安倍元総理が応援演説中に一人の男によって殺害された

 

 殺害した犯人の名は山上徹也、41歳であった

 

 当初報道された情報は、犯行動機が政治信条による理由ではないと本人が供述している

 という内容だけであったたが、その後詳細が報道されてくると犯人および事件にたいする

 イメージが大きく変わった

 

 報道によると、犯人の父親は彼が幼いころに自殺、その後母親が統一教会に入信し

 全財産を寄付してしまって一家は困窮、さらに小さいころから病気を患っていた兄も自殺、   

 本人は成績優秀で偏差値の高い高校に進学も貧困のため大学には進学できず、

 自衛隊に入隊しその後は非正規雇用の仕事を転々とし、統一教会に対する恨みを

 つのらせていたとのこと

 

 統一教会への復讐を計画するも警備が厳重であり困難であったため、統一教会の

 関連団体に応援ビデオメッセージを送っていた安倍元総理を襲うことで世間の注目を

 集めることが目的のひとつであったとの供述をしているとのことである

 

 現時点では統一教会をカルト宗教として非難する報道、および自民党と新興宗教との

 関係を批判する報道一色である

 

 カルト宗教の特徴として高額なお金を要求することが挙げられているが、たとえば仏教

 でも戒名が戒名料で異なることは周知の事実であるし、神社でも高額の寄進をおこなった

 人の名前が石柱に彫ってあるのをよく目にする

 

 お布施にたいする額の程度、強制力の有無がカルトとの鑑別点の一つになるのだろうが、 

 そんなに簡単に境界線は引けないのではないのではと自分は考えている

 

 統一教会は大嫌いではあるがグレーゾーンの宗教団体はたくさんあるし、他の宗教団体

 へ多額の寄付をおこなって挙句の果てに破産した人もおそらく少なくないであろう

 

 だから今回統一教会をひたすらバッシングするのは筋違いな気がするし、するなら宗教と

 金の関係を議論していくべきであると考える

 

 それよりも現時点では議論になっていないためとても歯がゆいのが、教育とお金の問題

 である

 

 たとえ親が変な宗教で破産しても、高校や大学の授業料が無料であれば、

 さらに子供たちに直接生活費が手に渡るようなシステムがあれば、

 親に影響されることなく進学できて自分の能力に応じた人生を歩めるのではなかろうか

 

 世の中には親がアルコールやギャンブルに溺れたり、金銭を自己管理できないことから

 生活費に困窮し進学ができないという子供の数は、

 おそらく親が宗教にはまっているケースよりはるかに多くいると思う

 

 子供たちの学ぶ権利を何とか社会が支えることができないかという議論にはならずに、

 新興宗教ばっかりにスポットがあたるありさまをみると日本人は一億総愚民化している

 としか思えない

 

 今、大学の奨学金の返済が重くのしかかり(特に有利子型)、余裕のない新社会人生活

 のなかで返済せざるを得ず、このことが若者の人生を拘束することとなり晩婚化や

 非婚化の要因にもなっているとの分析がある

 

 さらには家庭の事情で大学在学中に授業料が払えなくなり中退する学生のケースも

 多くあるとのことである

 

 以前重くのしかかるという奨学金の卒業後に払う総額を調べたところ一人あたり平均400万   

 円であったと記憶している

 

 現在、自分が専門としている食道癌治療においても免疫チェックポイント阻害剤が認可

 され、再発の患者さんや術後補助療法として広く使われるようになっている

 

 術前化学放射線療法後の症例において術後補助化学療法として1年間ニボルマブを

 投与するとDFSが改善するというデータしかないにもかかわらず術前化学療法後

 の症例もニボルマブの1年間の投与が認可されている

 

 再発食道癌においてはPDL-1の発現がないものは従来の化学療法と

 免疫チェックポイント阻害剤との併用による生存率の改善は認めないにもかかわらず、 

 PDL-1の発現の有無による解析はサブ解析であり、発現を認めない群における解析は

 副次解析項目に含まれていないこと、発現の有無にかかわらず全体では奏功すること

 (意味わかりますかね、要はPDL-1の発現を調べずに投与すれば発現した群が

 すごくよく効くのでトータルでは効くという理論だと理解しています)からすべての症例

 において免疫チェックポイント阻害剤の併用療法が保険適応となっている

 

 唐突な印象をうけるかもしれないがなぜ急にそんなことを書いたのかというと、

 例えばニボルマブを術後補助化学療法として1年使用すると800万円程度になる。

 高額医療になるのでほぼ税金で賄われる。この金額は二人の大学生のかかえる

 奨学金の額に相当する

 

 もちろん単純に比較できるものではないし、「戦車を一台減らして何百人の大学生の

 奨学金にまわせばいい」なんて意見は大昔からあった

 

 さらにいえば患者さんの命にかかわることを奨学金と単純比較できないのは

 重々承知している

 

 自分としてはこのような高価な薬剤は保険適応であるからと言って条件反射的に使うべきで 

 はなく、適応においては議論していくべきだと考える

 

 にもかかわらず現在、医療現場においてほとんど議論になっていないことに

 疑問を感じているし、なんか釈然としない思いがある

 

 以上、暗殺の話から免疫チェックポイント阻害剤の話になっているが、

 自分は若者たちがないがしろにされている現状に強い危機感を感じており、

 この感覚を言語化したいということもあって今回ぶつぶつと書いてみた