>>プロローグ


2008年5月中旬、新宿、歌舞伎町で友達3人と焼き鳥を肴に飲み、ほろ酔い加減の木幡はそのまま歌舞伎町にあるゲーセンに小便目的で入り、用を足して満足した直後にある一つのゲームと出会った。


そのゲームの名前は「ホースライダーズ」、どうやらカードゲームらしい。競馬が好きな木幡はどんなゲームかよく分からないまま席についた。木幡の他にプレイをしている人は誰も居ない。


「まぁ、いい。ゲームなんてやればわかるだろう。」


とりあえず財布から100円玉を取り出し、入れた。画面にはあと2枚入れてくださいとの表示。1回300円もするビデオゲームなんて初めてなので、高いなぁと思いつつも200円を追加。


「何、何?赤いカードがあるとデータが保存できる?そんなもん、あいにく持ってねぇ。」


という訳でゲストでプレイを開始。


「そもそもカードゲームなのに、その操作するカードが無いのは何で?」

「どこかでカードをバラ売りしてるのか??」


と周りをキョロキョロしたけど、それらしいものはない。小冊子を取りに行き、読み始めたところがレースの出走登録時間。


どうやって決めるのか、よくわからんよ。画面には何頭か見たことのある馬の名前と能力が表示されている。


その中で一番能力の高そうで、かつ好きな馬を選ぶことに。そんな訳で、木幡が選んだのはヤマニンアラバスタちゃん。そしたらまたしばらく何もない牧場画面で、ひたすら出走までボケーっとしなきゃいけないみたい。


「おいおい、何だよ。1回レースするのに、何分待つんだよ、リアル競馬じゃあるまいし!」


先にも書いたが、木幡はこれがオンラインゲームとは知らなかったのである。そんな訳で色々と不満を抱えつつも、ついにレースが始まった。


「ファンファーレ、ホンモノじゃん!スゲー!」


出馬表には2枠2番にヤマニンアラバスタの文字。どうやら8番人気らしい。まぁ、そんなもんか。


そしていよいよスタートに。どうやらスタートはカウントダウン方式のようだが、酔っている木幡は説明よくわからん。そんな訳でカウントダウンが0になる前からボタンを連打してしまい思い切り大失敗。スロット鍛えた目押しは得意なはずなのに、、、、、まぁ、仕方ない。


そして、ものの見事に出遅れたゲスト騎乗のアラバスタちゃん。リアル競馬では追込なので、出遅れついでに最後方からでいいやと控えることに。そしてなぜかボタンを叩く。ペチッという音と共にムチのアクション!


「あー、これがムチボタンなのね!」


と今更だが気づいた。


しかしデッキ左のコントロールボックスを指で前後左右に動かしてもアラバスタちゃんは馬群の真ん中付近から動きやしない。「おいおい、一発ムチを打ったから、入れ込んだのか?っていうか、仕掛けるんだと思いハミを取っちゃったのか?そんなの関係あるのかな?そういや見せムチは??」と余計なことばかり考えて、ディスプレイ左下の説明には全然目が行かず、指で一生懸命にコントールボックスを動かすばかりの木幡。


最後の直線に入ったので、とりあえず仕掛けだ!という訳で、ムチボタンを連打。でも、馬群を割ってこれずに終了。


「なんだこのクソゲー、散々待たせた挙句、肝心のレースでは馬を操作できねぇし、、、、これで1回300円もするのかよ?マジクソゲー!!」


それが木幡の第一印象だった。



画面にはカードが排出されましたよーという案内が出たのち、コンティニューと終了のボタンが表示される。クソゲーすぎて怒った木幡は迷わず終了のボタンを押す。そして、排出されたカードを未開封のままポッケにしまい、そのまま席を立ち、帰宅の途についた。



>>第一話 スペシャルウィーク伝説に続く