エジプト・ミイラ作成法詳細 | 正しい人の喰い方マニュアル

エジプト・ミイラ作成法詳細

ミイラ作成技術は紀元前三二三年を境に徐々に消滅して行った
過去の技術である
歴史的にはアレクサンダー大王のエジプト征服及び
キリスト教の普及が背景にある
エジプト特有の死者の葬り方であるといえる

中世ヨーロッパではムミアと呼ばれる天然鉱物からの抽出物を処方し
万病に効くと広告していた
この鉱物は非常に高価な物であり、一般庶民が手にする事は
出来ない代物であった
その後その「ムミア」を愛用していた人物が
ミイラに塗られていた樹脂を「ムミア」を勘違いし
これがミイラの英語訳「マミー」の語源となったという

中世ヨーロッパではミイラの全身全てを粉にし
飲んでいたという
後日この薬を飲むと逆に心臓や胃の痛みが増発される事が周知され
薬として役に立たなくなったミイラは焚き火や蒸気機関車の燃料や
マミーブラウンという絵の具の材料として利用される事になる

元々は神話の時代オシリス神が人類初のミイラとされ
より生きていた頃に近い形で遺体を残す事が大切であるとされた

ナトロンと呼ばれる天然塩を使用し
中王時代には内臓を腹を切ったり尻から下剤を使って出したりしていたけれど
脳はそう大切な部位とは思われていなかったらしく
出されていたり、居なかったりとミイラによって違いがあるらしい

新王時代にはかなり技術的に確立し
心臓と腎臓を除いて左側の切り口から
身分の低い卑しい、下級労働者が取り出し
その後の作業は高位の人間が行って居たらしいけれど
これは人間の身体を傷つける事は禁忌に当たる事であったから
であるらしい

今も昔もお偉いさんは汚い事をやるのは嫌いであるようだ

ミイラというとつき物なのは
内臓を納める為に作られた色とりどりのカノポス容器では無いだろうか
取り出した内臓全てをあの容器に入れられるのだろうか?
と心配して居る人が居たけれど
あの容器一つ一つには入れる臓器が決められており
人類初のミイラとなったオシリスの息子ホルスの四人の息子を模しているのだ

肝臓 イムセティ  人の形をした容器
胃  ドウアムテフ ジャッカルの形
肺  ハピ     ヒヒ
腸  ケベフセエフ ハゲタカ

しかし腸全てがあの容器に入るとは思えないので
入れたのはおそらく一部、であろう。
現代でも過去の技術でミイラを作ってみようと
76歳の男性を材料に作った事もあるらしいけれど
遺体は何の問題なくミイラ化されたらしい

とはいえ当時は平均年齢30歳
あまりにも早く逝ってしまった人を悼み
お金をかけて配偶者をミイラ化させる事もあったようだ

しかし、女性のミイラを作成する際は事前に死姦される事を避ける為に
事前に腐敗させたという事もあったようだ
死体を腐敗させてもきちんとミイラ化するというのも驚きであるが
この辺りの習慣がエジプト人が死体をミイラ化させるようになった
理由の一つにあるように思えてならない

ただ総合して考えてみるに
偶然? ヨーロッパの人間がミイラを食べるようになっただけで
やはりエジプトの人間は食べられない為にミイラ化させたという説は
無理があるような気がした




著者: ロザリー デイヴィッド, リック アーチボルド, 吉村 作治
タイトル: カラー版 ミイラ全身解剖-ミイラ科学と古病理学が明かす古代エジプト人の生と死