長198cmで体重が81kgはバランスのいい体形である。
フェレーロを破って8強に進出したアルゼンチンのデルポトロも198cmの長身で、20歳ではなかったか。
イズナーの206cmは特別にしても長身の選手がやはりプロの世界では強い。それはやはりサービスにおける有利さである。バレーボールのように身長より高いところにネットがあるわけではないが、ネットから離れたところから打つサーブは当然身長が高いほうが鋭角に強いサーブを精度高く配給できる。
テニスの場合、特にシングルスにおいては攻めと守りをひとりでこなさなければならない。つまりいくらサーブゲームをキープし続けても、リターンでポイントが取れないとゲームに勝つことはできない。今までだと、長身な選手はどうしてもリターンやストローク戦に弱かった。
もちろんイズナーやカルロビッチを見ていればそれは当たっているのだが、イズナーが勝ったのはあの、ロディックである。そこそこは打ち合ってもポイントを拾えるのである。
11番シードのゴンザレスが7番シードのツォンガに勝った。マレーが負けたのもゴンザレスが勝ったのもやはり番狂わせといっていい。しかし、テニスの場合、このぐらいの番狂わせはよくあることで、フェデラーがここ5年ぐらい、グランドスラム大会では、ほとんど決勝戦まで勝ち進み、決勝で負けたのはナダルだけ、というのが異常なことなのだ。
現在、ナダルはモンフィスと対戦している。1セット目は落としたが、2セット、3セット目を取って、たぶんこのままベスト8進出するだろう。
準々決勝がゴンザレス、そして準決勝がシリッチvsデルポトロの長身対決の勝者となるが、相性でいけば、断然ナダルが有利である。
これで俄然フェデラーvsナダルの決勝戦が現実味を帯びてきた。
女子はシナリオ通りである。出戻りのクライステルスvsディフェンディングチャンプのセレナ・ウイリアムスである。このマッチはどちらが勝つかわからない。もちろん出戻りよりディフェンディングチャンプで、今年のウインブルドンも制したセレナが有利なのは当然である。しかし、クライステルスに失うものはない。確かに疲れは出ているだろう。一回戦からペース配分など考えずにやってきたのだ。しかしここまでくると精神力の勝負である。実力があってもどうしても勝てないサフィーナに欠けているグランドスラムでの勝ち方をクライステルスは知っているのだ。
昨日も書いたがアメリカのメディアとしては、明日のウダンvsウォズニアッキで17歳ウダンが勝って、ウダンがボンダレンコに勝って、決勝でウダンvsセレナのスターズ&ストライプ対決が実現することだろう。
しかし、どんな結末が待っているのか。それにしてもおもしろい終盤戦である。
federer命
USオープン09 Day8
フェデラーが4回戦ロブレド戦を難なく終えた。次の相手は全仏での決勝の相手、マッド・サイエンティストのソダーリングである。最近のソダーリングは安定した感はあるが、逆に爆発力がなくなった気がする。4回戦もダビデンコがリタイアしたのである種棚ぼたである。
そして準決勝はジョコビッチとの対戦になる。ジョコビッチは準々決勝でベルダスコと対戦するが、順当ならジョコビッチが負けることはない。
もうひとつの矢倉はひょっとするとひょっとする組み合わせである。ナダルvsモンフィスは結構接戦になるかもしれない。もちろんナダルは万全とはいえなくても、やっぱりナダルである。しかし無理は禁物である。カウンターパンチャーに徹すれば負けることはない。
ツォンガもデルポトロも調子がよさそうだ。マレーもシリッチには勝つだろうが準々決勝はタフな試合になるだろう。
アメリカンドリーム、17歳のウダンの快進撃が続いている。そしてキャロライン・ウオズニアッキがクズネッツォワを土俵際でうっちゃった。
女子ベスト8のうち、2番シードのセレナ・ウイリアムス、9番のウオズニアッキ、10番のペンネッタ以外の5人はノーシードである。
となると、セレナの優勝は動かないのかもしれないが、準決勝は、セレナvsクライステルス、ウダンvsウォズニアッキのカードはアメリカ、CBSの視聴率にとっては最高のカードである。
そして決勝戦はウダンvsセレナというアメリカ人にとっては夢のようなカードが実現するかもしれない。男子はこの段階でアメリカンは一人も残っていないのだから、女子には頑張ってもらいたい、というのがアメリカの希望だろう。
federer命
USオープン09 Day7
ウインブルドン09の決勝戦でフェデラーと死闘を演じた地元のアンディー・ロディックが3回戦で地元のイズナーにフルセット、タイブレイクで敗れた。
地元同士の戦いだったが、願わくばロディックに勝って欲しかったに違いない。ウインブルドンの再現とはいかなくても、、フェデラーとの準決勝戦を夢見たはずだ。
昨年のUSオープンはナダルがナンバーワンシードで、フェデラーは2番手の矢倉の右下に位置していた。しかし一年でそのポジションをフェデラーは戻し、ナダルは2番ではなく3番まで落ちた。
テニスのプロの世界は過酷な世界である。一時の休養も許されないのだ。そして勝ち続けなければならない。
フェデラーは、昨年、苦難の年を過ごした。永遠に続くかと思われたフェデラー王国が崩れたのだ。そしてその後王国の主になったのはスペインのマタドール、ラファエル・ナダルだった。
そのナダルは、今年の前半、そう、母国スペイン、マドリッドのクレイのマスターズ大会でフェデラーに敗れるまでは、ナダル王国は盤石だった。
フェデラーは、今年になって、体調は取り戻したが、昔の負けないフェデラーではなく、ジョコビッチやマレーの若手に勝てない日々が続いた。
マドリッドの大会も準決勝でデルポトロを圧倒したとはいえ、決勝の相手が王国の主ナダルであることを考えれば、フェデラーファンでも、もはやこれまで、と思っていたはずである。
確かにナダルは前日の準決勝、ジョコビッチ戦で、フルセットの4時間超の死闘を演じている。負けてもおかしくない試合をひっくり返したナダルの力はやっぱり只ものではない。ナダルの疲れより、ナダルの超人性に対する称賛のほうが多かった。
しかし、結果はフェデラーの圧勝である。ナダルが悪かったわけではない。フェデラーが勝ち方を思い出したのだ。いや、昔のフェデラー以上に強くなったと言っていい。それは一度地獄を観たからである。
ナダルが絶好調になるにはもう少し時間がかかるだろう。しかし、ナダルも地獄を観たのである。今年は無理でもまたナダルは復活する。そのナダルが完全復活したその時、ナダルと五分に戦うためには、フェデラーは、今回、ナダルに勝っておかなければならない。だから、がんばれ、ナダル。決勝で、フェデラーvsナダルが観たい、というのはそういう意味もあるのだ。
現在7日目のナイトセッションの最終戦、マレーvsデントの試合が行われている。これでマレーが勝つとベスト16が出揃う。ベスト16の顔ぶれでノーシードなのは、ロディックに勝ったジョン・イズナーひとりである。
このイズナーが台風の眼ではあるのだが、次のベルダスコ戦が鍵かもしれない。これに勝つと、地元の強みで、準々決勝でジョコビッチに打ち勝つ可能性がある。何しろ、206cmで体重111kgだから、MBA選手も真っ青な体格だ。ツォンガを伸ばしたような体形から繰り出すサーブは、まさに天井から落ちてくるような感じに違いない。ロディックとの力比べでも全く負けなかった。好調ロディックに勝った力はもちろん只ものではないが、テニスは一回勝っただけではトップに踊りでることはできない。勝ち続けなければならないのだ。
現在の男子の勢力図はベスト4、ベスト8プレイヤーが充実していることである。今回シード5番のロディックがイズナーに負けはしたが、惜敗である。ロディック以外のベスト8プレイヤーはすべて、16強に残っている。
そしてもっと充実しているのがベスト4プレイヤーである。フェデラー、マレー、ナダルにジョコビッチ。順当にいけば、この4人が残って、決勝は、フェデラーvsマレーということになる。シンシナティーの再現である。
戦国時代は女子の世界である。ランキング1位のサフィーナはどうしてもグランドスラムタイトルを取れない。すでに一回戦からアップアップだった。
男子のイズナーに負けない、女子の伏兵が地元17歳のウダンである。あのスペルでウダンと読むのはしんどい。
身長168cmは今や女子プロの世界ではちびである。Oudinなどというのがどこの出身かはわからないが、17歳とは思えない大人である。グランドスラムは昨年のUSオープンが初めてで、今年のウインブルドンでも4回戦出場を果たした。ダブルスは日本の森田あゆみとパートナーを組んでいる。
ヤンコビッチ、シャラポアと撃破して、4回戦はペトロバである。イズナー同様、ここがポイントである。ここで勝つとはずみがつく。
さて、女子の優勝は、セレナ・ウイリアムスで決まりのようだ。復帰したクライステルルも、実力は実証済だが、いかんせん7回連続で勝つのにはもう少し時間が掛る。今年一杯、試合に出続ければ、来年はベスト10返り咲きも決して夢物語ではない。
女子でもうひとり注目はデンマーク、シード9番のカロライン・ウオズニアッキである。今一番の成長株で、間違いなくタイトルを取る日がくるかもしれない。
ということで、男子はフェデラー、女子はセレナ・ウイリアムスという去年と同じ?結果ではあるが、フェデラーの完全復活というおまけがついている。
federer命