キズキ
ある暗い洞窟に、銃で撃たれて動けなくなったハイエナがいました。ハイエナはいいました。「どうやらこれでオレもおしまいか・・・。」深いため息をつくと、隣からも同じような深いため息がきこえました。ハイエナがよくみると、それは捨てられたひび割れた茶碗でした。ひび割れた茶碗はいいました。「こんなことなら、新品の茶碗に嫉妬して嘘をつかなければよかった・・・。」しゃべる茶碗に驚くハイエナ。しゃべるハイエナに茶碗もまた驚きました。しばらく話あったハイエナとひび割れた茶碗はお互いが『もっと相手を大切にしていたら』こんなことには、ならなかった。そう後悔した時です。「あー、やっぱり、どっちも暗い顔してる。」そこに一匹の小いさな動物があらわれました。「ハイエナと茶碗のコンビなんて珍しいね。」ハイエナと茶碗はとても驚きました。その小さな動物もしゃべったからです。「なあに大丈夫。キミたちが『それ』に気が付けば十分さ。もとの場所に帰してあげるよ。」小さな動物のその言葉とともに眩しい光がハイエナと茶碗を包みました。すると、ハイエナは元の森にいました。不思議なことに銃で撃たれた傷もありません。ひび割れた茶碗もまた店先に飾られていたのです。それからというもの、ハイエナは森の王で優しいライオンの手助けをして森の平和を守り、森のみんなが尊敬するハイエナになりました。ひび割れた茶碗は新品の茶碗に嫉妬して嘘をいわなくなり、店主と力を合わせて店を盛り上げて、とても繁盛させました。ハイエナと茶碗は助けてくれた小さな動物にとても感謝しました。その小さな動物はネズミのような姿をしていたそうです。おわりCopyright (C) 2013 horizonblueberry All Rights Reserved