はじめに
学習塾を始めると聞くと、多くの人が「完全独立」か「フランチャイズ加盟」のどちらかを想像すると思います。自分の屋号を掲げてゼロから立ち上げるか、大手のブランド力を借りてスタートするか。
でも、私はそのどちらでもない、「のれん分け」という形で塾をスタートさせました。
この記事では、私がのれん分けという選択をした理由と、その背景にあった悩み、そして始めてみて実感したことをまとめてみたいと思います。
きっかけ
私は、のれん分け元となった塾に約10年間勤めていました。授業も、保護者対応も、運営も、まさに現場の最前線で経験を積んできました。けれど、会社の中でこのままやっていくには、自分なりの限界を感じていたのも事実です。
そんなある日、ちょうど辞めようと考えていたタイミングで、当時の上司から「教室を引き継いでみないか?」とのれん分けの打診を受けました。
最初は正直戸惑いもありました。独立なのか、雇われなのか、境界が曖昧に思えたからです。
でも、自分で動かしていくことへの興味と、「これならやっていけるかもしれない」という実感が、のれん分けという選択を後押ししました。
のれん分けという選択
のれん分けの条件は、想像していたよりずっと現実的なものでした。
初期費用は特になし。形式上はフランチャイズ契約となり、契約終了の際に敷金を払えば、教室内の備品関係はすべて自分のものになる、という取り決めでした。
銀行口座や講師の給与支払いなどもすべてそのまま継続。講師陣も私がそのまま引き継ぐことができたため、人材面の不安はほとんどありませんでした。
看板やテナント契約もそのまま引き継ぐ形でしたが、それも含めて「今あるものを活かして自分の塾にしていく」スタート地点だったと思います。
のれん分けのメリット・デメリット
メリット
- ブランドの信頼と生徒をそのまま引き継げる
- 初期投資がほとんど不要
- スタート直後からある程度の収益が見込める
- 塾運営のノウハウがすでに体に染み込んでいる状態で始められる
デメリット
- 自由度が制限される場面がある(看板・テナント・料金など)
- 独自ブランドへの切り替えには工夫と時間が必要
- 「自分の力だけで成功した」と言い切れないジレンマ
自分に合っていた理由
やはり大きかったのは、生徒がそのまま引き継げたことです。最初から教室に通ってくれる生徒がいたため、資金ショートのリスクが限りなく低かった。
もちろん、それは同時にプレッシャーでもありました。
「もし、生徒がごっそり辞めたら、それは自分の力不足を突きつけられることになる」と思っていましたし、実際、内心はかなり怖かったです。
でも、実際には誰一人辞めませんでした。それがどれほど私にとって自信になったかは、言葉では言い表せません。
これから塾を始める人へ
のれん分けという形は、すべての人に合うわけではありません。
けれど、すでに学習塾に勤めていて、生徒指導や保護者との関係づくりに自信がある人ならば、かなり現実的で堅実なスタートが切れる方法だと思います。
私自身、この方法で塾を始めてから、自分のやりたい指導や運営方針を少しずつ形にしてきました。
のれん分けは「妥協」ではなく、「選択肢の一つ」として、十分に価値があるやり方だと、今は胸を張って言えます。