最上作にして最上大業物の初代忠吉は新刀期を代表する名工であり
武蔵大掾忠広銘は初代忠吉の晩年の銘である

名を橋本新左衛門といい
肥前の龍造寺山城守隆信の家臣であった祖父と父を
薩摩の島津勢との島原の戦で亡ってしまう

その時、新左衛門は十三歳であったが
のちに龍造寺家を扶けて肥前の仕置きを行った鍋島勝茂に見いだされ
慶長元年に主命を受けて上京し、埋忠明壽門で修業　
その三年後に帰郷
佐賀城下で六十人もの弟子に囲まれ藩工として活躍する

初めは肥前国忠吉と五字に切り、後に肥前国住人忠吉、
元和十年(寛永元年)に再び京に上り武蔵大掾を受領し
藤原姓を許され、名を忠吉から忠廣に改める
以来寛永元年より武蔵大掾藤原忠廣と銘を切る

鍋島家中のみならず、肥前刀は各地に知られ
新刀一番と言われる姿、鍛えの良さ、斬れ味も鋭く
心ある武士は此れを差し料としたのであるが
人気ゆえ多くが作刀されたが、駄作は皆無であり
また此れが藩の貿易にもなり、鍋島の家を潤した

しかし、この武蔵大掾の銘は九年間で終わる
忠廣は数え歳六十一歳で世を去った
このあとを引き継いだのが十九歳の嫡子二代目忠廣で
のちの近江大掾藤原忠廣である

と、前置きを、いささか書かせてもらったが
この武蔵大掾藤原忠廣の脇差が我が家にもある

🐶ふん！先月、上京して買って来おった
🐱ほんとに好きなのねぇ

実は、刀剣店のホームページでこの武蔵大掾を見つけた時は
既に買い取られた後で、諦めていた

ところが秋になって刀剣店から連絡があり、この刀が戻って来たとのことで
時間の空いた先月に東京までお迎えに行ってきた

つい最近までは九十七歳の方の持ち物であったのだが
家族が刀剣に全く興味が無く買った店に再び買い取っとてもらったものである
つまり、生きてるうちに処分したのである
(ここが、わが家と大違いである！)

登録は昭和三十六年、特別保存刀剣として鑑定されている
刃長一尺二寸七分、反り二分
鎬地の肉が削ぎ落されて鎬筋が棟に抜ける頑健鋭利な菖蒲造で
適度に反りが付き、咄嗟の攻撃に素早く抜き放って応じるべく
操作性の高い作柄

刀剣を撮るのは難しい
そこでカタログ写真を。。

幕政時代に敵の刃を棟で受け止めた痕跡が残る

🐱さて、お拵えの計画は？
🐶肥後金具をたくさん持ってるから渋いのにするやろ

うん、鍔だけは鍛えの良い正阿弥を使うが (=´∀｀)

🐱🐶趣味の話しは生き生きと書いてる。。。